マレーの引退について「大きな喪失だが、テニスは続く」とナダル
ラファエル・ナダル(スペイン)は遅かれ早かれ、“ビッグ4”が“ビッグ3”になるのは不可避なことだと知っている。
そしてアンディ・マレー(イギリス)が、男子テニスを界を長く率いてきた4人のうち、キャリアの終わりを知らせる最初のひとりとなるという事実は、ナダルが大局的に捕らえなければならないと考えていることだった。
揃ってメルボルンで6度優勝している世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)、3位のロジャー・フェデラー(スイス)と並び、世界2位のナダルは優勝候補としてオーストラリアン・オープンに臨むことになる。
ナダルが32歳、ジョコビッチはマレーの1週間ほどあとの5月22日に32歳となる。フェデラーは37歳だ。オーストラリアン・オープンで5度決勝に進出したマレーは、オーストラリアで大会を始めることを予定しているが、長引く故障を克服するため20ヵ月苦闘した末、これが彼にとって最後の全豪になるかもしれないと打ち明けていた。
手術で修復した右腰からくる強い痛みが彼の動きを制限しており、マレーはすでにウインブルドン後に引退すると示唆していた――もしそこまでプレーし続けることができれば、という条件付きで。
マレーは土曜日、ナダルが記者会見場に姿を現し、故障による3ヵ月の休止のあとの自分の健康状態と、オーストラリアン・オープンの展望について話す前に、メルボルンパークで練習を行っていた。オーストラリアン・オープンは、ナダルが最低でも2回優勝していない唯一のグランドスラム大会だ。
「ああ、もちろんすごく悪いニュースだよ」とナダルは、マレーが涙を流しながら引退の可能性について話した前日の記者会見についてコメントした。
「(もしそうなれば)我々にとって、テニス界にとって、非常に重大な喪失となる。ツアーにとっても、ファンたちにとっても、そして長いこと素晴らしいライバル関係を築いてきてきたライバルたちにとってさえも。彼は素晴らしい選手だ」
しかしナダルはまた、こうも言い添えた。
「でも、正直に言うが、テニスのキャリアでほどんどすべてを成し遂げた彼のような選手が、すでにこれほど長く苦しみ続けているとき…おそらく彼は、自身の精神衛生のために正しいことをしようとしているのかもしれない」
ナダルはそのキャリアを通して断続的に長いプレー休止を強いられながら、それでも「17」のグランドスラム・タイトルを獲ることができていたが、一度も引退の期日について考えたことはなかったという。
「僕は、その域にまで至ったことはなかった。僕は楽天的な男なんだ。いつも、きっと改善できるという感じを抱いていた」とナダルは言った。
「でももちろん、トンネルの先に光が見えない時期もあったよ。辛いものだ」
フェデラーは、現代のテニス選手がキャリアを30代まで延長できるようになったのは、旅、食事法、生活のバランスが改善されたおかげだとの考えを述べた。
彼は故障による長い休止を経て、35歳のときに、2017年オーストラリアン・オープンで、そのキャリアをふたたび活性化させた。そして昨年、そのタイトルを防衛し、キャリア20勝目となるグランドスラム・タイトルを獲得した。
ナダルの長寿のプランには、出場大会数を減らし、しつこい故障が再発した際には無理せず休むというポリシーを軸にしている。靴や靴下を履いたりするような単純な動きをするときに感じる痛みを軽減するため、また手術を受けることを考慮しているマレーに、その選択肢はない。
「今の選手たちは長くプレーするようになってきているから、彼はあまり長いキャリアを送らなかったように感じられるかもしれないが、彼は31歳だ。10年前なら、31歳で引退するというのであれば、素晴らしく、長いキャリアを送ったと我々は言っていたことだろう」とナダルはコメントした。
「彼がいなくなることを寂しく思うだろう。でも今日は彼で、明日は別の誰かだ。我々はもはや20歳ではない。我々の世代の皆が、30歳以上なんだ」
ビッグ4は男子テニス界を10年以上にわたり支配し、2014年オーストラリアン・オープンと2016年USオープン優勝のスタン・ワウリンカ(スイス)、2014年USオープンで勝ったマリン・チリッチ(クロアチア)などのごくわずかな例外を除き、グランドスラム・タイトルを4人の間で分け合ってきた。
世界4位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)など、ブレークを果たした他の選手たちの一団もいるが、メルボルンパークでの最初の数日の注目のほとんどは、ナダル、マレー、マレーとジュニア時代からライバルだったジョコビッチ、そしてフェデラーに注がれることだろう。
ナダルは月曜日、ロッド・レーバー・アリーナの2試合目でジェームズ・ダックワース(オーストラリア)に対して大会を始める。フェデラーは、同じセンターコートのナイターでデニス・イストミン(ウズベキスタン)と相対する。マレーは月曜日にメルボルン・アリーナの第4試合で、第22シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)と対戦する。ドローの反対側、トップハーフに位置するジョコビッチは、大会2日目にスタートを切る。
ナダルは、13歳か14歳くらいの、もっと若かった頃のマレーを「ちょっぴりバッドボーイだった」と回顧したが、このスコットランドの友人がどのように成長していったかについて、大いに賛辞を述べた。
「結局のところ、僕らはライバルたちの存在に感謝し、彼らを高く評価している。なぜって、人生における多くの重要な瞬間を分かち合ってきたのだからね」とナダルは言った。
「彼とはいつもいい関係を保ってきた。僕らは世界でもっとも重要なスタジアムでコートを分かち合い、もっとも重要なものをかけて戦った。それは、忘れるのが不可能なことなんだ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真は会場のメルボルンパークで練習中のラファエル・ナダル(スペイン)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 13: Rafael Nadal of Spain serves during a practice session ahead of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 13, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Quinn Rooney/Getty Images)
Pick up
-
2024-12-12
サービス第二弾!テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)12月25日(水) 書籍&電子書籍同時発売
テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)20
-
2024-12-12
テニスマガジン今後の予定(部活および新刊情報)
CHECK1テニスマガジンONLINEテニス界の最新情報を毎
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2023-04-03
『テニスの心理学~“心”技体を鍛えてメンタルタフになれ!』(佐藤雅幸著)
Tennis Magazine extraシリーズの最新刊『
Pick up
-
2024-12-12
サービス第二弾!テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)12月25日(水) 書籍&電子書籍同時発売
テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)20
-
2024-12-12
テニスマガジン今後の予定(部活および新刊情報)
CHECK1テニスマガジンONLINEテニス界の最新情報を毎
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2023-04-03
『テニスの心理学~“心”技体を鍛えてメンタルタフになれ!』(佐藤雅幸著)
Tennis Magazine extraシリーズの最新刊『