オンコートコーチングがシンガポールで議論の的に
モニカ・セレス(アメリカ)はオンコートコーチングのファンではない。リンゼイ・ダベンポート(アメリカ)は、その利点を認めている。ジェニファー・カプリアティ(アメリカ)は、その中間といったところだ
3人のテニスの偉人たちが、月曜日にWTAファイナルズの記者会見で集い、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がUSオープン決勝の試合中にコーチングで罰されたことで大いに話題となったテーマについて、議論し合った。
女子プロテニスを統括するWTA(女子テニス協会)は2008年から、限られた範囲で試合中のオンコートコーチングを認めているが、男子ツアーとグランドスラム大会では許されていない。
「元選手としての私の考えを言うなら、私は個人的に、オンコートコーチングは好きではないわ」とセレスは言った。
「プロの最高レベルの選手として、自分で自分のために考えられるようであるべきだと思う。かつて私の父は、私がコートに入る前に、ふたつのことを言っていた。“足を動かし、考えろ”と」
セレナの長年のコーチであるパトリック・ムラトグルーは、先週ソーシャルネットメディアに試合中のコーチングを奨励するコメントを投稿した。彼は最近、USオープンで観客席からセレナに前に行くようしぐさでサインを送っているところをとらえられたが、彼の意見はその事件から導き出したものだった。
原則として、セレナはWTAの大会でオンコートコーチングのオプションを使っておらず、ニューヨークでもムラトグルーのサインを見ていないと主張した。一方のムラトグルーは、セレナが大坂なおみ(日清食品)に負けた試合で、コーチングのためのジェスチャーをしたと認めていた。
「コーチングはスポーツのパフォーマンスの重要な構成要素のひとつだ」とムラトグルーは投稿したコメントの中で述べている。
「しかし、それを禁じることは、コーチングを隠すべきこと、あるいは恥ずべきことであるかのように見せてしまう」
ここ数年、断続的にマディソン・キーズ(アメリカ) のコーチを務めているダベンポートは、オンコートコーチングに利点はあるが、欠点もあると主張する。
「この議論全体のもうひとつのトピックは、それがトッププレーヤーのアドバンテージとなるのではないか、ということよ」とダベンポートは言った。
「はっきりした数字はわからないけど、たとえば60位以下の選手など、財政的に毎週コーチに付き添ってもらうわけにはいかない選手にとってはどうなのか? ということよ」
カプリアティは完全にいいと確信してはいないが、反対者でもない。
「私は、賛成でも反対でもなく、といったところだわ」と彼女は言った。
「その理由のひとつは、コートにいるとき、その時点でコーチにどれほとのことができるのか、ということ。その時点でコーチが必要だったら、ある意味で負けたようなものだと思う。でもそれから、プレーしている自分自身について考えたとき、もしかしたらそれが大きな違いを生み出していたかもしれない、とも思ったの」
8年間セレナのヒッティングパートナーを務めたサーシャ・バインは現在、大坂のコーチだ。彼もやはり、オンコートコーチングのコンセプトのファンではないが、月曜日の試合で第1セットの途中に大坂がアドバイスを求めたときには、忠実にコートに降りていった。
「自分がなぜこのスポーツを始めたか振り返ってみると、それは父と母が僕にあることを教えたかったからだった」とバインは言った。
「僕は問題を自分で克服することを学んだ。このスポーツの美しさは、自分だけがそこにいて、自分自身が問題の解決者となることなんだ」
元トップ50選手で現在キキ・バーテンズ(オランダ)のコーチであるレイモン・スルーターは、オンコートコーチングは観客にとって、決して見ていて魅力的なものではないとの意見を持っている。
「私はWTAの見地、女子テニスの見地、そして女性全般の視点からさえ言っているのだが、私たちが目指しているのは、彼女たちのことを、実際同様に強い存在として見せたいということだと考えている」とスライターは言った。
「選手がコーチをコートに呼んだときは多くの場合、彼らは必ずしも悩み事相談のようなものではなく、救急車を呼ぶような役割で使われている」(C)AP(テニスマガジン)
※写真は試合中にコーチのイリ・バネク氏(右)からアドバイスを受けるペトラ・クビトバ(チェコ/左)
SINGAPORE - OCTOBER 23: Petra Kvitova of the Czech Republic speaks with her coach Jiri Vanek in her singles match against Caroline Wozniacki of Denmark during day 3 of the BNP Paribas WTA Finals Singapore presented by SC Global at Singapore Sports Hub on October 23, 2018 in Singapore. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ