「今日の僕は自分の限界を超えていた」とティーム [フレンチ・オープン]

今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の男子シングルス準々決勝で、第3シードのドミニク・ティーム(オーストリア)は第12シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)との5時間8分に渡る死闘にで敗れた。

 これに先立ち28歳のシュワルツマンは、グランドスラム大会で3度準々決勝に至りながらそのすべてで敗れていた。彼は今度こそ壁を破らなければと思う余り、重圧を感じていたことを認めた。

「今日はチャンスが見えてきたから、非常にナーバスになっていたよ」とシュワルツマンは明かした。彼は初のグランドスラム大会準決勝進出について、「大きなステップだ」と呼んだ。「最後には、僕は今夜勝つに値したと思う」。

フレンチ・オープン2020|トーナメント表

 今シーズンのティームはここまでグランドスラム大会で17勝1敗の戦績を残しており、それには2月のオーストラリアン・オープン決勝進出も含まれていた。彼はまたロラン・ギャロスでのここ30試合のうち26勝を挙げており、彼の敗戦はすべてラファエル・ナダル(スペイン)かノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対してのものだった。

 しかしニューヨークとパリの4回戦での5セットマッチを含め、ここ5週間にティームの足と頭が費やしたエネルギーはこの日の彼に代償を払わせた。準々決勝の早い段階から、ティームは最終的結末を暗示するような平凡なドロップショットを試してはポイントを失っていた。

「正直に言って、今日の僕は自分の限界を超えていた」とティームは試合後に語った。彼は自分の状態について、「肉体的にも精神的にもぎりぎりだった」と表現した。

 試合開始直前や試合中にも時折雨が降ったにもかかわらず5500万ドルかけて設置した開閉式屋根が開いたままだったフィリップ・シャトリエ・コートで、すべてはもっと早く終わる可能性もあった。

 セットを先取したシュワルツマンは、第2セット奪取まであと2ポイントというところにこぎつけていた。また第3セットでは5-3としながら自分のミスでブレークバックされ、5-4からセットポイントをつかんだがまたも決め損ねていた。彼は第4セットでまず5-3とリードして5-4からの自分のサービスゲームで3本のセットポイントを手にしたが、そのどれも取ることができなかった。

「あの場面では、今日は実現しないのだろうと思いさえしたよ」とシュワルツマンは振り返った。

 それでもティームは、ゴールラインを見つけることができなかったのだ。彼は第4セット6-5から、そしてタイブレーク5-5からも2度に渡って勝利まであと2ポイントというところまで迫っていた。

「あの試合に勝つには、第4セットで決めなければならなかった」とティームは悔やんだ。彼はパリで最低でも5年連続準決勝に進出したオープン化以降の時代で4人目の男になることを目指していた。「第5セットの彼には僕よりも少し余計にエネルギーがあり、僕よりも上だったよ」。

「僕たちはお互いに全力を尽くした」とシュワルツマンのよき友人でもあるティームはコメントした。「テニスでは敗者がひとり、勝者がひとりだ。非常にがっかりしてはいるけど、それでも彼のためにうれしく思うよ」。

 シュワルツマンの次の相手は、フレンチ・オープン優勝歴12回を誇るナダルだ。第2シードのナダルは深夜に終わったこの日最後の試合で、ノーシードから勝ち上がってきた19歳のヤニク・シンネル(イタリア)を7-6(4) 6-4 6-1で退けた。(APライター◎ハワード・フェンドリック&ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)

※写真はドミニク・ティーム(オーストリア)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 06: Dominic Thiem of Austria reacts during his Men's Singles quarterfinals match against Diego Schwartzman of Argentina on day ten of the 2020 French Open at Roland Garros on October 06, 2020 in Paris, France. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles