21歳のズベレフがニューヨークで新進気鋭の若手の一団をリード [USオープン]
今年最後のグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月27日~9月9日/ハードコート)が8月27日(月)に開幕する。
アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)はすでに、並みの大会やマスターズ1000のタイトルを獲得できることを証明した。彼はまた、グランドスラム大会で2週目まで勝ち残れるところも示して見せた。
皆が今、注目し、また期待しているのは、彼のグランドスラムで準決勝や決勝に進出したり、タイトルを獲得することだ。シティ・オープン創設者のひとりで、チェアマンのドナルド・デル氏は、この21歳の若者が、USオープン前哨戦であるハードコートのワシントンDCで2連覇を達成したあと、アレクサンダーのあだ名を使って、「“サーシャ”ズベレフは、プロテニスの未来だ」と言った。
月曜日に始まるフラッシングメドウで第4シードにつけているズベレフは、新世代のスターの中で、このUSオープンで先の先まで勝ち進み得る選手の筆頭とみなされている。彼は6月のフレンチ・オープンで、初のグランドスラム大会準々決勝進出を果たした。
しかしながら、ズベレフはひとりではない。彼は、もう10年以上もの間テニス界を支配した古株たちの手から、覇権を引き継ぐ準備ができているかもしれない若手たちの群れの一角なのだ。
「彼らは変わらずそこにいる」とズベレフは、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(イギリス)らによって構成されるいわゆる『ビッグ4』について、こう言った。
「言うまでもなく、彼らは出場するすべての大会で、変わらず優勝候補なんだ」
ズベレフが少なくとも3つのマスターズ大会タイトルを獲ったことのある5人の現役プレーヤーの一角だということは、ここでは何の価値も持たない。この5人の他のメンバーは揃って30代で、その面子は、ここ54のグランドスラム・タイトルのうち、合わせて49を獲っているフェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーだ。
男子テニスは、より年齢が高い方向に傾き続けている。先月のウインブルドンでは、ベスト4に進出した選手の全員が30代であり、プロテニス界の半世紀において、グランドスラム大会でそんなことが起きたのは、半世紀ぶりのことだった。
しかしながら、よくよく見てみると、変化が起こりつつあるという兆しも存在する。
「間違いなく、若手たちはドアをノックしている」とフェデラーは言った。
「何人かの、わくわくさせるような若く才能ある選手たちがいる」
たとえばズベレフが19歳のアレックス・デミノー(オーストラリア)に勝った今月のシティ・オープン決勝は、20歳のナダルがインディアンウェルズ決勝で19歳のジョコビッチを破った2007年以降で、もっとも若い決勝のカードだった。
そしてワシントンDCの準決勝で負けたふたりは、20歳のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)と、その翌週のトロント・マスターズで20歳になったステファノス・チチパス(ギリシャ)だった。チチパスはトロントで、1990年にATPワールドツアーが創始されて以来、一大会で4人のトップ10選手を破った最年少選手となった。
「4人のNext Gen選手が準決勝に至った。これはテニス界にとって素晴らしいことだよ」とズベレフは、新人をプロモートするためにツアーが使っているマーケティング・キャンペーン名を引用してこう言った。
「僕がその中で一番年上だった。これは以前には一度も僕には起きなかったことだ。面白いし、テニスが進んで行きつつある方向を僕は気に入っている。他の若い選手たちの成長を見るのは好きだよ。将来(テニス界が)どんなふうになるかを見ていくのは興味深い」
それには同意する。ズベレフは、トップ50位内で21歳以下である7人の男子選手の一角だ。ここで、USオープンで注意深く追う価値がある、他の6人にも目を向けてみよう。
ステファノス・チチパス(ギリシャ):20歳
世界ランク:15位(キャリア最高)
プレースタイル:右利き、片手打ちバックハンド
獲得タイトル数:0
2018年戦績:30勝20敗
グランドスラム大会での最高成績:2018年ウインブルドン4回戦進出
USオープンでの最高成績:初出場
コメント:「僕は、その存在のおかげで僕をよりよい選手にしてくれている若手集団の一角だ――そして僕は、彼らをよりよくしてもいる。僕ら若手たち同士の間には、いい競争がある。これがなかったなら、おそらく僕は今、トップ100内にすら入っていなかったことだろう」
ボルナ・チョリッチ(クロアチア):21歳
世界ランク:20位(キャリア最高)
プレースタイル:右利き、両手打ちバックハンド
獲得タイトル数:2
2018年戦績:26勝14敗
グランドスラム大会での最高成績:3回戦進出が4度
USオープンでの最高成績:2017年の3回戦進出
コメント:「僕はこれがテニスであり、ある週はすばらしく、ある週は大災害というふうになりえるということを学んだ」
デニス・シャポバロフ(カナダ):19歳
世界ランク:28位(キャリア最高は23位)
プレースタイル:左利き、片手打ちバックハンド
獲得タイトル数:0
2018年戦績:25勝20敗
グランドスラム大会での最高成績:2017年USオープン4回戦進出
USオープンでの最高成績:2017年の4回戦進出
コメント:「僕はまだ19歳。僕は今年、自分に対して多くのことを証明した」
アンドレイ・ルブレフ(ロシア):20歳
世界ランク: 37位(キャリア最高は31位)
プレースタイル:右利き、両手打ちバックハンド
獲得タイトル数:1
2018年戦績:15勝14敗
グランドスラム大会での最高成績:2017年USオープン準々決勝進出
USオープンでの最高成績:2017年の準々決勝進出
コメント:「例えば――誰かが、若い選手が、ビッグマッチに勝つのを目にすると、僕は『もし彼が勝てるなら、僕だって勝てるんじゃないか。どうしてできない訳がある?』と考え始めるんだ。そのことが、僕により大きなモチベーションを与えてくれる」
フランシス・ティアフォー(アメリカ):20歳
世界ランク:42位(キャリア最高は38位)
プレースタイル:右利き、両手打ちバックハンド
獲得タイトル数:1
2018年戦績:24勝16敗
グランドスラム大会での最高成績:2018年ウインブルドン3回戦選出
USオープンでの最高成績:0勝3敗
コメント:「テニス界の頂点に立つためには、やらねばならない仕事がまだまだたくさんある。僕は今、中間地点にいる。僕はただ、もっともっとやりたい。努力を重ね続けたい」
アレックス・デミノー(オーストラリア):19歳
世界ランク:43位(キャリア最高)
プレースタイル:右利き、両手打ちバックハンド
獲得タイトル数:0
2018年戦績:16勝13敗
グランドスラム大会での最高成績:2018年ウインブルドン3回戦選出
USオープンでの最高成績:0勝1敗
コメント:「僕は、決してあきらめない男としてロッカールームで知られたいと思っていた。僕という人間は最後の最後まで(勝つ方法を)見つけようとし、相手は、僕を倒すためには本当にいいプレーをしなければならないのだ、と。それが実際に、僕がコートに出ていくたびにやろうと努めていることなんだ」
(APライター◎ハワード・フェンドリック)
※写真はトロントの大会でのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
TORONTO, ON - AUGUST 09: Alexander Zverev of Germany celebrates victory over Daniil Medvedev of Russia during a 3rd round match on Day 4 of the Rogers Cup at Aviva Centre on August 9, 2018 in Toronto, Canada. (Photo by Vaughn Ridley/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ