準々決勝進出でクビトバに溢れた感情「すべてが脳裏に浮かんだ」 [フレンチ・オープン]

今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の女子シングルス4回戦でジャン・シューアイ(中国)を6-2 6-4で倒したあと、ペトラ・クビトバ(チェコ)は8年ぶりに準々決勝進出を決めたことが信じられないとでもいうように目を大きく開け、微動だにしないまま立っていた。

 主審が椅子から降りてボールの跡を指さし、彼女の両手打ちバックハンドがインだったことを確認したときに彼女は感情を解放した。第7シードのクビトバは空を見上げて投げキッスをすると、フィリップ・シャトリエ・コートに集まっていた少人数の観客たちに手を振った。

 ウインブルドン優勝歴2度を誇るクビトバにとって、グランドスラム大会での13回目の8強入りはそれほど大きな出来事という訳でもないはずだ。

「ええ、試合の最後の2ポイントで少し感情的になってしまったの」と彼女は明かした。「私の思い出、幸せな思い出よ…。2017年にここでカムバックを果たしてフィリップ・シャトリエ・コートに足を踏み入れたとき、私は自分がこのグランドスラム大会で準々決勝に進出するところを想像することなんてできなかったわ」。

 チェコの自宅でナイフを持った強盗に襲われ利き手である左手に重傷を負ったクビトバは、3年前にロラン・ギャロスで復帰を果たしていた。

「話していると、また感情的になってくるわ。間違いなく、長い道程だった。すべてが脳裏に浮かんできたの」とクビトバは語った。「私が厳しい時期を切り抜けることを助けてくれた私の家族、私が愛する人々――ただすべてが記憶に蘇ってきた」。

フレンチ・オープン2020|トーナメント表

 それから彼女は、マッチポイントの緊張感にも対処しなければならなかった。先月のUSオープンの同じ段階で、クビトバは4つのマッチポイントを無駄にしてシェルビー・ロジャーズ(アメリカ)に敗れていた。

「あれは本当に辛い敗戦だったわ。とてもいいプレーをしていたというのに勝利を決めることができなかった」と彼女は振り返った。「マッチポイントを手にしながら試合に勝てなかったという事態は、本当に長いこと私に起きていなかった。特にグランドスラム大会ではね。そうでしょ? 本当に辛かったわ」。

 第2セット5-2からサービスゲームを迎えたクビトバは、試合を終わらせる最初のチャンスを手にした。しかしジャンはブレークを果たし、それから次のゲームをキープした。

「彼女のサービスはすごくよかったわ。非常にアグレッシブにプレーしていた」とクビトバは相手を称えた。「素晴らしかった。今日はいい戦いができたわ」。

「(2012年に)ここで準決勝に進出したのは、私にとって奇跡だったと思う。8年後にふたたび準々決勝に進出するというのは、素晴らしいことだわ。自分が変わらずすべてのサーフェスでプレーできるということを本当にうれしく思う」

 クビトバは次のラウンドで、パウラ・バドーサ(スペイン)とのノーシード対決を7-5 6-2で制して勝ち上がったラウラ・シグムンド(ドイツ)と対戦する。(APライター◎ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)

※写真はペトラ・クビトバ(チェコ)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 05: Petra Kvitova of Czech Republic celebrates after winning match point during her Women's Singles fourth round match against Shuai Zhang of China on day nine of the 2020 French Open at Roland Garros on October 05, 2020 in Paris, France. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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