モンテカルロ優勝のナダル「僕はできるうちに、ありったけの情熱を込めてプレーする」

「ロレックス モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000/モナコ・モンテカルロ/4月15~22日/賞金総額523万8735ドル/クレーコート)のシングルス決勝のあと、通常は、自分の成就について謙虚な言動をとるラファエル・ナダル(スペイン)でさえが、31番目のマスターズ・タイトルの価値を認めた。

 ナダルは、決勝で彼らしい威圧的な強さを発揮しつつ、日本の錦織圭(日清食品)を6-3 6-2で下し、オープン化以降の時代で同じ大会のタイトルを11度獲った史上初の男子選手となった。

「信じられないほどすごいことだ」

 ナダルは、起きたことを実感するために一息ついたあと、こう言った。

「想像しがたいことだよ」

 しかしながら、錦織に対する12回の対戦で10度目となるこの勝利は、錦織が試合序盤にブレークして2-1とリードしたときですら、想像しがたいものではなかった。

 ナダルは、キャリアを通して獲ったマスターズ大会のタイトル数で、ライバルのノバク・ジョコビッチ(セルビア)を一つ追い越した。

 ナダルの最初のモンテカルロ・オープン・タイトルは2005年で、彼がまだもじゃもじゃ頭のティーンエイジャーだったときに実現した。とはいえ、ナダルはその2年前、フレンチ・オープン・チャンピオンのアルベルト・コスタ(スペイン)を倒し、太陽の降り注ぐ地中海沿いの会場で、すでに華々しい登場を遂げていた。

 それはナダルにとって、史上最強のクレーコート・プレーヤーとなるための、輝かしい上昇のスタートだった。彼は、このお気に入りのサーフェス、クレーで「50」のタイトルを獲り、そのうち10回がフレンチ・オープンでの優勝で、その双方の数字が最多記録となっている。

 そしてその炎は、ナダルにとっていまだ強く燃えている。

「この種のことは、永遠に起こり続けるものではない。だから僕は、そうできるうちに、ただありったけの情熱を込め、すべてのエネルギーと集中力、そしてこのスポーツへの愛を注ぎながら、プレーするよう努めている」と31歳のナダルは言った。

「別れを告げる日は、10年前よりも近づいていると、わかっているからね」

 彼が1セットも落とさず、いかに簡単にこの大会に勝ったかを考慮すれば、その別れの瞬間は、まだまだかなり先であるように思える。彼の完璧主義のレベルは、ほかの選手たちが懸念してしかるべきものだろう。準決勝のあと、彼はフォアハンドの完成度を高めるため、練習コートに急いだ。

「ただリラックスしようとしていただけだよ」とナダルは言った。「少しボールを強く打って、ぴりぴりすることなく腕を動かして、ね」。

 このナダルの勝利はまた、彼にキャリア76番目のタイトルをもたらしただけでなく、ロジャー・フェデラー(スイス)に先んじて世界1位の座をキープすることを保証するものでもあった。

「僕のアカデミーの博物館に、もう一つのトロフィーを飾れるというのは、素晴らしいことだ」とナダルは言った。

「これは、個人的なフィーリングという意味で、もっとも重要なタイトルのひとつだよ」

 錦織は、初のマスターズ・タイトルを目指していたが、自分の最初のサービスをキープして1-1とするのに11分を必要とした。

「厳しい試合になることはわかっていた」と、それでなくても故障から復帰して間もないこの大会で、疲労に苦しんでいた錦織は言った。

「(決勝に先立ち)3日連続で3セットマッチをプレーしたので、今日は脚がものすごく重かった。肉体的に容易ではなかった」

 ナダルは最初のマッチポイントを、突き刺すようなバックハンドのウィナーで仕留めると、両手を天に向かって突き出し、それから親愛の情を込めて錦織を抱擁するため、ネットに向かって走っていった。

 錦織は、右手首の腱損傷のため2017年USオープンと今年のオーストラリアン・オープン出場を断念したあと、いまだ、完全な調子とフィットネスレベルに戻ろうと努力しているところだ。

「僕にとって素晴らしい1週間だった。ケガをして、長くプレーできないでいたから」と世界ランキング36位の錦織は言った。彼は、2015年大会の準優勝者、トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)を1回戦で倒したことから自信を得、決勝への道のりで、さらにオーストラリアン・オープン準優勝者のマリン・チリッチ(クロアチア)をも退けた。

 ナダルは、再発を続けていた右腰(右足上部)の故障から復帰したあとの7試合で、1セットも落としていない。しかし彼はその故障のため、チリッチに対するオーストラリアン・オープン準々決勝の第5セット途中でリタイアすることを強いられていた。

 その後、ナダルはメキシコ・オープン、インディアンウェルズとマイアミのマスターズからの棄権を余儀なくされた。

 だが彼は今、クレーコート上で情け容赦のない『ベストのナダル』に戻ったように見える。

 11番目のバルセロナ・オープン・タイトル、そしてやはり11番目のフレンチ・オープン・タイトルに、その視線をしっかりと据えている。

 バルセロナ・オープンの初戦(2回戦)の相手はロベルト・カルバレス バエナ(スペイン)となった。この試合をナダルが勝ち上がると、次に待ち受けるのは、第14シードの錦織とギジェルモ・ガルシア ロペス(スペイン)の試合の勝者となる。

 ナダルは、2005年から昨年までの13年間に10度優勝し、2010年はフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)、2014、2015年は錦織が優勝している。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はラファエル・ナダル(スペイン)、プレスカンファレンスでの様子
Rafael Nadal during the Barcelona Open Banc Sabadell 66º Trofeo Conde de Godo press conference at Reial Club Tenis Barcelona on 23 of April of 2018 in Barcelona. (Photo by Xavier Bonilla/NurPhoto via Getty Images)

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