ナダルが11度目の優勝に王手、決勝はズベレフを倒した錦織 [ロレックス・モンテカルロ・マスターズ]

 モナコ・モンテカルロで開催されている「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000/4月15~22日/賞金総額523万8735ドル/クレーコート)のシングルス準決勝。

 12度目のモンテカルロ・マスターズ決勝に至ったあと、ラファエル・ナダル(スペイン)の優先事項は、携帯電話を取り出し、大急ぎでコーチのカルロス・モヤ(スペイン)にテキストメッセージを送ることだった。

 世界5位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)に対する6-4 6-1の心地よい勝利にも関わらず、どれほど速く彼がテキストしていたかから見て、彼には急を要する心配事があるようだった。

 どのような差し迫った緊急事態が、そのような注意を促したのだろうか?

「僕はカルロスに、すぐにコートを予約する必要がある、と言うためにテキストしていたんだ」とナダルは言った。

「僕は、明日のために必要だと僕が考えるフォアハンド・ウィナーを打ちたかったんだ」

 そんなわけでフレンチ・オープンを10度制し、75のキャリア・タイトルを誇る世界1位のナダルは、過去11度の対戦で9度倒している日本の錦織圭(日清食品)に対する日曜日の決勝に先立ち、フォアハンドの練習をするためだけに、他のクレーコートに急いだのだった。

 奇妙に思えるかもしれないが、それはナダルが、自分がもっとも得意とするサーフェスにおいてさえ、情け容赦のない完璧主義者なのだ、ということを思い出させる出来事でもある。

 再発を重ねた腰の故障からカムバックして以降の6試合で1セットも落としていなかろうが、彼はすべての些細な欠点を取り除くことに、より気持ちを集中させている。

 準々決勝でティームにやったように、ディミトロフを一網打尽にしたにも関わらず、ナダルは満足していなかった。

「僕は第1セットで、よりよいスコアで勝つための多くのチャンスを手にしていた。でも僕は、それをものにできなかった」と彼は言った。

「レベルをキープするための、勝ち続けるチャンスを保持するための唯一の方法は、向上することなんだ」

 一方、深刻な右手首の故障のあと、励ましとなる復帰を果たした錦織は、世界4位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を3-6 6-3 6-4で倒した。

「(目指すところに)近づきつつある」と錦織は言った。彼は手首の腱の裂傷のため、ここふたつのグランドスラム大会出場を断念していた。彼は、手首に「まだ少し痛みはある」と言う。

 ズベレフがバックハンドをサイドアウトし、錦織は最初のマッチポイントをものにした。ズベレフは、非常に長い消耗戦となった準々決勝を金曜日の夜9時に終えたせいか、疲れ切っているように見えた。

 錦織はまだ一度もマスターズで優勝したことがなく、決勝進出の最近のものは、2年前のモントリオールだった。彼は、ふたりのこれ以前の最後の対戦だったリオ五輪の3位決定戦でナダルを倒し、銅メダルを獲得していた。

 しかし錦織は、モンテカルロでナダルを倒すのは、まったく別のチャレンジになるということを知っている。

「彼は今週を通し、すさまじい強さを見せている」と錦織は言った。「クレーコート上で、彼はキングだよ」。

 ディミトロフに対し、キャリアを通して12回の対戦で11度目の勝利を収めたとき、ナダルは非常に堂々としているように見えた。

「第2セットで、彼はよりミスを犯し始めた」とナダルは謙虚な様子で言った。「僕は堅実だった。それだけだよ」。

 ナダルはまた、「ここですでに12回決勝に進出したとは、想像できないようなことだった」と言い添えた。その12回の決勝にうち敗れたのは1度だけで、それが2013年のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対するものだった。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はラファエル・ナダル(スペイン)
MONTE-CARLO, MONACO - APRIL 21: Rafael Nadal of Spain plays a forehand during his men's Semi-Final match against Grigor Dimitrov of Bulgaria during day seven of ATP Masters Series: Monte Carlo Rolex Masters at Monte-Carlo Sporting Club on April 21, 2018 in Monte-Carlo, Monaco. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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