前年準優勝の日大三(東京)が浪速(大阪)を退け初優勝 [第6回全国選抜中学校テニス大会]

 第6回全国選抜中学校テニス大会(3月29~31日/香川県営総合運動公園テニス場)の最終日、31日(金)は男女団体の準々決勝・準決勝・決勝が行われ、男子決勝は第2シードの日本大学第三(東京、以下日大三)が第5~8シードの浪速(大阪)を2勝1敗で破り、初優勝を遂げた。

 日大三は昨年の準優勝メンバーである勝田匠、吉村玲音、岡部悠希の“経験”という強みもあり、チームの総合力で決勝まで勝ち上がってきた。

日大三のD1吉村/岡部

 シングルスを戦う勝田匠が相手エースとの対決で、準決勝までの4戦を2勝2敗と苦戦を強いられたが、岡部悠希/吉村玲音が盤石の戦いで4戦全勝、勝野太地/伊藤大志も粘り強く戦って勝利につなげてきた。一方、浪速はエースでキャプテンの小嶋修史が準決勝まで4戦全勝でチームを牽引してきた。

浪速のD1羽田/向井

 準決勝までは2面展開の6ゲームマッチだったが、決勝は3面展開8ゲームマッチ。D1の岡部/吉村は3本同時進行の中で「自分たちが先に勝って盛り上げ、応援に回ってチームメイトを助けようと思った」という言葉通りに、3-2から5ゲーム連取で浪速の羽田峻也/向井晃太を倒し、優勝に王手をかけた。

浪速のD2永山/松田

 だが、D2は浪速に軍配が上がる。四日市市立山手(三重)との準決勝で1-4ビハインドから7-5に逆転した勝野太地/伊藤大志が、決勝では緊張から硬くなってミスが増える。さらに、浪速の永山寛基/松田稔生が繰り出す多彩な攻撃に翻弄されて2-8で落とし、勝負は一進一退の攻防が繰り広げられているエース対決に委ねられた。

「決勝は緊張して自分のプレーができなかった」という日大三のD2勝野/伊藤

 日大三の勝田は小柄な対戦相手を見て「バックを高い打点で打たせればミスを誘える」と判断して小嶋のバックを攻めていく。だが、小嶋の低く鋭いショットやスライス、アングルショットで返され、時折放たれる強烈なフォアに手を焼く。そこで相手のバックを攻めてからフォア側に振るなど工夫を凝らし、ポイントを奪う作戦に切り替える。

多才なショットを操る浪速の小嶋

 小嶋は勝田の強打を警戒してバックハンドにボールを集めてクロスに打ち合い、チャンスがあればフォアに回り込んで仕留める狙いを持っていた。だが、勝田のバックハンドが予想以上に深く返ってくるためなかなかフォアに回り込めず、こちらも狙い通りの展開に持ち込めなかった。

「大会を通してなかなか入らず、緩めにしか打てなかった」という小嶋のサービスを、勝田は積極的に攻める。アンフォーストエラーが増えても迷わず強打を続け、5-5から2ゲーム連取して優勝まであと1ゲームに迫る。

 しかし、男女合わせた大応援団に後押しされる小嶋も粘って7-7に追いつく。タイブレークにもつれるかと思われたが、「もつれさせたくない」と感じていた勝田が最後にギアを上げて7-7から2ゲーム連取で勝負を決めた。

日大三の箕輪監督が「最後に勝ってくれて頼もしかった」と称えたエースの勝田

 日大三は1回戦、準決勝で勝田が敗れたときは両ダブルスペアがきっちり勝利。決勝ではダブルスが1勝1敗に終わると、勝田がエースとしての役割を果たし、優勝に導いた。誰かひとりの力に頼るのではなく、お互いにカバーし合って頂点に駆け上がった。昨年の準優勝経験に加え、1年生の伊藤が試合を重ねるごとに成長したことも、大きなプラス要因だった。

(編集部◎池田晋)

写真◎上野弘明

※トップ写真は、センバツ初優勝を祝う日大三(写真◎BBM)

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