カサキナがビーナスを倒し、大坂はハレプを撃破 [BNPパリバ・オープン]
アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されている「BNPパリバ・オープン」(3月7~18日/WTAプレミア・マンダトリー/賞金総額864万8508ドル/ハードコート)の女子シングルス準決勝で、第20シードのダリア・カサキナ(ロシア)が3時間近いベースラインからの苦闘の末に、第8シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を4-6 6-4 7-5で倒すという番狂わせに成功した。
一方、日本の大坂なおみ(日清食品)は同じ金曜日の夜、64分の試合で世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)を6-3 6-0で退け、ふたりの20歳の間の決勝が実現することになった。
「私たちはやってくるわ」と微笑みながらカサキナは言った。「すごく近いうちに」。
カサキナは第3セットで4-5、0-30と、敗北まであと2ポイントというところまで追い詰められていたが、ビーナスはそこから4本連続でミスをおかし、カサキナが5-5と追いついた。
ビーナスは、そこからカサキナが残りの2ゲームを連取して2時間48分の試合を終わらせる過程で、わずか2ポイントしか取れなかった。勝利の瞬間、カサキナはベースライン近くでラケットを落とし、ネットに向けて歩きながら、顔を両手で覆った。
「ある瞬間に、私はナイトセッションでプレーし、多くの観客に囲まれ、テニスの偉人に相対してプレーし、第3セットに入っている、ということに唐突に気づくの」とカサキナは言った。
「ただリターンし続け、"頑張るのよ。もしかしたらこれが、私の人生最大の瞬間かもしれない"と自分に言ったわ」
ふたりの上昇中の星にとって、確かにそんな瞬間だった。
大坂はハレプを、3度目のマッチポイントで仕留めた。最後のポイントで、ハレプはバックハンドをネットに引っかけた。
「ダーシャ(カサキナ)を見たわ。彼女はラケットを投げたんでしょう?」と大坂はカサキナの勝利の瞬間のリアクションについて言った。
「私も特別な反応をするかも、たぶん起きたことを頭に浸透させるため、ちょっとくらい泣くだろうと思っていたけど、そうではなかった。私はただ、どちらかというと、試合が終わったことにホッとしていたの」
日本で生まれた世界ランク44位の大坂は、1回戦でマリア・シャラポワ(ロシア)を破ることによって、華やかに大会の口火を切った。彼女は6試合で1セットしか落とさずに、決勝への過程で、第31シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)、第5シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)らを退けていた。
「新しい世代が、すぐそこにいると感じている」と大坂は言った。
「そして私たちは、抜け出していこうとしているわ」
カサキナは、キャリアで初めて、同じ大会で4人のトップ20選手を打ち破った。彼女は、4人の現グランドスラム・チャンピオンの全員に勝ったことがある。日曜日の決勝で勝てば、彼女はトップ10に浮上することになる。
ネット際での握手のあと、こぶしを突き上げたカサキナは、37歳のビーナスを倒し、その若いキャリアで最大の決勝に進出したことが信じられない、とでもいうように頭を少し振った。
ビーナスは、このインディアンウェルズでの最初の4試合にストレートで勝っており、その中には3回戦での、妹セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に対する6-3 6-4の勝利も含まれていた。第8シードのビーナスは、7度のトライで初となる決勝進出を目指していた。彼女は妹とともに15年間、この大会をボイコットしていた。
この試合でビーナスは、カサキナよりも15本多い45本のウィナーを刻み、63本のアンフォーストエラーをおかした。
「勝たなかったときには当然、うれしくないわ」とビーナスは言った。
「負けに慣れるということは決してないものよ。負けに慣れた者は誰であれ、人生を放棄すべきだわ」
エンドチェンジの際にビーナスは、非常に荒く息をしており、主審がタイムをコールするや、カサキナがすぐに立ち上がってベースラインに向けて駆けていったのとは対照的に、ビーナスはいつも最後に椅子から離れていた。
疲れていたのかと聞かれたビーナスは、「ただ、最後のほうでは彼女がよりよいプレーをしただけよ」と答えた。
第1セットを落としたあと、カサキナは、コート上でコーチからのアドバイスを受けた。コーチのフィリップ・ドゥハスはカサキナに、「彼女は37歳で、君は20歳だ。彼女を大いに走らせろ」と言ったのだ。
ベースラインからショットを交わし合っていないとき、生意気で度胸のあるカサキナは、ドロップショットでビーナスを出し抜き、うち2本はネットぎりぎりを越えてサイドライン近くに着地した。カサキナはまた、185センチのビーナスの頭上をロブで抜き、うち何本かは功を奏し、何本かはうまくいかなかったが、いずれの場合にも冷静さを保ち続けた。
この試合では、14回のサービスブレークがあった。
ビーナスは、1-3から挽回して第1セットを先取した。彼女は第2セットでもふたたび1-3と劣勢に立ちながら、カサキナのダブルフォールトにも助けられてブレークバックし、3-3と追い上げた。
しかし、カサキナは、そこから強気の姿勢と粘りを同時に見せて食らいつき、第2セットを取り返した。非常な激戦となった第8ゲームでは、8つのデュース通して激しい戦いを繰り広げ、カサキナが6つのブレークポイントを凌いでゲームを奪取。ビーナスは、自らフォアハンドをアウトして、このゲームを失った。
カサキナのコーチは、第3セットの前に、ふたたび彼女の元を訪れた。
「イチかバチか、やってみるかい?」と彼はカサキナに聞いた。
「もちろん」と彼女は答え、それからふたりは手をぴしゃりと叩き合わせた。
第3セットで、ビーナスは自分のサービスをラブゲームでキープして5-4とリードし、次のカサキナのサービスゲームでも0-30とリードしたが、そこから、自らのフォアハンドが彼女を裏切った。
ビーナスは2度続けてダブルフォールトしてサービスゲームを落とし、今度は5-6と劣勢に立つことに。最後はビーナスがバックハンドをネットにかけ、カサキナが2度目のマッチポイントをものにした。
「彼女はただ、最後のほうでほんの少し、よりよいプレーをしただけ」とビーナスは言った。
「本当に、それほどシンプルなことなのよ」
カサキナは今、ビーナスに対する戦績を2勝1敗とした。彼女は2016年ウインブルドンで、ビーナスを第3セット10-8で倒していたのである。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はダリア・カサキナ(ロシア)
INDIAN WELLS, CA - MARCH 16: Daria Kasatkina of Russia celebrates match point against Venus Williams of the United States at the BNP Paribas Open - Day 12 on March 16, 2018 in Indian Wells, California. (Photo by Joe Scarnici/Getty Images)
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