今大会を含めてこの半年で4大会に出場し、うち3大会で頂点へ――。しかも今回の浜松三ケ日国際では、一つもセットを落とさぬ完全優勝。藤原里華(北日本物産)と岡村恭香(ストライプインターナショナル)の二人は、戦うたびに“チーム”としての力を高めつつある。

 36歳の藤原と22歳の岡村のペア誕生の契機は、今年4月。岡村のコーチと藤原が旧知の仲であることが糸口となり、「ならば二人で組もうか」という話になる。

「サーブもストロークもボレーも……才能は素晴らしいものを持っている。ダブルスの戦術などを教えれば、直ぐに伸びていくはず」

 藤原には岡村の能力に対する確信があり、一方の岡村も「各ショットには自信があるけれど、戦術などが分からないので、ダブルスの試合になるとゲームに参加できていない」というもどかしさがあった。

画像: ダブルス準優勝のルー・ジアジン(右)/奥野彩加(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

ダブルス準優勝のルー・ジアジン(右)/奥野彩加(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

 その若い才能に藤原の知識と経験が重なることにより、ペアとしてのケミカルが生まれる。藤原は試合中にも、岡村に「もう一歩前で構えて」などアドバイスを出し、リアルタイムで助言が得られることにより、岡村は「試合に参加できるうれしさが増した」という。

 今大会の優勝は……特に決勝戦の勝利は、そのダブルスチームとしての化学反応が存分に発揮されたための栄冠だろう。決勝戦はスコアこそ6-2 6-4と一方的に見えるが、実は複数のゲームの行方が“ディサイディング・ポイント”に委ねられた(※)。

 そのほとんどを取ったのが、藤原と岡村のペア。勝負強さの理由を問うと、藤原が「相手の弱いところを攻めればいいと割り切れるので、やることが明確になる」と明瞭に答え、岡村も「よいサーブやリターンを打つことだけを考えればいいので、ディサイディング・ポイントのときほど集中できる」と明言する。試合中にも相手の弱点を分析できる藤原の慧眼と、岡村の質の高いショットの両輪が噛み合い、決勝でも二人はフィニッシュラインまで疾走した。

画像: ダブルス優勝の藤原里華(左)/岡村恭香(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

ダブルス優勝の藤原里華(左)/岡村恭香(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

 ITF2.5万ドル大会で快進撃を続ける二人が、ともに見据える“先”は「グランドスラム」の大舞台。藤原が「伸びしろしか見えない」と言えば、岡村が「パワーやサーブ力のある海外の選手と戦ったときに、どんな試合になるのか客観的に楽しみ」と素早く続け、笑みをこぼした。

 視線を世界へと向ける二人は、まずは日本最強のタイトルを手にするべく、今週開催の全日本選手権へと挑む。

※ディサイディング・ポイント=アドバンテージはなく、デュースの次のポイントを取った方がゲームを取る、ダブルス限定のルール。

レポート◎内田暁(大会オフィシャルライター)

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