ジョコビッチがモデルチェンジしたサービスで公式戦に復帰へ [オーストラリアン・オープン]

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、部分的にアンドレ・アガシ(アメリカ)からインスピレーションを受けたというモデルチェンジしたサービスモーションを引っさげて、ATPツアーでの6ヵ月の休止から戻ってきた。彼は今、肘が多少痛もうとも、オーストラリアン・オープンを戦い抜けるという自信を、日に日に膨らませている。

 ジョコビッチほど多くの全豪タイトルを勝ち獲った男はいない。彼はここまで6度優勝を遂げており、昨年のショッキングな2回戦負けまで、2011年から2016年まで戦った6大会のうち5つで栄冠をつかんでいた。

 今回第14シードとして出場するジョコビッチは、ドナルド・ヤング(アメリカ)に対する1回戦の準備をするため、いくつかのエキシビションマッチをプレーしたばかりのところだ。

 グランドスラム大会優勝歴12回の男は、世界4位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、5位のドミニク・ティーム(オーストリア)、2014年優勝者のスタン・ワウリンカ(スイス)と同じクォーター(ドローの4分の1)にいる。左膝の手術に続き、やはり6ヵ月の休息を強いられていたワウリンカは土曜日、メルボルンパークで間違いなく復帰すると認め、それ自体が勝利のように感じられると話していた。

 彼らは皆、前年度覇者のロジャー・フェデラー(スイス)がいるのと同じ、ドローのボトムハーフにいる。長い故障から戻ったばかりだった昨年、オーストラリアン・オープン決勝でラファエル・ナダル(スペイン)を倒したフェデラーは、2012年以来遠ざかっていたグランドスラム・タイトルを獲り、渇きの日々に終止符を打ったのだった。フェデラーはその後、続けてウインブルドンで19番目のグランドスラム・タイトルを獲得し、2017年を全仏と全米で優勝したナダルに次ぐ世界2位で終えた。

 そのことが、ジョコビッチに希望を与えている。

「昨年、ロジャーとラファは、年齢は単なる数字に過ぎない、ということを示して見せた。特にロジャーの場合はね」とジョコビッチは、土曜日に行われた大会前の記者会見の際にコメントした。「彼は、自分の体をうまく管理することができ、どうやっていい準備し、どうやって相応しいときに調子をピークに持っていくかを知っている選手の、素晴らしいお手本だ」。

「彼は(昨年)ふたつのグランドスラム・タイトルを勝ち獲った。彼が6ヵ月の不在のあとにそんなことをやってのけると、誰が予測しただろう。だから…すべては可能なんだ」

 ジョコビッチは、2005年オーストラリアン・オープンから、リハビリ期間中だった昨年のUSオープンを欠場するまで、51大会連続でグランドスラム大会に出場していた。

 30歳のジョコビッチは、妻のエレナが9月に2人目の子供――娘のタラ――を出産したときに立ち会ったことを含め、コート外では普通の家族生活に限りなく近いものを楽しんだ、と言った。

 コート上では、彼はアガシ、ラデク・ステパネク(チェコ)らのコーチたちと緊密に働き、技術を向上させて「肘にかかる重荷を解放するために」、サービスのモーションに磨きをかけることに時間を使った。「故障があったから、それ(肘への負担を軽減する工夫)は、言うまでもなくやらねばならないことだった」とジョコビッチは言う。

 今、前ほど仰々しくなく、よりコンパクトなスイングになったというサービスについて、彼は、今週の出だしのエキシビション、クーヨン・クラシックでのティームに対する勝ち試合で、それかいかに機能したかに満足していた。

「(前と)まったく違うわけじゃないんだが、最初は、あの小さな微調整や変更が、精神的にすごく大きな違いを生んだんだ」と彼は言った。「その変更に慣れるための時間が必要だった。それが僕にとっていいのかよくないのかを理解するためにも」。

 アガシ自身も現役時代、手首の故障のために、自分のサービスのモーションを修正しなければならなかった。そして彼は、ジョコビッチのサービスの修正にも貢献した。

「ラデクとアンドレの双方が、情報を僕に渡す前に大いに話し合ったんだ」とジョコビッチは言った。「彼らは、僕のサービスを分析することに多くの時間をつぎ込んだ。僕自身もだ。僕らは、そのことについてかなり話した」。

 オーストラリアではここまで、主要プレーヤーたちの故障が注目の的になっている。ナダルもまた、長引く右膝の故障から復帰したばかりで、全豪で5度決勝に進出しているアンディ・マレー(イギリス)、また日本の錦織圭(日清食品)も、故障のため出場を取り消していた。

 一方、ここ数ヵ月、ATPファイナルズ優勝者のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、ズベレフが、世界ランキングでそれぞれ3位と4位に登り、自分たちがグランドスラム大会におけるブレークへの移行期にあるという自信を、膨らませつつある。

 ディミトロフは、自分は昨年の全豪準決勝でナダルに敗れたときよりもよい選手になったと言っている。ズベレフは、グランドスラム大会で初めて2週目深くまで勝ち進むことを目指している。

「僕は1年を通して何度も、自分には世界最高峰の選手たちと競い合い、彼らを倒す力があるのだということを、証明した」とズベレフは言った。「うぬぼれて生意気な口を聞こうとしているわけではない。でも僕はいつも、肉体的にハードワークを積み、グランドスラム大会でのパフォーマンスを向上させようと努めている、と言ってきた。(オーストラリアで)それができるよう願っているよ」。

 世界1位のナダルは、11月のATPファイナルズを途中棄権し、出場を予定していた全豪前のウォームアップ大会をスキップして、大会前の準備をいくつかのエキシビションマッチとティームとの練習試合に絞っていた。

「事前に公式戦をまったくプレーせずにここに来るのは初めてだ。僕にとって新しい状況だよ」とナダルは言った。「でも、フィーリングはいい。本当に、準備万端となるよう願っている。そこそこいいプレーをしていると感じてはいるんだ」。

 ナダルのキャリアは2005年以来故障で度々中断されてきたが、彼は最近の故障の洪水のあと、テニスツアーのスケジュールをより徹底的に検討し直す必要があると考えている。

「ツアーに故障者が多すぎる。誰かが、何が起きているかを見回し、しっかり考えるべきだ」と彼は言った。「何かが起きているときには、それが何故なのかを分析する必要があるよ」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はクーヨン・クラシックでのノバク・ジョコビッチ(セルビア)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 10: Novak Djokovic of Serbia serves against Dominic Thiem of Austria in the 2018 Kooyong Classic at Kooyong on January 10, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Daniel Pockett/Getty Images)

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