「チームがひとつになって戦えた」と二宮真琴 [フェド杯アジア・オセアニア1部]
「フェドカップ(フェド杯)アジア・オセアニアグループ1部」(インド・ニューデリー/2月7~10日/ハードコート)の大会最終日で、日本はカザフスタンを2勝1敗で倒し、3年ぶりのプレーオフ進出を決めた。
S2は前日にコンディション不良で台湾戦を欠場した奈良くるみ(安藤証券)がザリナ・ディアス(カザフスタン)と対戦。「(日比野)菜緒ちゃんのほうが疲れている中で1日休ませてもらったので、何としても勝たなければならなかった」と気合いを入れつつ、冷静に戦った。
奈良は立ち上がりにサービスゲームをブレークされる苦しいスタートだったが、すぐに本来のプレーを取戻し、お互いキープを続ける。リターンから仕掛けてポイントを奪っても、すぐに強烈なサービスで取り返され、なかなかブレークチャンスはつくれなかった。
しかし、2-3から第6ゲームで相手が2度ダブルフォールトをするなどミスが重なったところを逃さずにブレークする。その後も一進一退の攻防が続き、6-5で迎えた相手のサービスゲームでふたたび奈良が仕掛けた。ダウン・ザ・ラインにバックのウィナーを決めてプレッシャーをかけると、相手のミスもあり2度目のブレークに成功して7-5で第1セットを制した。
第2セットの立ち上がりも苦しむが、6度のデュースの末に何とかキープして、相手に先行させなかった。2-2からブレークされるが、すぐにブレークバックして食らいついた。6-5で迎えた相手サービスで30-40のワンチャンスを生かし、大きな1勝目を挙げた。
S1は日比野菜緒(LuLuLun)対ユリア・プティンセバ(カザフスタン)。日比野はこれまでの3試合に比べてショットの精度は上がっていたものの、3戦とも苦戦の連続であまりに気力と体力を消耗し過ぎたためプレー中の判断力が鈍り、粘ることができなかった。
鋭いスピンのかかったフォアを放ち、俊敏で粘り強いプティンセバに対し、ドロップショットなどで揺さぶろうとするがことごとく拾われてボレーを決められてしまう。逆に、相手にネットにおびき出されてパッシングショットを浴びるなどペースをつかめず、3-6 4-6でエース対決を落とした。
今シリーズ4戦目で初めて1勝1敗となり、勝負の行方はダブルスに委ねられた。「“やっと来た!”とう感じで気持ちの入り方が違った」と加藤未唯(佐川印刷)。二宮真琴(橋本総業ホールディングス)も「この日のために今までの試合を戦い、練習してきたので、ついにやるときがきた!」と2人は心待ちにしていた、勝負のかかるゲームに臨んだ。
立ち上がりからポーチに出たり、スイッチするなど積極的に動き、相手を惑わせた2人は、戸惑いを隠せないディアス、プティンセバのサービスゲームをブレークして3-0でリード。続く二宮のサービスゲームをブレークされるが、リードを保ったままゲームを重ねる。
個々の能力こそ高いが、コンビで崩す場面がない相手に対し、加藤/二宮はその後も仕掛け続けた。5-4から最初のセットポイントで二宮がボレーを決め、第1セットを奪った。
第2セットは先にブレークを許すが、慌てることなく続くゲームでブレークバック。第1セットのようにリードは奪えないが、1ゲームずつ重ねていった。5-5からプティンセバのサービスゲームで加藤のクロスへの巧みなフォア、二宮の強烈なショットで相手のボレーミスを誘い、ブレーク。
6-5となり、二宮のサービスから加藤が前で仕留めるという、この試合で何度も見られた形でポイントを奪い、粘るカザフスタンペアを振りきった。
「(相手は)シングルスで強いけど、ダブルスは別。練習でやってきたことを出せてよかった」と加藤は胸を張った。
貴重な1勝目を挙げた奈良は「ダブルスに勝負が懸かっても勝ってくれるという安心感があったおかげで、私と(日比野)菜緒ちゃんのどちらかが1勝すればいいという気持ちで思いきって戦えた」とお互いへの信頼感が大きな力になったという。
実業団リーグでの団体戦の経験を生かせたという二宮は「チームがひとつになって戦えたのが優勝できた一番の要因。土橋監督にリターンの強打という自分の武器を生かしてほしいと言われ、それができたのはうれしい」と語った。
今回が2度目のフェドカップでシングルス4戦を戦い抜いた日比野は「2人(加藤、二宮)が初めてで私も2度目のフレッシュなメンバーで勢いでいけたところもある。そこに(奈良)くるみちゃんの安定感があり、すごくいい組み合わせだった。これから個々のレベル、ランキング、調子を上げて4月のプレーオフも戦いたい」と次の戦いを見据えている。
編集部◎池田晋
※トップ写真は表彰式での日比野、奈良、加藤、二宮、土橋監督(左から)
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