全豪の名勝負で、ハレプが見せた新しいメンタル的強さ [オーストラリアン・オープン]
「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)の女子シングルス3回戦で、ローレン・デービス(アメリカ)を4-6 6-4 15-13で倒したあと、第1シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)は、『ほとんど死んでいたわ』とジョークを言った。それは、数えきれないほどのエネルギーを搾り取るラリーの応酬と、38本ものブレークポイントがあった、3時間45分にわたる消耗戦だった。
しかしハレプは、自分がこの試合を勝ち抜くことができたのは、脚のおかげではなく、頭のおかげだと言う。これは、これまでときどきプレッシャー下で萎れることのあったハレプにとって、大きな変化だった。
「間違いなく、私は精神的により強くなった。私は試合のすべての瞬間に、今日のように踏みこたえることができる」とハレプは言った。「そのことをすごくうれしく思う。そして何より大きな勝利は、私がメンタル面のことにうまく対処できた、ということだと思うの」。
世界1位のハレプは、そのキャリアで15のタイトルを獲得し、グランドスラム大会でも万年タイトル候補だが、まだ一度も優勝したことはない。昨年の、エレナ・オスタペンコ(ラトビア)に対するフレンチ・オープン決勝で、ハレプはセットを先取し、第2セットでも3-0とリードしていたが、そこから巻き返されて、結局敗れていた。
しかしながらデービスに対する試合では、ハレプは第3セットが延々と続き、24歳の対戦相手が自信を得始めているように見える中でも、気力と度胸を保っていた。
勝負を分ける瞬間は、10-11からの自分のサービスゲームで0-40と劣勢に立たされ、3つのマッチポイントに直面したときにきた。ハレプは落ち着きを保ち、そのすべてをセーブした――彼女が3つのマッチポイントを握られながら巻き返して勝ったのは、キャリア初めてのことだった。
この対戦は、全豪の女子シングルス史上、かかったゲーム数という意味では、最多の試合とタイ記録だった。1996年にチャンダ・ルビン(アメリカ)がアランチャ・サンチェス ビカリオ(スペイン)に勝った試合も、48ゲームかかったのだ。しかし時間的長さという意味では、2011年にフランチェスカ・スキアボーネ(イタリア)がスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)を倒すのに必要とした4時間44分の記録より、約1時間ほど短かった。
この手の試合が1、2年前に起こっていたら、勝っていなかったことだろう、とハレプは認めた。
「昔のシモナと新しいシモナを比べたら、新シモナのほうがずっといいわ」と彼女は言った。「私はただ、ポイントのことをあまり考えないように自分を変えようと努めているところなの」。
もうひとつのチャレンジは、背丈という意味でハレプ同様に小柄で、非常に似通ったタイプのプレーをしてくるデービスのような対戦相手と戦う、ということだった。ハレプ同様、デービスはパワー不足を埋め合わせるために、俊敏性とフットワークを頼みにしている。そして双方の女性が、向かってくるすべてのボールを根気強く追いかける、闘争心の強いファイターだ。
「今日、彼女は最高レベルでプレーしていたと思う」とハレプは言った。「そして彼女のバックハンドは、ときにあまりに素晴らしすぎた」。
身長157cmと、トップ100の中でもっとも身長の低い女性プレーヤーであるデービスも、自分の出来に驚いていた。彼女は、一時ランキングを26位にまで上げたこともあったが、グランドスラム大会では一度も3回戦を越えたことがなかったのである。
しかしながら、ハレプに対してこうもタフな試合を戦った事実は、デービスの競争力がいかに高くあり得るかを示すものでもあった。
「私たちはふたりとも、心の限りを尽くして戦った」とデービスは言った。「ある時点まできたら、あまりに疲れて、ただ自分に、ラケットを振って、走れ、と言うしかなかった。試合のほとんどの部分で、それは非常に効果的だったわ」。
それは、ハレプにとっても効果的だった。
「過去の私だったら、ここまで激しく戦っていなかったと思う」とハレプは言った。「今、これから何が起ころうと構わない。これはあらゆる意味で大きな勝利だった。ありがたく受け取るわ」。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は第1シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 20: Simona Halep of Romania celebrates winning a point in her third round match against Lauren Davis of the United States on day six of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 20, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Scott Barbour/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ