女王セレナが不在も、女子の戦場は変わらずタフ [オーストラリアン・オープン]
今年最初のグランドスラム「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート)が、1月15日(月)に開幕する。
前年度覇者のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がオーストラリアン・オープンのドローの中にいないことで、他の選手たちが驚きの進撃をやってのけたり、初のグランドスラム・チャンピオンとして浮上したりするチャンスが間違いなくある。
エレナ・オスタペンコ(ラトビア)とスローン・スティーブンス(アメリカ)は、昨年それをやってのけた。
ただそのことで、この今年最初のグランドスラム大会を、『通常よりオープンだ』と表現しないほうがよい。
「我々がどれほど多くの偉大な選手たちを擁しているか認める代わりに、その質問をされるたび、ほとんどネガティブな印象を覚えるわ」と、昨年ウインブルドン準決勝に進出したジョハナ・コンタ(イギリス)は、土曜日に行われた大会前記者会見の席でコメントした。
「私はここ数年、心からそう信じているのだけれど、女子テニスの層の厚み、深さは本当に凄くなってきている」と彼女は言った。「簡単に準々決勝や準決勝にいけるなんてケースはない。そんなことは存在しないのよ」。
スティーブンスは、オーストラリアン・オープンはグランドスラム大会優勝歴23回のセレナがいなくても、変わらず非常に厳しいものであるということに同意する。セレナは、難しいものだった9月の出産後の健康の問題から回復するため、大会出場を取りやめていた。
「多くの偉大な選手たちがいるわ」とスティーブンスは言った。「誰もが、やってのけかねない」。
2週間のうちに、新しい顔がメルボルンパークでトロフィーを掲げることになる。2017年、女子の世界ランク1位に就く選手は7度も変わった。5人の選手が首位に立ち、うち3人にとっては初めてのことだった。
世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)は、ついにブレークを果たし、2度準優勝に終わったあとについに初のグランドスラム・タイトルを獲りたいと願っている。彼女は、中国でのシーズン開幕戦のひとつとなる深圳オープンで優勝したが、過去2年、続けて1回戦負けを喫しているメルボルンでの成績には、悪いものもいいものもある。
「プレッシャーは感じていないわ。気分は悪くない。体はいい状態だし、始める準備はできていると感じている」とハレプは言った。「私には、もうひとつゴールがある。それはグランドスラム大会で優勝することよ」。
スティーブンスは、左足の故障で数ヵ月プレーできずにいたあと、USオープンで際立った進撃をやってのけた。彼女は、グランドスラム・チャンピオンになったことからくる突然のスターダムに順応できず、苦しんでいる。彼女は9月から7試合連続で敗れているのだが、それでも、メルボルンでふたたび自分のテニスを見出すことができると信じている。
「11ヵ月まったくプレーしていなかった状況から、突如グランドスラムで優勝するというのは、常に厳しい変化だと思うわ」とスティーブンスは言った。「私はだだ、自分の小さな世界にこもって、自分のことをしているのが好き。それが、私がやろうとしていることだったわ」。
ほかにも、タイトルを獲りうる選手は大勢いる。今や20歳となったオスタペンコはフレンチ・オープンで驚きの優勝を成し遂げたあと、ランキングを一気に駆け上がった。昨年の大会で妹のセレナに敗れて準優勝だったビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)は、37歳にして変わらぬ脅威だ。2016年全豪優勝者、アンジェリック・ケルバー(ドイツ)は土曜日にシドニー国際で優勝し、現在絶好調のところを見せている。
ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)は、新年のスタート時に健康状態が疑問に付されているとはいえ、現ウインブルドン・チャンピオンだ。カロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)は蘇りの2017年シーズンを送り、メルボルンでいい活躍を見せれば、6年ぶりに世界1位に返り咲くことができるかもしれないところにいる。
2008年優勝者のマリア・シャラポワ(ロシア)は、出場停止処分で昨年の全豪に出られらなかったあと、復帰を果たそうとしている。
そして、先週のブリスベン国際でキャリア10度目のツアー・タイトルを獲得したエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)もいる。彼女は、オーストラリアン・オープンの結果次第で世界1位になる可能性を手にしている。
「ブリスベンで素晴らしい1週間を送ったわ。もちろん、私は自信を持っている」と彼女は言った。
しかし彼女は、この上なく競争力が高く、絶えず移り変わっている女子テニス界では、それだけでは十分ではない、と言い添えた。
「皆がグランドスラム大会で優勝したいと思っている」とスビトリーナは言った。「だから、私も自分の道を切り開こうと努力するわ。そこに至るため、戦いへの準備万端となるために、私を助けるものは何か、見つけ出そうと努めるつもりよ」。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は会場で練習するシモナ・ハレプ(ルーマニア/左)とコーチのダレン・ケーヒル
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 10: Simona Halep of Romania listens to coach Darren Cahill during a practice session ahead of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 10, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Michael Dodge/Getty Images)
Pick up
-
2024-12-12
サービス第二弾!テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)12月25日(水) 書籍&電子書籍同時発売
テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)20
-
2024-12-12
テニスマガジン今後の予定(部活および新刊情報)
CHECK1テニスマガジンONLINEテニス界の最新情報を毎
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2023-04-03
『テニスの心理学~“心”技体を鍛えてメンタルタフになれ!』(佐藤雅幸著)
Tennis Magazine extraシリーズの最新刊『
Pick up
-
2024-12-12
サービス第二弾!テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)12月25日(水) 書籍&電子書籍同時発売
テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)20
-
2024-12-12
テニスマガジン今後の予定(部活および新刊情報)
CHECK1テニスマガジンONLINEテニス界の最新情報を毎
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2023-04-03
『テニスの心理学~“心”技体を鍛えてメンタルタフになれ!』(佐藤雅幸著)
Tennis Magazine extraシリーズの最新刊『