ロックダウン解除のフランスでテニス選手たちが練習再開、予防策を徹底

 38歳のマウはダブルスプレーヤーとしてグランドスラムのタイトルを獲得したが、恐らく2010年ウインブルドンにおいてジョン・イズナー(アメリカ)に第5セット68-70で痛恨の敗戦を喫したことでもっともよく知られている。これはテニス史上最長の試合で、彼らは168ゲーム連続のサービスキープと合わせて216のサービスエースを記録するなど11時間5分プレーした。

 しかしこの日の彼にとっては、バレ―ルに対して1本のサービスエースを奪うことさえ骨の折れることだったのである。

「ラケットのフィーリングを失うことはない。あったとしても、ほんのわずかだけだ」とマウは久しぶりのプレーを振り返った。「本当に厳しいのはサーブだね。脚が重い。ふたたび最高レベルに戻るには、かなり時間が必要だろう」。

 彼はそれが起こるのが、練習場から数百メートル離れたパリ西部のロラン・ギャロスであることを願っている。このクレーコートのグランドスラム大会は本来5月24日開始の予定だったが、パンデミックのために9月20日に延期された。

「楽観的な見方をすれば、我々はロラン・ギャロスでプレーすることになるだろう。でも現実的には、まったくプレーできない非常に難しいシーズンになりかねない」とマウは話した。

 例え無観客であっても、いつテニスが再開できるかに関しては多種多様な意見がある。

「もし感染の危険があるなら、ツアーを再開できないことは確かだ」とマウは言った。「観客なしでプレーすることはオプションのひとつか? それは本当に分からない。誰が正しくて誰が間違っているかを論議することについて、今が適切だとは思わない」。

 青いマスクをつけたベルナール・モンタルバン医師が、マウとバレ―ルを見守っていた。彼はフランスのテニス選手が安心して練習に戻っていけるよう、医師としてサポートしている。マウとバレ―ルは近いうちに、ウイルスのテストを受けることになっている。

 しかしモンタルバン医師は、テニスが完全に普通の状態に戻るにはワクチンを待つ必要があるかもしれないと考えている。

「いつワクチンの準備ができるかははっきりと言えないが、おそらくそう時間はかからないだろう」と彼は私見を述べた。「どのような指示がでるのか見てみよう。でも私は個人的に、プロテニスは確かなワクチンができる前に再開するだろうと思っている」。(APライター◎ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)

※写真は昨年のウインブルドンで練習に向かうニコラ・マウ(フランス)(Getty Images)

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