Next Gen ATPファイナルズ開幕! 組み合わせとルール解説
6日夜、イタリア・ミラノ市内のホテルで、「Next Gen ATPファイナルズ」(11月7〜11日)開幕前夜の記者会見が行われた。今年から創設された、この21歳以下のトップ8による大会は、シーズン末にロンドンで行われている世界トップ8による「ATPファイナルズ」(11月12〜19日)の若手版である。
開催国のワイルドカード(主催者推薦枠)選手を含む8人が顔をそろえたこの会見の場で、ATPのロス・ハッチンスは大会発足の意図を説明。
「ATPは常に新しい方法の導入や革新を検討してきた。これは新しく導入される可能性がある方法の最新のテストの場でもある」と、ハッチンスが言った通り、今大会は、これまでいくつかの大会で小出しに試されてきたノーレット、ホークアイビュー・カメラによるラインジャッジなどの革新案を、まとめて試す場となっている(全リストは下記参照)。
そしてもうひとつの理由は、「これらの若手たちは、テニスの未来だからだ」。多くの者にとって、これが第一の理由であるはずのものだろう。実際、今大会の存在が若手のやる気に発破をかけたのではと思えるほど、今季、若手たちの台頭は目覚ましかった。
なお、今大会で採用される革新案をすでに試して練習した選手たちは、「すべてが全然違う。10年以上も別の方法でやってきたから、体が覚えておらずピンとこない。とにかく慣れていく必要がある」(メドベデフ)、「僕にとって一番難しいのはレットがないこと。何度もノーレットであることを忘れてしまって、やり直そうとしていた」(シャポバロフ)と、やや混乱をきたしている様子。新しいことへの順応が早いと言われる若手たちでさえこうなのである。
今大会で採用される革新案の多くは、試合の休止時間を削除して進行のスピードアップを図るためのもの。そのリストは以下の通りだ。
主なルール
(1)4ゲーム先取の5セット
従来の6ゲーム先取の代わりに4ゲーム先取。3-3となった場合はタイブレークが行われる。
(2)ノーアドバンテージ
40-40のデュース後のアドバンテージがなく、次のポイントを取ったほうがゲームを取る。
(3)5分のウォームアップ
ウォームアップ時間は5分。選手入場の5分後には試合が開始する。
(4)線審の排除
線審はおらず、ホークアイ・ビューのカメラが、リアルタイムで全ラインジャッジを行う。つまりジャッジに文句をつける時間も省かれる。
(5)コーチングOK
コーチは各セット終了後に、ヘッドフォンとマイクを通して選手とコミュニケーションをとることが許される。
(6)ノーレット
レットの廃止。サービスがネットコードに当たっても、サービスエリアに入ればそのまま試合続行となる。
(7)メディカル・タイムアウト3分
各選手は、各試合で3分のメディカルタイムアウトを許される。
(8)ショットクロックの採用
エンドチェンジで選手が余計な時間を過ごさないよう計るタイマーはすでに存在するが、ここではポイント間の時間、25秒を厳守させるためのショットクロックが採用される。
(9)完全シングルスコート
シングルスラインのみのコートを使用。
(10)観客の自由な出入り
コートのエンドラインの後ろの席を例外に、観客は好きなときにスタンド(観客席)に出入りできる。
7日の組み合わせ(時間は現地時間、[ ]内はシード順位)
大会初日、7日の顔合わせは以下の通りだ。ジュニア時代には、多くの対戦を重ねてきた彼らだが、初日の組み合わせで、プロレベルになってからの対戦は一度もない。
ちなみにワイルドカードで出場する『8人目』、21歳のジャンルイジ・クインツィ(イタリア)は、最新の世界ランキングこそ306位と、ほかの7人からかなり離れているが、2013年のウインブルドン・ジュニア決勝でチョン・ヒョン(韓国)を下して優勝し、将来を嘱望されていた選手。8歳のときに、その才能に目をつけたニック・ボロテリーがスカラシップを申し出た、という逸話もある。
デイ・セッション|第1試合(14時開始)
カレン・ハチャノフ(ロシア)[2] vs ダニール・メドベデフ(ロシア)[7]
デイセッション|第2試合
デニス・シャポバロフ(カナダ)[3] vs チョン・ヒョン(韓国)[6]
ナイト・セッション|第3試合(19時30分以降)
ボルナ・チョリッチ(クロアチア)[4] vs ジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)[5]
ナイト・セッション|第4試合
アンドレイ・ルブレフ(ロシア)[1] vs ジャンルイジ・クインツィ(イタリア)[WC]
ラウンドロビン・グループ
グループA
アンドレイ・ルブレフ(ロシア)[1]、デニス・シャポバロフ(カナダ)[3]、チョン・ヒョン(韓国)[6]、ジャンルイジ・クインツィ(イタリア)[WC]
グループB
カレン・ハチャノフ(ロシア)[2]、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)[4]、ジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)[5]、ダニール・メドベデフ(ロシア)[7]
Race to Milan ランキング(10月30日付)
Race to Milan(ATPランキング)選手名(国名)年齢|2017年の主な戦績ほか
1位(4位) アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)20歳 |ATPファイナルズ出場(今大会欠場)
2位(35位)アンドレイ・ルブレフ(ロシア)20歳|ウマグ(ATP250)優勝
3位(44位)カレン・ハチャノフ(ロシア)21歳|ハレ(ATP500)ベスト4のほか、4大会でベスト8
4位(49位)デニス・シャポバロフ(カナダ)18歳|モントリオール(ATP1000)ベスト4
5位(51位)ボルナ・チョリッチ(クロアチア)20歳|マラケッシュ(ATP250)優勝
6位(54位)ジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)21歳|シンシナティ(ATP1000)ベスト8
7位(54位)チョン・ヒョン(韓国)21歳|ミュンヘン(ATP250)ベスト4、バルセロナ(ATP500)ベスト8
8位(63位)ダニール・メドベデフ(ロシア)21歳|チェンナイ(ATP250)準優勝のほか、7大会ベスト8以上
56位(294位)ジャンルイジ・クインツィ(イタリア)21歳|2013年ウインブルドン・ジュニア優勝
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