ドーピング違反のジャリーに11ヵ月の出場停止処分、ITFは意図的でないことを認める
世界ランク89位のニコラス・ジャリー(チリ)が昨年11月のデビスカップ・ファイナルズでのテストで陽性反応を示したことにより、月曜日に国際テニス連盟(ITF)から11ヵ月の出場停止処分を受けた。
独自の声明文の中で24歳のジャリーはその懲罰を「受け入れた」と語り、これにより彼は11月15日までプレーすることができなくなった。一方でITFは、彼の尿から検出された2種類の禁止成分はブラジルで作られたビタミン剤が汚染されていたため検出されたものであるという彼の説明を認めた。
彼の活動停止処分の期間は、テニスおよび世界中の他のスポーツが新型コロナウイルス流行のため休止されている時期に当たっている。すべてのプロツアー公式戦は、少なくとも7月半ばまで延期またはキャンセルされた。
「(判決に抗議するなどして)法的手続きを延長させても、僕のプロとしての未来にストレスと不確かさが増えることにしかならない」とジャリーはコメントした。
ITFはジャリーについて「この違反行為について大きな落ち度や不注意な行為があった訳ではない」と裁定したが、体から検出されたものについてはプレーヤー自身に責任があると判断してこの処分を下した。
世界アンチドーピング機構は今回の検査で、ジャリーのテストサンプルからリガンドロールとスタノゾロールを検出した。スタノゾロールはステロイドで、リガンドロールはステロイドのような効果を発揮する薬物だ。
「特注のサプリメント、特に南米の薬品工場で製造されたサプリメントの摂取がアンチドーピングルールの対象となるスポーツマンやスポーツウーマンにとって大きなリスクを伴うことは明らかだ」とITFは声明文の中で述べた。「そして、そのような形で違反を犯したテニス選手に課せられてきた出場停止処分の増加も、他の選手が同様のリスクを冒すことを思いとどまらせるのに十分ではなかった」。
2019年7月にキャリア最高の38位をマークしたジャリーは、プロとして200万ドルの賞金を稼ぎ出した。ATPツアーではシングルス1回、ダブルスで2回タイトルを獲得した実績を持っている。彼はまた、2018年フレンチ・オープンとUSオープンのダブルスで準々決勝に進出していた。
彼が暫定的な出場停止処分を受ける前に出場した最後の大会は、1月のオーストラリアン・オープンの前哨戦であるアデレード国際の予選だった。ITFは彼の出場停止処分の開始期日を、遡って12月16日に定めた。つまり彼は、この期日後に稼いだランキングポイントと賞金を返上しなければならないことになる。
「非常に辛い数ヵ月だった。そして起きたすべてのことはフェアではないと感じることもあるが、僕はこの状況から可能な限り多くのことを学ぼうと考えている」とジャリーは語った。「僕は最終的にこの経験から、自分がより強くなることを信じているよ」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真はATPカップ(オーストラリア・ブリスベン)でのニコラス・ジャリー(チリ)
BRISBANE, AUSTRALIA - JANUARY 06: Nicholas Jarry of Chile plays a shot in his match against Lloyd Harris of South Africa during day four of the 2020 ATP Cup Group Stage at Pat Rafter Arena on January 06, 2020 in Brisbane, Australia. (Photo by Jono Searle/Getty Images)
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