高校総体のシーズンです。
今回は、全くの私事です。

私は長崎県の青雲学園という高校の出身です。九州では、比較的知られた進学校で、医学部への進学率が高いことで知られます。そのため、私の在学中には、あまり学校としては部活動には力を入れていませんでした。私がインターハイの出場権を勝ち取ったときには、「インターハイの日程が、夏季の模試と重なるので辞退しなさい」などと言われたほどです。

それから30年近く経過した現在でも、かなり部活動は困難なようです。冬場などは授業が長引く関係上、選手たちがアップを終えた頃には、日が暮れていることも多いようです。さらに土曜日は午後からの4時間しか、学校のコートが使用できずに。日曜日は基本的に練習は許可されず、年間の練習試合の数も制限されているという徹底ぶりです。

一方で、いわゆる"テニスの名門高校”と言われる学校はどうでしょうか? テニスをしていれば授業の単位に充てられる高校も多く、土日には部活専用のバスを使って、練習試合や遠征試合に出かけるのが一般的です。さらに名門校は、各地の有望なジュニア選手に声をかけて入部を促すのですから、そもそものスタート地点が違います。

どちらの学校も目的が違うのですから、システムが違って当然です。

ただ、いつも私が感じることは『どちらの生徒たちも自分の可能性を狭くしないでほしい』ということを思います。

テニスというスポーツは競技の性質上。完成まで非常に時間がかかります。そのため、スタートが遅い選手は、才能があり、努力を重ねても、短い時間でスキルを極めるのは、非常に難しいスポーツです。

一方で学問。最近ではかなり選択肢が増えたところもありますが、日本の5教科を中心とし、暗記を重視した学校教育では、中学、高校のどこかで、つまずくと中々、挽回が難しい教育システムであることも特徴です。そのため、日本ではかなり早いうちに『スポーツ or 勉強』と選択肢を狭めて、進路を決定しなくてはなりません。

いろいろと生徒たちに葛藤は多いものの、この日本の現状を変えることは非常に難しく、長い時間がかかりますし、果たしてそれを変える必要があるのかというのも疑問です。

そんな中で、私個人の意見は、進路を決めたあとも、そこで選ばなかった、一方を諦める必要はないと最近よく思います。

高校総体で勝てなくても、大学に進学し、医者になってもテニスを本格的に頑張ることもできます。イタリアには、医師免許を持つ元デビスカップ選手などもいました。

テニスのプロを目指すか……実業家になるかを悩んだあげくに、実業家を選んだ、今では誰もが知る、日本のトップの実業家の方も存在します。

昨年、モンテカルロ・テニスクラブで、ラリーメイトを務めてくれたコーチがいました。当時、42歳になる彼が言っていた言葉が忘れられません。

「僕は、電気関係の会社で仕事をしてお金を貯めた。45歳になったら長年の夢だったツアー(シニアツアー)を周りたい。子どもはジュニアツアーにチャレンジするんだ! そのために今はコーチの仕事をしながら練習ができる、この仕事をしているんだ」

20年後のことなんて、誰もわかりません。

がんばれ!! 

全国の高校テニス選手たち。
夢も現実も、どちらも大切に!

本来は個人競技のテニス。しかし、高校テニスで汗を流した人間が、何年たっても思い出すのはやはり団体戦です

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