男子団体決勝は相生学院と湘南工大附が2年ぶりの激突 [2021高校センバツ]

決勝進出を決めた相生学院のS3佐々木康大(写真◎BBM)

「第43回全国選抜高校テニス大会」(3月20~26日/団体戦:博多の森テニス競技場、個人戦:春日公園テニスコート、博多の森テニス競技場/砂入り人工芝コート)の大会4日日、24日の男子団体は準決勝が3セットマッチで争われ、湘南工大附(神奈川)と相生学院(兵庫)が決勝へ勝ち上がった。

 まず決勝への切符を手にしたのは相生学院だ。初のベスト4進出を果たした名経大市邨(愛知)を3勝1敗で退けた。3面展開でスタートする中、S1栗山晃太朗が先勝すると、D1高畑里樹/大矢穣士も続いて王手をかける。S2南颯汰は名経大市邨・奥地佑都の粘りの前に屈したが、最後はS3 佐々木康大が3勝目をマークして勝利を決めた。

 2019年の第41回大会に続く連続優勝を狙う相生学院であっても、やはり簡単には勝たせてもらえない。S2で南が第1セットを奪ったときは一気の3連勝も視界に入りながら、逆転負け。それでも澁谷竜矢監督は「S2がしっかり戦ってくれたことでチームに安心感を与えてくれた」と評価する。2勝0敗というスコアを維持することで、S3の佐々木とD2の藤田大地/藤髙聡真が落ち着いて試合に入っていくことができた。

敗戦が決まり泣き崩れた名経大市邨のS3植松恭悟(写真◎BBM)

 敗れた名経大市邨の若林勇希監督は「団体としてのベスト4は始めてで目標でもあったが、やはり準決勝で負けると悔しさがにじみ出てくる」と唇をかみ、主将の伊左治陽生も「相生学院はやっぱり強かった。あと一歩が遠かった」と力の差を認めた。一方で伊左治は「全国の強豪との差があと一歩だと感じることができた。夏はさらに上を狙いたい」と気持ちを新たにしていた。

 やはり3面展開で始まったもう一方の準決勝は、もつれにもつれた。湘南工大附は主将の田中佑が関西(岡山)の髙悠亜とのS1対決を制するも、関西はすかさず岩本晋之介でS2を取り返す。D1がフルセットにもつれ込む中で、D2を湘南工大附の北牧慶一朗/関口恒が制すと、S3は関西の角南凌が勝利して2勝2敗に。その直後、第3セット終盤に突入していたD1は関西の吉原幹人/今村匡斗士がブレークバックして5-5に追いつくという白熱のシーソーゲームが展開されたが、最後は湘南工大附の山田雅貴/賀川嵩介がブレーク、キープと並べて3時間を超える熱戦に終止符を打った。

湘南工大附を決勝に導いたD1山田雅貴/賀川嵩介(写真◎上野弘明)

 前日の3回戦、準々決勝に続いて5試合を戦いきっての際どい勝負に、「拮抗していたD1がどちらに転ぶかで決まると感じていた」という湘南工大附の瀬野圭紀監督。山田/賀川のペアが見事に指揮官の期待に応えてみせた。

 一方、敗れた関西の前崎直哉監督は「初のベスト4は素晴らしいが、選手たちは優勝を目指していた。力を引き出してやれなかった自分の未熟さを感じる」と肩を落とし、すべてがかかったD1で競り負けた主将の吉原も「戦う姿勢は出せたが、もっと出せたと思う」と悔しさをのぞかせる。それでも、吉原が「夏に向けてはもっと全国優勝にフォーカスしたい」と決意を口にしたように、チームとしてひとつ上のステージへ上がれたことは間違いないだろう。

悔しい3位表彰となった関西の主将・吉原。夏はさらに上を目指す(写真◎上野弘明)

 決勝は奇しくも2年前の第41回大会と同じ顔合わせ、コロナ禍により昨年の第42回大会は中止となったため、2大会連続で同じ決勝カードとなった。前回は鮮やかにスタートダッシュを決めた相生学院が勢いのままに3勝0敗で押し切り、通算4度目の優勝を果たしている。

 相生学院の澁谷監督が決勝へ向けて「相手が強いのは間違いない。シングルスのどこかがポイントになる」と語れば、湘南工大附の瀬野監督も「我々はチャレンジャー。いい入りをしてほしい」とここまでの4試合すべてでS1として勝利を運んだエース兼主将の田中に期待をかける。

 2大会連続5度目の優勝を狙う相生学院か、5年ぶり8度目の戴冠へ向けてリベンジを誓う湘南工大附か。戦力に差はないだけに、2年ぶりとなる「全国決勝」は激戦必至の手に汗握る戦いになるだろう。

 大会5日目の25日は、博多の森テニス競技場で男女団体の決勝、男女個人の本戦3回戦、準々決勝が行われる。団体決勝は3セットマッチ、個人戦は8ゲームマッチで、ともに9時30分開始予定だ。

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編集部◎杉浦多夢 写真◎上野弘明、BBM

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