快調な出だしも失速したフェデラー「勝つチャンスは3%程度だと分かっていた」 [オーストラリアン・オープン]

今年最初のグランドスラム「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月20日~2月2日/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、ディフェンディング・チャンピオンで第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)を7-6(1) 6-4 6-3で下し、大会連覇に王手をかけた。

 ナイトセッションで行われたこの試合では、明らかにすべては最初の1時間にかかっていた。彼らは湿気が多く、一時的に休息を与えるそよ風のない気温が30度ほどになった蒸し暑い夜にプレーした。

 フェデラーが7つのマッチポイントをセーブしてフルセットでテニス・サングレン(アメリカ)を苦労の末に乗り越えた準々決勝が終わった瞬間から、38歳の彼がどれほど回復することができるかについての憶測が飛び交い始めた。

 筋肉の問題が彼に棄権を強いるのではないか? なぜ彼は水曜日に練習しなかったのか?

 それでもフェデラーは試合に姿を現し、最後まで彼にできる限りのものを尽くした。彼は400を超えるグランドスラム大会の試合で決して対戦相手に不戦勝を与えたことはなかったし、ツアーレベルの1500以上の試合のどれからもリタイアしたことがなかったのだ。

「もし勝つチャンスがまったくなかったら、コートに行ったとは思わない」とフェデラーは矜持を示した。「僕に試合ができることを、皆が見たと思う」。

 実際、試合の出だしにはフェデラーは問題なくやってのけているように見えていた。この試合は雰囲気という意味でも、緊迫感という意味でも、テニスの内容という意味でも、彼はいいスタートを切っていたのだ。

 双方の選手の名を呼ぶ観客のコーラスが主審の「静粛に」の注意を促す中、14ポイントのゲームで試合は始まった。17本のラリーがあり、15本の打ち合いもあった。素晴らしいサービスで無効になったとはいえ、ジョコビッチにとってのブレークポイントがふたつあった。フェデラーはそのゲームを3本のサービスエースと3本のウィナーを決めてキープし、それからブレークを果たして2-0とすると瞬く間に4-1へとリードを広げた。

 さらに程なくして、5-1になりかかった。しかし、“なりかかった”というのは勘定には入らないのだ。ジョコビッチは昨年7月の伝説的ウインブルドン決勝のときと同様、驚異的に粘り強かった。今回のジョコビッチは、「踏ん張って挽回することができた」と試合後に語った。

 0-40の劣勢を覆してキープしたジョコビッチだったが、2-5からも0-30とリードされた。しかしジョコビッチは10ポイントを連取してブレークを許さなかっただけでなく、もっとも効果的なサービスの持ち主として知られるフェデラーがキープすればセットを奪取するという次のゲームに臨んだ際にラブゲームでブレークを果たしたのだった。そう、ラブゲームで。

 最終的にもつれ込んだタイブレークで、ジョコビッチはいつもの彼だった。セットを決めたダウン・ザ・ラインへのバックハンドリターンを含めた4本のウィナーを決め、ひとつのミスも犯さなかったのだ。

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