車いすテニス、ジュニア、プロがテニスでつながる「第2回 Wheelchair Junior Professional Challenge Tennis by BNP パリバ」
車いすテニス、ジュニア、プロがテニスで繋がりダイバーシティへの理解を深めるためのイベント「Wheelchair Junior Professional Challenge Tennis by BNP パリバ」(略称WJP/主催◎公益財団法人吉田記念テニス研修センター)の第2回大会が23日、吉田記念テニス研修センター(TTC)にて開催された。
第3試合 D 斎田悟司/佐々野優香 2-5 荒井大輔/齊藤心海
ジュニアとプロ、車いすテニスと健常者の対戦や、車いすテニスと健常者がペアを組む「ニューミックスダブルス」など、まさにテニスを通して多様性を表すものとなっている。
試合は松井俊英率いるTeam Lokomaikaiと、荒井大輔率いるTeam Diverseの2チームが、25分マッチを7試合行い、総ゲーム数で勝敗を決める方法で行われ、終始Team Diverseがリードし、13ゲーム差の35対22で勝利をおさめた。
エキジビションマッチには7月に引退し、大会実行委員長を務めた美濃越舞と、日本代表チーム監督の中澤吉裕が車いすに乗り、それぞれ宇佐美慧、眞田卓とペアを組んで試合を行った。「TTCでいつも車いすテニスを見ていて、イメージはできていたのですが、実際やってみると本当に難しかった」(美濃越)と感想を述べた。
シングルス、中学生女子とのミックス、車いすジュニアとのニューミックスと3試合に出場した発起人の松井俊英は「勝負事なので、チームが負けたのは本当に悔しい」とプロらしさを見せつつ、「チーム全員緊張したと言っていました。プレッシャーも含め、いい環境で試合をさせていただいたことを選手全員が感謝しています。僕は、テニスはまだマイナーなスポーツだと思っていますので、たくさんの方の力でこの大会を広めていってほしいです」と協力を仰いだ。
松井、荒井、美濃越ら選手が発起人となってスタートしたこのイベントは、テニスの普及とサスティナビリティがマッチしたもので、今後、いろいろな発展を見せながらテニス界に根づいていく可能性を秘めている。
第8試合 D 松井俊英/小田凱人 4-5 荒井大輔/岡村一成
試合結果
Team Lokomaikai 22対35 Team Diverse
※総取得ゲーム数でTeam Diverseの勝利
※エキシビションマッチは含まず
第1試合 S 松井俊英 3-4 吉村大生
第2試合 S 川合雄大 2-4 荒井大輔
第3試合 D 斎田悟司/佐々野優香 2-5 荒井大輔/齊藤心海
第4試合 D 松井俊英/金子紗英 3-4 大前綾希子・/戸邉悠真
第5試合 S 小田凱人 2-8 佐川永遠
第6試合 S 中新ゆずりは 3-4 大前綾希子
第7試合 エキシビD 眞田卓/中澤吉裕 3-1 美濃越舞/宇佐美慧
第8試合 D 松井俊英/小田凱人 4-5 荒井大輔/岡村一成
参加者コメント
松井俊英
昨年第1回目を発起人としてやらせていただいたのですが、当時コロナ禍にあり、試合の機会が失われている選手が多くいました。でもそれはプロだけでなく、車いすテニスの選手も、ジュニアも同じで、だったら一緒にやろうということで、千葉という縛りを設けての開催となりました。
今年はダイバーシティ(多様性)ということをテーマにさらにいろいろな試合を組ませていただきました。新しい試みとしては車いすジュニアの小田選手と、健常ジュニアの佐川選手の戦いです。生配信され、たくさんの大人たちがいる中、佐川選手は真剣にプレーしてくれ、それに小田選手もくらいつき、ゲーム数は離れましたが、良い戦いだったと思います。
今後、自分としては一般の草トーナメントに出ているプレーヤーなども入れたりしたら面白いかなと思うので、さらに第3回、4回と続けていけたらうれしいです。
荒井大輔
去年に引き続き実行委員として携わらせていただきましたが、こういうイベントができたことをうれしく思います。チームとしても勝利を目指して戦い、ほぼ完全勝利できました。このWJPは、テニスという一つのスポーツの中にいろいろな種目があり、みんなで一緒に競い合うのが特徴といえます。来年以降も続けていきたいと思っているので、たくさんの方に広めていただき、新しいイベントとして確立したいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
美濃越舞
実行委員長として携わらせていただきました。自分自身は7月に引退をしており、今までイベントには、全部準備していただいて、そこに参加するだけでした。今回は企画から準備等やらせていただき、遠くから参加してくださる選手や、スポンサーの方、メディアの方と、本当にたくさんのご協力があってイベントができているということ、またそのたいへんさを感じることができ、あらためて感謝しています。
テニスは野球やサッカーに比べるとイベントなどもまだまだといった部分が多くありますので、またこういった形でテニス界が盛り上がることに携わらせていただけたらと思っています。今日はありがとうございました。
中澤吉裕(車いすテニスナショナルチーム監督)
心から楽しく、素晴らしい時間を過ごさせていただきました。荒井選手にこのイベントがどんなものか聞いていて興味を持ち、自分もできることがあればと思っていたので、参加できてうれしかったです。今回感じたのは、このTTCさんという場所は、車いす選手と健常選手が、同じようにプレーができる空気をすでに持っている場所なんだということをつくづく感じました。
今日も健常選手たちが、車いすのプレーヤーに対してきちんと気持ちを込めたプレーをしてくださいました。こういうプレーをしてもらうことで、気持ちが繋がる。よくダイバーシティ、共生のためにどういうイベントをしたらいいのか、と聞かれるのですが、まさにこのイベントが表していると思います。これがきっかけとなり、大きな一歩になる。私もフィードバックし、テニスを一緒に盛り上げて行ければと思います。
(情報提供◎WJP実行委員会)
写真◎長浜功明/WJP
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