波に乗るキリオスが世界7位ルブレフとの2回戦に圧勝 [マイアミ・オープン]

写真はニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「マイアミ・オープン」(ATP1000/アメリカ・フロリダ州マイアミ/3月23日~4月3日/賞金総額955万4920ドル/ハードコート)の男子シングルス2回戦でもっとも注目された試合は、予想とは違った意味で衝撃的なものとなった。ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したニック・キリオス(オーストラリア)が第7シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を6-3 6-0で下したのだ。

 世界ランクを100位以下に落としているとはいえ、「やる気があるときのキリオスは誰でも倒すことができる」とラファエル・ナダル(スペイン)に言わしめるキリオスの潜在能力は、皆が知るところだ。そのため世界7位のルブレフとの試合は熱戦になるだろうと期待が高まっていたのだが、結果はキリオスの一方的な勝利となった。これに先立つふたりの対戦成績は1勝1敗だったが、その双方がフルセットにもつれる接戦となっていた。

「ルブレフはラリーのリズムを頼みにゲームを築く選手だ。だからラリーを短くシャープにし、アグレッシブにプレーすることであまり多くのグラウンドストロークを打たせないように心掛けた」と試合後にキリオスが話した通り、通常は自分が攻撃的なストロークで主導権を握るルブレフがこの日はラリーで圧倒され、早い段階でミスを強いられた。

 出だしは非常な競り合いとなり、デュースにもつれた末に先にブレークに成功したのはルブレフだったが、キリオスは相手のダブルフォールトにも助けられて直ちにブレークバックした。のちにキリオスは、「出だしは熱かったが、ブレークを果たした辺りで流れは僕の方に傾き出した。テニスとはそういうものだ。ほんの数ポイントで流れが変わる」と振り返った。

 その言葉通り、徐々に勢いを手繰り寄せたキリオスは続くルブレフのサービスゲームをふたたび破り、4-2とリードを広げた。実際この日のルブレフはファーストサーブの確率が51%と非常に悪く、キリオスは相手のセカンドサーブを容赦なく攻撃した。やや自滅的なミスも出て2度目のブレークを許したルブレフはその波に飲まれたまま第1セットを落とすと、第2セットでも立て続けにサービスゲームを落とし、フラストレーションからラケットを叩きつけた。

 ルブレフがようやく目を覚まして彼らしい反撃を見せたのは、0-5からキリオスのサービング・フォー・ザ・マッチが40-0となり、3つのマッチポイントを握られてからだった。ルブレフはそこからバックハンドのウィナーとフォアハンドのノータッチエースで意地を見せたが、キリオスも崩れなかった。最後はキリオスがドロップショットで相手を走らせてからロブボレー&バックボレーの2段階でとどめを刺し、6-0で第2セットを取って試合を終わらせた。

 対照的に80%のファーストサーブを入れてパワフルなストロークで相手を圧倒しただけでなく、ディフェンス的なプレーでも光るものを見せたキリオスは試合後、「サービスを打っているときのフィーリングはよかったね。スコアが7-6でも6-0でも、相手がトップ10でもトップ20~30でも、そういうことは関係ない。僕はあるときには誰にでも負けるし、誰にでも勝つことができる。とにかく勝ち上がれたことがうれしいよ」と淡々と語った。

 キリオスは3回戦で、自分と同じく天才肌だがムラ気のあるファビオ・フォニーニ(イタリア)と対戦する。第31シードのフォニーニは見事なウィナーと凡庸なアンフォーストエラーを交互に放ちながら、予選から勝ち上がってきた日本のダニエル太郎(エイブル)と競り合った末に6-7(1) 6-2 7-6(5)で勝者となった。

 堅固なプレーを見せたダニエルは第3セットのタイブレークで3-6から5-6まで追い上げたが、最後はフォニーニにフォアハンドのウィナーを叩き込まれて一歩届かなかった。

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写真◎Getty Images

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