19歳ジェン・チンウェンがキャリア最大の勝利で3回戦へ、パニック発作を起こしたハレプにメルボルンの雪辱 [フレンチ・オープン]

写真は試合後に握手を交わすシモナ・ハレプ(ルーマニア/左)とジェン・チンウェン(中国)(Getty Images)


 今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の女子シングルス2回戦で、第19シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)が19歳のジェン・チンウェン(中国)に6-2 2-6 1-6で敗れる番狂わせがあった。

 グランドスラム大会出場自体がまだ2回目というジェンにとって、これはここまでのキャリアで最大の勝利となった。

「素晴らしい気分だわ。これは私にとって2度目のグランドスラム大会だから、コートに立てるすべての機会を楽しんでいる。いつも通りベストを尽くそうとした。今日のパフォーマンスには満足している」とジェンは試合後にコメントした。

 特に第2セットから厳しいコースをついてくるハレプのストロークにしっかり追いついて切り返すディフェンス力とチャンスとあらば厳しいコースに怯まず打ち込んでしっかり組み立てながらもウィナーを狙っていく攻撃力の双方を見せたジャンは、第3セットに入って体調を崩した様子のハレプが何度かトレーナーを呼んでも惑わされることなく最後まで自分のテニスを遂行した。

 ふたりは今年の1月にメルボルンで一度顔を合わせており、その際にはハレプがストレートで勝っていた。

「メルボルンで私は多くを学んだ。彼女は非常に一貫性のある選手で、あのときの私はコートの上であまり辛抱強くなかった」とジェンは振り返った。

「今回の私はより我慢強くプレーするようにし、より踏ん張って彼女と一緒にコートに留まり、ラリーで勝つチャンスを見つけようとしていた。それが、前の対戦から私が学んだことだった。だから今日はいいパフォーマンスができてうれしいわ。それが勝てた理由よ」

 いいスタートを切ったハレプは4本しかアンフォーストエラーを犯さず第1セットをすんなり取り、第2セットでも先にブレークして2-1とリードしたが、そこで流れが変わった。ジェンは直ちにブレークバックするとそのまま5ゲームを連取して第2セットを取り返し、第3セットでも先に相手のサービスゲームを破って3-0とリードした。

 そしてハレプは第3セットに入るとほとんど涙ぐみながら胸を押さえたりコート後方で前屈みになったり、激しく呼吸しながら頭を押さえたりし始めた。2度に渡ってトレーナーが呼ばれたが、結局ハレプは棄権せずに最後までプレーを続けた。

 観る者はハレプが胃腸疾患などで具合が悪くなったのではと訝ったが、試合後に本人が明かしたところによれば「パニックの発作」が原因だった。

「あまり頻繁に起きないから、どう対処していいかわからなかったの」と2018年大会のチャンピオンで元世界ランク1位のハレプは試合後の記者会見で説明した。

「私はリードし、いいプレーをしていた。それなのに負けた。集中できなかった。試合後は本当に辛かったけど、今はもう大丈夫。回復したわ。そして私は、この出来事から学ぶでしょうね。危険なことは何もない。医師がすべてチェックしてくれ、身体はすべて問題なかった」

 ハレプはそれが、いい成績を強く望み過ぎていたことからくるものだろうと考えていた。

「ただのテニスの試合なのだから、もっとリラックスすべきなのでしょうね。心からいい活躍をしたいと願っていたことで、恐らく私は自分にプレッシャーをかけ過ぎてしまった。(試合前には)気分はよかったし、しっかり練習してハードワークを積んでいた。でも望んでいた通りのことが起きず、私は恐らくあまりに考え過ぎたことでパニックに陥ってしまったの」

 昨年のローマでふくらはぎを負傷したハレプはシーズン後半を棒に振り、復帰後もなかなか以前の位置に戻れず苦労していた。その過程で彼女は雇ったばかりの新コーチたちとの関係を今年2月に解消し、4月にセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のコーチとして知られるパトリック・ムラトグルー氏を新コーチとして再出発を切っていた。

 ジェンは次のラウンドで、アリゼ・コルネ(フランス)と対戦する。センターコートで女子シングルス2回戦最後の試合をプレーしたコルネは、2017年覇者で第13シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア)を6-0 1-6 6-3で退けた。

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写真◎Getty Images

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