ナダル、悲しみに暮れるバウティスタ アグートがスペインをデビスカップ優勝へ牽引

男子テニスの世界国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(11月18~24日/スペイン・マドリッド/室内ハードコート)の決勝で、世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン)はラ・カハ・マヒカのセンターコートで持てるすべてを捧げた。ナダルは新生デビスカップ・ファイナルズの6日間に8試合――シングルス5試合、ダブルス3試合――をプレーすることで、故障する危険をおかしたと認めさえした。

 今大会でナダルはプレーした8試合すべてに勝ち、スペインを6度目のデビスカップ・タイトルへと導いた。スペインは日曜日の決勝で、初めて決勝に進出したカナダを2勝0敗で破ったのである。

 しかしナダルにとってスペインのヒーローは、悲しみに暮れるチームメイトのロベルト・バウティスタ アグートだと言う。バウティスタ アグートは大会期間中に父の死に直面し、その3日後に第1シングルスに勝つことでスペインを勝利に続く道へと送り出したのである。

「僕は8試合で勝ったが、このデビスカップで決定的な存在だったのはロベルトだ」と、ナダルは仲間を称えた。

「僕の意見では、彼がやったことはほとんど超人的なことだ。どう説明したらいいのかわからない。僕の残りの人生において、それは模範となるだろう。彼は(病気の父の容態が悪化したため)大会から去らなければならなかった。それから彼の父親が亡くなり、そのあと大会に戻ってきた。そして彼は昨日僕らといっしょに練習し、今日の彼はふたたび非常に高いレベルでプレーする準備ができていた。信じられないことだ」

 第2試合でナダルがデニス・シャポバロフ(カナダ)を6-3 7-6(7)で倒してタイトルを獲得する前、バウティスタ アグートは第1試合でフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を7-6(3) 6-3で下し、スペインに1勝0敗のリードを与えていた。スペインがホームで優勝したのは、2011年以来のことだった。

 バウティスタ アグートは自分の試合で最後のポイントを取ったあと、指を天に向け、彼の名を呼ぶ観客たちに向けて短いスピーチをしたときは涙にくれた。

「今日、僕はコート上で驚くべき感慨を体験した」とバウティスタ アグートは語った。彼は表彰式で、デビスカップを掲げたスペイン代表プレーヤーだった。

 彼の父は、息子がニコラ・メクティッチ(クロアチア)を倒した翌日に当たる木曜日に、2016年に遭った事故に起因する病気のあと急速に健康状態が悪化したことにより命を落とした。バウティスタ アグートが大会の間の頑張りについてナダルにお礼を言うと、ナダルは涙ぐんだ。

「君は週を通し、僕らを感動でゾクゾク、ワクワクさせた」とバウティスタ アグートは声をかけた。「ありがとう。君が来年も同じことをやって見せると確信しているよ」。

バウティスタ アグート(左)とナダル(右)(Getty Imagess)

 世界9位で31歳のバウティスタ アグートは、チームメイトのパブロ・カレーニョ ブスタとマルセル・グラノイェルスが決勝直前にちょっとした故障に見舞われていたためプレーすることになった。

「チームの皆が初日から素晴らしい努力をしたから、僕は今日プレーするチャンスを得ることができたんだ」とバウティスタ アグートはチームメイトに感謝の意を述べた。

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