フレンチ・オープンで最終セットのタイブレーク導入はあるか?
今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の本戦13日目は、男子シングルスと女子ダブルスの準決勝などが行われる予定になっている。
見たところラファエル・ナダル(スペイン)は、男子シングルス準決勝に勝つ有力候補だ。結局のところ彼は12度優勝しているチャンピオンであり、ロラン・ギャロスの準決勝と決勝で合わせて24勝0敗という圧倒的な戦績を誇っている。金曜日の相手であるディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)との過去の対戦成績は、ナダルが9勝1敗でリードしている。
それだけではなく、ナダルには有利に働くことがもうひとつある。第2シードの彼は準々決勝に3セットで勝ったが、第12シードのシュワルツマンはそこで5時間8分に渡る5セットを戦ったということだ。これは部分的にナダルがより効率よく戦ったことで得たアドバンテージで、彼はその優位性を手にするに値する。
それはシュワルツマンが第3シードのドミニク・ティーム(オーストリア)に対して手にしていた優位性と同じであり、前の試合でワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したユーゴ・ガストン(フランス)と5セットを戦っていたティームは少なからず疲労を抱えていた。
これはグランドスラム大会の男子シングルスをベスト・オブ・5セットマッチからベスト・オブ・3セットマッチに変えることについて、論議が間違った方向に導かれる理由のひとつに過ぎない。
現在のフォーマットはより多くのどんでん返しや逆転劇を観る機会を増やし、より多くのサスペンスやドラマチックな状況が起こる可能性を高めている。それがグランドスラム大会を、よりグレードの低い大会とは違ったものにしているのだ。それはよりスタミナがあり、より集中力が高いものにチャンスを与える。それはときに――“いつも”ではない――、人々の記憶に残る名勝負を生み出す原動力になっている。
金曜日の準決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する第5シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)が子供の頃にロラン・ギャロスをテレビで観るために学校をさぼったことについて話したとき、彼の頭に浮かんだ最初の試合は第5セット16-14でファブリス・サントーロ(フランス)が勝った一戦だった。それは2004年の男子シングルス1回戦で、サントーロが6時間33分の死闘の末にアルノー・クレメン(フランス)を倒していた。
「僕はいくつかのスリル溢れる伝説の試合を見たよ。5セットマッチの凄い試合だった」とチチパスは懐かしんだ。
ここ4つのグランドスラム大会で男子シングルス決勝のすべてが第5セットで決着し、そのうち2試合はタイブレークにもつれ込んだ。それはこの日曜日には起こりえないが、それは問題ではない。
だからこそフレンチ・オープンが他のグランドスラム大会と同じように最終セットでタイブレークを採用すべき、と考えるのは間違っている。
フランステニス連盟(FFT)は最終セットを2ゲームリードからタイブレークに変えることについての質問に対し、「その議題については、もう何度も話されてきました。しかし今のところ、そのルールを変えるつもりはありません」とAP通信に回答した。
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