フレンチ・オープンで最終セットのタイブレーク導入はあるか?
5セットで6-6を超えた男子の試合がその戦いを勝者として抜け出た者に体力的ハンディを負わせるのは事実だとしても、フレンチ・オープンがそれを変えるべきだということにはならない。
今年の1回戦を見てみると5試合がロングゲームとなり、その試合の勝者の全員が2回戦で負けた。マルコス・ギロン(アメリカ)はその中のひとりで、彼は第5セットを8-6で取って勝ったが2回戦ではストレート負けを喫した。それでも彼は、現状のままにすることのほうを望んでいる。
「試合の中では流れが変わる瞬間がたくさんある。選手がいかにして試合をコントロールし、フィットネスとメンタル面のコンビネーションを駆使して勢いに乗っていくかを見るのが面白いところだよ」とギロンは私見を述べた。「それが素晴らしいんだ」。
予選を勝ち上がってきたロレンツォ・ジュスティーノ(イタリア)のコランタン・ムーテ(フランス)に対する0-6 7-6(7) 7-6(3) 2-6 18-16の勝利は、6時間5分もかかった。
ジュスティーノは2回戦でシュワルツマンに対して6ゲームしか取れずに敗れたあと、「僕は今朝、発熱、頭痛、吐き気とともに目覚めた。吐きそうで、気分は最悪だった。食欲はまったくなかった。その試合に勝った(第5セット18-16)のは素晴らしいことだったけど、体へのダメージは酷いものだった」と自分の状態について話した。「遅かれ早かれ、僕はあそこで動けなくなっていただろう」。
想像していた通り、彼の意見は第5セットでタイブレークを見たいということだった。「そうなれば少なくとも、道の分岐点にたどり着ける」。
USオープンは先月まで決勝で実現していなかったとはいえ、1970年にいち早く最終セットにタイブレークを導入していた。先月に行われた質は低いが目が話せないスリル溢れる男子シングルス決勝で、ティームはアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)に最終セットのタイブレークの末に競り勝っていた。
現在のテニス界の状況についてジュスティーノの最大の不満は、「どの大会でも同じルールであるべきだ」ということだ。
「そうでなければファンたちは、『待ってよ、先週には3セットだったろ。ここでは5セットでタイブレークなし? 何でそうなるんだ? 何が起きているんだ?』って言うだろう?」
オーストラリアン・オープン(6-6から10ポイント先取のタイブレーク)とウインブルドン(12-12になったら7ポイント先取のタイブレーク)は昨年、最終セットを独自のバーションのタイブレークに切り替えた。ウインブルドンの決断は、オールイングランド・クラブでの2018年準決勝で起きたケビン・アンダーソン(南アフリカ)のジョン・イズナー(アメリカ)に対する最終セット26-24という試合に触発されたものだった。
イズナーはまた、テニス史上もっとも長い試合を戦った選手でもあった。それは2010年ウインブルドンで第5セット70-68で終わった歴史的マラソンマッチである。
「我々はイズナーの2つの試合に対して過剰反応したが、あんなことがまた起きるかは分からないよ」とサム・クエリー(アメリカ)はコメントした。クエリーは先週の1回戦で、最終的にベスト8入りした第13シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)に5セットの戦いの末に敗れていた。「僕は力の限りプレーして、最後に何が起こるか見てみたいほうだね」。
その一方で、タイブレーク導入を望んでいる選手もいる。別の選手たちは、グランドスラム大会でも3セットマッチに変えて欲しいと考えている。また何人かは、1週目だけ3セットにして2週目からベスト・オブ・5セットマッチにすればいいと提案した。
大きな変更が考慮される場合にジャック・ソック(アメリカ)が望むのは、選手たちも発言権を持てるようにするということだった。
「これは大事なことだが、僕は(決めるに当たって)プレーヤーたちの意見が考慮されるよう願っているよ」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真は男子シングルス準々決勝で5時間8分の死闘を制したディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)(Getty Images)
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