リー・ナの旅は中国テニス界から名誉の殿堂へ
最初にテニスの試合をテレビで観たときに、リー・ナ(中国)はある選手の忘れがたきスタイルに惹きつけられたことを思い出す。
彼女が心を奪われたアンドレ・アガシ(アメリカ)は長い髪をたなびかせ、イアリングをし、デニムの短パンをはいていた。そして彼は即座に、中国にひとりのファンを作ったのだ。
「アンドレ・アガシは私のお手本なの」とリー・ナはいう。
そしてリー・ナは前進し、彼女自身が人々の模範になった。
グランドスラムのシングルスで優勝した初のアジア人プレーヤーであるリー・ナは今週、国際テニス名誉の殿堂入りを果たすことになる。彼女は単にコート上の技術ゆえだけでなく、彼女が母国でのテニスの成長に大きく貢献したことで賛美されることになるのだ。
「中国での彼女はアイドルです。大スーパースターなのです」とニューヨーク・シティパーク基金のスポーツ・ディレクターを務めるマイク・シルバーマン氏は語った。
木曜日にリー・ナは、この基金を代表して子供たちのためのテニス・クリニックを行った。彼女の影響は明白だった。集った若いプレーヤーたちの多くはアジア人で、その中にはシルバーマン氏が奨学生として大学に受け入れられるに十分なだけ優秀だと考える少年もいる。
彼らはリー・ナのキャリアを覚えているには若すぎた――彼女は2014年に膝の問題のため引退した――が、彼女の与えたインパクトは彼女の現役時代に留まらなかった。
「リー・ナがフレンチ・オープンで優勝して以来、彼女がプレーしていた時代だけでなく今もなお、中国でのテニスがもはや以前と同じではなくなったのは疑いのないことです」とシルバーマン氏は彼女の存在の大きさについて説明した。
「それがすべてを変えたのですよ」
それは2011年のことであり、中国で1億1600万人以上の人々がその決勝を観た。リー・ナはオーストラリアン・オープン決勝で2度敗れたのちに(2011年、2013年)、2014年の同大会でふたつ目のグランドスラム・タイトルを獲得した。その結果で彼女はWTAランキングで2位に至り、 キャリアを通してシングルスで通算マッチ500勝以上を挙げた。
「少なくとも私は、テニスに関してコートで常にベストを尽くしていた」とリー・ナは現役時代を振り返った。
「もしすべてをトライしたなら、いつの日か間違いなくその報いを受けるものだと思う」
今や二児の母となった彼女は、(スピーチのため)自分の考えを英語でまとめようと努めていることもあり、ロードアイランド州ニューポートでの殿堂入りのセレモニーについて少しナーバスになっている。しかし恐らく彼女は、アガシについて彼女が敬っていることから、教えを得られるかもしれない。
「彼は決して、他の人々が言うことを気にしなかった。彼は自分の考えだけに気持ちを割いていたのよ」リー・ナはコメントした。
今年の祝典でリー・ナとともに殿堂入りする選手の中には、グランドスラム・シングルスで2度優勝したメアリー・ピアス(フランス)とエフゲニー・カフェルニコフ(ロシア)もいる。
中国では今後さらに、テニスの成長が見込めるだろうとリー・ナは確信している。WTAファイナルズは今年から深圳で開催されることになり、同市では今年のWTAツアーで他の大会も行われる。さらにコネチカット・オープンが、やはり中国の鄭州市に場所を移した。
「それはアスリートたちにとってだけでなく、ファンにとってもよいことだわ。それほど遠くまで旅しなくともいい訳だから」とリー・ナは中国テニス界への影響について言及した。
「ファンたちは今や、中国の国内でハイレベルの大会を見ることができる」
USオープンのあとに中国で9つの女子大会が開催されるため、ファンたちは本当に多くのテニスを観ることができる。中国は長いテニスの歴史は持たないかもしれないが、リー・ナはこれからもどんどん大きくなっていくだろうと考えている。
「私の意見では、中国テニスはまだまだ若いわ」と彼女は見解を示した。
「さらに育っていくためには、もっと多くの時間が必要になるでしょうね」(C)AP(テニスマガジン)
※写真は今年のオーストラリアン・オープンの女子シングルス決勝でプレゼンターを務めたリー・ナ(中国/左)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 26: Naomi Osaka of Japan is presented with the Daphne Akhurst Memorial Cup from Li Na following victory in her Women's Singles Final match against Petra Kvitova of the Czech Republic during day 13 of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 26, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Scott Barbour/Getty Images)
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