劇的な試合の末にナダルがキリオスに勝利、フェデラーらとともに3回戦へ [ウインブルドン]
今年3大会目のグランドスラム「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月1~14日/グラスコート)の男子シングルス2回戦。
ニック・キリオス(オーストラリア)がいれば、決して退屈はしない。彼がラファエル・ナダル(スペイン)の身体のど真ん中にフォアハンドを打ち込もうと、リターンでにらみ合いを引き起こそうと、主審と言い争おうと、時速217kmのサービス、あるいはアンダーサーブを打とうと…。
あらゆる意味で劇的で、ちょっぴりの敵意と人をワクワクさせるプレーに満ちていたその試合で、第3シードのナダルが騒乱から浮上してキリオスを6-3 3-6 7-6(5) 7-6(3)で倒したとき、これらすべてとさらに多くの――ずっと多くのものが披露された。
「彼がいい戦いをしたいと望むとき、彼は対戦しうる中でもっともタフな相手となる。通常、僕やトップ選手に対して彼は懸命にトライしたがるんだ」とナダルはコメントした。ナダルは2014年ウインブルドンで19歳のキリオスに敗れたとき、世界ランク1位だった。
「そしてそういう姿勢であるときには、彼は非常に手ごわい男となる」
ナダルと彼の叔父、キリオスがトゲのある言葉を交わし合っていたため、最近はむしろコート外のほうで不和な関係があった。
この対戦に先立ちキリオスは、「僕とラファが『ドッグ&フォックス』に行って一緒にビールを飲むとは思わないね」とジョークを言った。『ドッグ&フォックス』は、24歳のキリオスが水曜日の夜に行っていたと言われる会場に程近いところにあるパブだ。一方、33歳のナダルは「自分はそういったことをするには歳を取りすぎている」とあしらった。
キリオスという男は、壮観で見ていて楽しく、混乱を誘うプレーヤーとなり得る存在だ。彼はこの3時間を超える戦いの中でその理由を示して見せ、大会4日目に起きた他のすべてを陰らせてしまった。
この日、女子のディフェンディング・チャンピオンで第5シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)がラッキールーザーとして出場したローレン・デービス(アメリカ)に敗れ、優勝歴7度で第11シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は予選から勝ち上がってきた18歳のカーヤ・ユバン(スロベニア)に対して挽回してフルセットの戦いの末に勝たなければならなかった。
セレナのミックスダブルスのパートナーでウインブルドンで2度優勝しているアンディ・マレー(イギリス)はピエール ユーグ・エルベール(フランス)と組んで男子ダブルスの1回戦を戦い、マリウス・コピル(ルーマニア) /ユーゴ・アンベール(フランス)に4-6 6-1 6-4 6-0で勝った。
また、2006年オーストラリアン・オープン準優勝者でファンに人気のあるマルコス・バグダティス(キプロス)は、本人によればキャリア最後となるであろう試合をプレーした。
ナンバー1コートでは男子シングルスで8度優勝している第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)が、予想されていた通りワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したジェイ・クラーク(イギリス)を6-1 7-6(3) 6-2で倒した。
この日、通常のセンターコートではなく2番目に大きいスタジアムでプレーしたフェデラーは、「今日は、屋根のあるコート1ですごく楽しんだよ。実際、センターコートなのかコート1なのか分からないくらいだ」と振り返った。
しかしすべては、ナダル対キリオスを前に二次的なものとなってしまった。
世界2位のナダルは、ウインブルドンで2010年以来となる3度目のタイトルを目指している。彼はグランドスラムで通算19勝目となるタイトルを視野に入れており、それが実現すれば彼は男子のグランドスラム優勝回数におけるフェデラーの最多記録まであとひとつと迫ることになる。
現在43位のキリオスは、どのグランドスラム大でもまだ準々決勝を超えたことがない。それでもその才能ゆえ、多くの人々がナダルの試合後の評価に同意している。
「彼には、グランドスラム大会優勝者となる潜在能力がある」とナダルは言ったのだ。
ときどき、格好よく見えることのほうがいいプレーをすることより重要だとでもいうような振る舞いをするキリオスについて、分析すべき点はたくさんある。そのことは観客たちにも広く知られているが、この日の彼はその両方をやって見せた。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は2回戦で対戦したラファエル・ナダル(スペイン/右)とニック・キリオス(オーストラリア/左)
LONDON, ENGLAND - JULY 04: Rafael Nadal of Spain shakes hands at the net with Nick Kyrgios of Australia after their Men's Singles second round match during Day four of The Championships - Wimbledon 2019 at All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 04, 2019 in London, England. (Photo by Mike Hewitt/Getty Images)
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