メドベデフが4度目の対戦でジョコビッチから初勝利、ナダルはペラに苦戦も準決勝へ [ロレックス・モンテカルロ・マスターズ]

ATPツアー公式戦の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000/モナコ・モンテカルロ/4月14~21日/賞金総額558万5030ユーロ/クレーコート)のシングルス準々決勝で、プレーに安定性を欠いた第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第10シードのダニール・メドベデフ(ロシア)に3-6 6-4 2-6で敗れるという波乱が起きた。

 同大会で2度優勝している世界ランク1位のジョコビッチはやや覇気がないように見え、47本ものアンフォーストエラーを犯した。

 前年度覇者で第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)も、最高の調子ではなかった。しかし、世界2位のナダルは第1セットで最初の3つのサービスゲームをブレークされながらも1-4の劣勢を覆し、ギド・ペラ(アルゼンチン)を7-6(1) 6-3で退けた。

 ライバルのジョコビッチがミスの多いパフォーマンスの末に敗退したのを見て驚きを隠せなかったナダルは、自分が準決勝に勝ち上がれたのはややラッキーでもあったと認めた。

 同大会とフレンチ・オープンで11度優勝した史上最強のクレーコートプレーヤーがこう語るのは意外に響くが、しかしこの日のナダルは確かに彼同様左利きのペラに対して苦戦を強いられた。

 ジョコビッチは敗れ、ナダルは苦しんでいた。少なくとも少しの間、これはふたつの大波乱を生み出す日であるかに見えていたのだ。特にペラが第1セット4-1から自分のサービスゲームを迎え、5-1とするチャンスを手にしたときには――。しかし、ペラが犯したダブルフォールトがナダルに活路を与え、ナダルはそのチャンスを見逃さなかった。

「あれは勝負を分けるゲームだった。あのゲームを取れたのはラッキーだった。あのあと、試合は大きく変わった」とナダルは振り返った。

「最初の3ゲームを落とすという厳しい展開だったが、適切なときに(挽回するための)道を見つけ出すことができた。苦しんだからこそ、ときにこういった試合がリズムをつかむ助けとなるんだ」

 自分の準々決勝に向かう前に、ナダルはジョコビッチの試合を観ることに少しだけ時間を費やした。彼は、このキャリア最大の強敵と53回対戦して28度敗れている。そして17度グランドスラム大会を制したナダルさえが、ジョコビッチの試合結果に驚きを隠せなかった。

「ノバクが負けたときには、いつもすごく奇妙な感じがする。なぜって、彼はものすごく堅固な選手だからだ」とナダルはコメントした。

「でも、誰もが人間なんだよ」

 ナダルは次の準決勝で、第13シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)と対戦する。フォニーニはこの最後の準々決勝で、第9シードのボルナ・チョリッチ(クロアチア)に1-6 6-3 6-2で逆転勝ちをおさめた。

 フォニーニはナダルに対する過去の14試合で11敗を喫しているが、彼の3勝のうちふたつはクレーコートで勝ち取ったものだ。フォニーニのナダルに対する勝利はすべて2015年のことで、USオープン3回戦では2セットダウンからの大逆転で勝利をつかんだ。

「いいプレーをしているときには、彼は誰に対しても勝つことのできる選手だ」とナダルは警戒した。乗っている様子のフォニーニに勝つには、ナダルは一段レベルを引き上げる必要があるかもしれない。

 昨年の大会でのナダルは、1セットで4ゲーム以上を落とすことなく堂々と勝利を積み重ねていった。しかし、この日のペラは彼を大いに苦しめ、ナダルのサービスゲームで13度ブレークチャンスを手にした。

 ナダルは第1セット1-4から挽回して5-5としたが、そこでふたたび乱れてブレークを許した。そのときのペラは、2年前の2回戦でのカイル・エドマンド(イギリス)を最後に誰も出来ていない“モンテカルロでナダルからセットを奪う”チャンスを手にしていた。

 そのゲームでペラは30-30までいったが、ナダルは結局ブレークバックに成功し、セットの行方をタイブレークに持ち込んだ。それは彼にとって、ジョン・イズナー(アメリカ)と対戦した2015年の3回戦以来となるモンテカルロでのタイブレークだった。

 神経質になっている様子のナダルは第2セットでもサービング・フォー・ザ・マッチのゲームをラブゲームでブレークされたが、ペラも次の自分のサービスゲームをキープすることができなかった。彼は15-40の場面でマッチポイントをひとつ凌いだが、それからダブルフォールトを犯して自らの手で終止符を打ってしまった。

 2時間20分の戦いのあと、ついにプレッシャーから解放されたナダルはネット際で対戦相手を抱擁した。

「これをキープすれば決まりという最後の自分のサービスゲームで、僕は本当にひどいプレーをしてしまった」とナダルは反省した。ここモンテカルロでナダルがベスト4に至れなかったのは、2014年が最後となっている。その年の彼は、準々決勝で同胞のダビド・フェレール(スペイン)に敗れていた。

 それに先立ち、メドベデフはマスターズ1000の大会で自己初の準々決勝を戦っていた。しかし、風の強いコンディションの中で四苦八苦していたのは、経験豊富なジョコビッチのほうだった。

「リズムを見つけるのが難しかった。彼は非常に辛抱強く、戦略的にいいプレーをしていた。僕はあるポイントで、ショットを決めにいく気迫を欠いていたと思う」とジョコビッチは試合後に語った。

 最後のゲームで30-30からダブルフォールトを犯したジョコビッチは、メドベデフに最初のマッチポイントを与えた。メドベデフは堂々とバックハンドウィナーを決めて、ジョコビッチに対して4度目のトライで初勝利を挙げた。

「彼は以前ほどいいプレーをしていなかった。そして僕は、より経験を積みつつある」と世界14位のメドベデフは試合後に言った。23歳の彼は今、キャリア5つ目のタイトルを目指している。

 メドベデフは次の準決勝で、ドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)と対戦する。やはり初のマスターズ4強入りを決めたラヨビッチは、この日の準々決勝で予選から勝ち上がったロレンツォ・ソネゴ(イタリア)を6-4 7-5で倒した。ラヨビッチはここまでのところ、まだセットを落としていない。

「こんな成績は期待していなかった。大会前には具合が悪く、抗生物質を飲んでいたんだ」と28歳のラヨビッチは明かした。

 少なくともひとりのセルビア人が決勝に進出できる可能があるが、人々が予想していたのはラヨビッチではなかった。

 今年のオーストラリアン・オープンをジョコビッチが制したとき、彼はグランドスラム3大会連続制覇で通算15勝目を記録した。そしてそうすることで、彼はグランドスラム優勝回数でナダルまであとふたつ、ロジャー・フェデラー(スイス)まであと5つと詰め寄っていたのだ。

 しかしそのとき以来、彼の調子はやや低迷している。

 ジョコビッチはインディアンウェルズとマイアミでも比較的早く敗れており、これで3大会連続でベスト4に進出できなかったことになる。

 しかし、彼の目標はより大きく、より先にある。それは、ロラン・ギャロスでナダルから王座を奪うことだ。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はダニール・メドベデフ(ロシア)
MONTE-CARLO, MONACO - APRIL 19: Daniil Medvedev of Russia celebrates match point against Novak Djokovic of Serbia in their quarter final match during day six of the Rolex Monte-Carlo Masters at Monte-Carlo Country Club on April 19, 2019 in Monte-Carlo, Monaco. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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