勝利まで1ポイントーーセレナがプリスコバに敗れる [オーストラリアン・オープン]
「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月14~27日/ハードコート)の大会10日目、女子シングルス準々決勝。
4度にわたり、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は勝利まで1ポイントというところに迫った。
最初のチャンス、第3セット5-1、40-30の場面で、彼女は奇妙な形で左足首をひねってしまった。そして、テニス界最高のサービスを誇るセレナだが、試合の残りで打ったすべてのサービスからのポイントを失うことになる。
そんなわけで、驚くべき挽回劇と結果がそのあとに続いた。第16シードのセレナは最後の6ゲームを落とし、第7シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)に4-6 6-4 5-7で敗れたのである。
「あれらのマッチポイントで、私がびびったとは言えないわ」とセレナは振り返った。
「彼女はあの状況でのショットで、文字通り彼女のベストのプレーをしたのよ」
37歳のセレナは試合の間にトレーナーを呼ぶことはしなかった。のちに「大丈夫そうよ」と言って、終わりにかけてすべてが変わってしまったことを足首のせいにしようとはしなかった。
しかし、セレナがオーストラリアン・オープンで8度目の優勝と、全時代を通してのグランドスラム大会最多優勝回数のタイ記録「24」に近づいていく代わりに、プリスコバが初のグランドスラム制覇への戦いを続けることになった。
「私はほとんどロッカールームに戻りかけていた」とプリスコバはロッド・レーバー・アリーナの観客たちに言った。
「ところが今、私はここに勝者として立っている」
準決勝で、プリスコバは第4シードの大坂なおみ(日清食品)と対戦することになる。大坂は先に行われた準々決勝で、第6シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)を6-4 6-1で下して勝ち上がった。
もう一つの準決勝は、第8シードでウインブルドン優勝歴2回のペトラ・クビトバ(チェコ)とノーシードのダニエル・コリンズ(アメリカ)の顔合わせとなった。
セレナの驚きの敗退は、大いに待ちわびられた大坂とのリマッチがどんなものになっていたか、という期待を台無しにしてしまった。大坂は昨年9月のUSオープン決勝でセレナを倒していたのだ。
これはセレナにとって、4回戦でアナ・イバノビッチ(セルビア)に敗れた2014年以降、もっとも早い段階での敗退となる。
その後は? セレナは2015年に優勝し、2016年は決勝で敗れ、すでに妊娠していた2017年にふたたび優勝し、昨年は出産の数ヵ月あとだったため出場しなかった。
マーガレット・コート(オーストラリア)が持つ、全時代を通してのグランドスラム大会最多優勝回数「24」を目指すことに関し、セレナは「まだ起きていないけれど、きっと起きるだろうと感じている」とコメントした。
プリスコバに対する試合は気温こそ日陰で25度だったが、息詰まるほど暑い太陽の下でプレーされた。4回戦で世界ランク1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)に対する激しいフルセットマッチを潜り抜けてここに至ったセレナは、少しでも涼をとろうと頻繁にベースラインの後ろの日陰に足を踏み入れた。
セレナのスタートは、まったくもってよくなかった。彼女のミスの数は増加し、どんどん劣勢に追い込まれていった。
第1セットだけで、セレナは「11対5」とプリスコバの2倍のアンフォーストエラーをおかしていた。このパターンは、波こそあれ基本的に試合を通して続いている。最後には、ミスの数は「37対15」に開いていた。
ますますフラストレーションを募らせている様子のセレナは、ミスのあとに自分に向かって叫び、あたかも、『これは私がやるべきボールの打ち方じゃないわ!』とでも言いたげなジェスチャーを見せた。そんなこんなで、プリスコバは第1セットを取り、第2セットでもワンブレークして3-2とリードしていたのだ。
そして、そこにきて初めてセレナのエンジンがかかり始めた。そこから、彼女はただちにこの試合最初のブレークポイントをつかみ、それをものにして3-3と追いつくことに成功する。これは、彼女が続く11ゲームのうち9ゲームを取った疾走の始まりだった。
「自分がこの試合に勝つだろう、などとは感じないものよ」とプリスコバは言った。
第3セット5-1、40-30から勝利に向けサービスを打ったとき、セレナはフットフォールトのコールを受けた。10年ほど前の、USオープンにおける忌まわしい同様のジャッジを思い出させるものだった。そのフットフォールトのコールに続くポイントで、セレナは左足首をひねり、フォアハンドをネットに引っ掛けた。
彼女はそのあと足首をつかみ、それからダブルフォールトをおかすと、そのままそのゲームを献上した。大したことではないのではないか? 彼女は、まだかなり大きくリードしていたのだから。
プリスコバのサービスゲームで、セレナはさらに3つのマッチポイントを握ったが、プリスコバはそのすべてをセーブした。
「あれらのマッチポイントで、私が何かまずいことをやったわけじゃない。何もまずいことはやっていなかった。私はアグレッシブであり続けていたわ」とセレナは振り返った。
「彼女がただ、そのうちのいくつかを文字通り、ライン上に打ち込んできたのよ」
セレナは5-3から自分のサービスゲームをキープして試合を終えることができたはずだったが、ここでもふたたびブレークされてしまった。女子テニス界でもっとも恐れられ、敬意を受けるサービスの持ち主が3度連続でブレークされて5-5と追いつかれ、プリスコバは己の道を突き進んだ。
「最後には、彼女は少しぐらついていた。だから私は自分のチャンスをつかみ、勝ったのよ」
一方の大坂は、グランドスラム大会における12試合連続勝利の波に乗って準決勝に向かう。21歳の大坂はスビトリーナに対してウィナー数で「31対11」の差をつけるに至った、持ち前のアグレッシブでパワフルなプレースタイルにより、2大会連続のグランドスラム優勝にまた一歩近づいた。
「たった今、私はただ前を見つめ続けようと努めているの。だから満足はしていない。ここに至れてうれしいけど、同時に、前に進み続けたいの」と大坂は心境を語った。
彼女はこれまで一度も、オーストラリアン・オープンで4回戦を超えることがなかった。
「まだまだ、これから勝たなければならない試合があるわ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)(撮影◎小山真司 / SHINJI OYAMA)
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