欧州の捜査官が巨大なテニスの八百長組織を調査

 不正をするテニスプレーヤーたちは、彼のことを『マエストロ』の名で知っている。このベルギーに本拠地を置くアルメニア人は、何百という試合で八百長を仕組み、ヨーロッパ中の100人以上の選手たちに金を払ったとされる賭け事の組織的犯罪シンジケートの中心人物として、ヨーロッパの調査団たちの目の中に浮上した。

 ロジャー・フェデラー(スイス)や他のスターたちがテニス界の頂点でオーストラリアン・オープンを戦っているとき、このスポーツのずっと下の段階にいるプレーヤーたちは、マエストロの名で知られる28歳のグリゴール・サルキシャンのために八百長試合をした疑いで、フランスの警察に尋問されていた。

 捜査官によれば、サルキシャンはベルギーの留置所で拘束されている。

 ヨーロッパ全土の警察による何ヵ月もの綿密な調査から浮かび上がった絵は、暗号化されたメッセージによって組織された巨大な八百長計画であり、賞金の少ない小さな大会でプレーしている多くのランキングの低い選手たちが、そこに関与していた。

 警察によれば、サルキシャンはギャンブル監視人のレーダーをすり抜けるような小さなシンジケートのために賭けをする使い走りを、数ユーロで雇っていたのだという。

 公の場で詳細を話すことを許されていないため揃って匿名で話した、この調査に近しい情報元の人々によると、水曜日に4人のフランス人プレーヤーが拘留され、少なくともそのうちのひとりは、自分がサルキシャンのために20を超える試合で八百長をしたと捜査官に話していた。

 選手たちの名について当局は、ジュレ・オカラ(21歳)、ミック・レスキュール(25歳)、ヤニック・ティヴァン(31歳)、ジェロ―ム・アンゼリロ(28歳)としており、この誰もがテニス界の高いレベルには属していない。彼らの中でもっとも高いランキングは、2012年にアンゼリロがマークした354位だった。

 オカラとレスキュールの逮捕は最初、水曜日にフランスのレキップ紙に報じられた。

 10人以上のフランス人プレーヤーが、来たる週に取り調べを受けることになっている。捜査官によれば、フランスは、レベルの低いプロトーナメントをターゲットとしたこのシンジケートにより、もっとも強い打撃を受けた国のひとつだった。オカラとレスキュールは、賞金総額1.5万ドルという西フランス・ブレシュイールの小さな大会でプレーする直前に留置された。

 捜査官はまた、ベルギー、オランダ、ドイツ、スロバキア、ブルガリアの選手たちをも尋問しており、アメリカ、チリ、エジプトの選手とマネージャーを含めた他の選手を取り調べることも予定されている。

 総じて100人を超えるプレーヤーが、500から3000ユーロの報酬と引き換えに、試合やセット、ゲーム数を操作する八百長をし、このシンジケートのために働いた疑いがある。

「我々が受けている印象は、これが非常にありふれたことだというものです」と捜査官のひとりは語った。

 他の者は、操作された試合は数百にのぼると言っている。捜査官は、このシンジケートに使われた選手が、他の選手をこの計画に引き込んだ可能性があり、彼らがランキングでより高い位置に上がれば、より大きな大会を汚染する可能性があることと懸念している。

 このベルギーを拠点とするシンジケートが、やはりアルメニア人によって組織され、スペインで発見された他の八百長とギャンブルのオペレーションと関係があるのか否かは、まだはっきりしていない。

 先週、スペインの警察は、昨年のUSオープンに出場していた選手1人を含む28人のプロテニス選手たちがある組織とつながりを持ち、賄賂を受け取って、組織が偽名を使って賭けていた試合の結果を操作していたと発表していた。(C)AP(テニスマガジン)

写真◎Getty Images

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