初戦敗退のアザレンカ、涙をこらえ最後まで記者会見 [オーストラリアン・オープン]
「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月14~27日/ハードコート) の大会2日目、女子シングルス1回戦。
ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)は少しの間動きを止め、オーストラリアン・オープンでの自分の過去と現在の経験の間の違いについて考えようとしながら、涙を流した。
2012年と13年に2連覇を果たしたアザレンカは、世界ランク110位のラウラ・シグムンド(ドイツ)に対する7-6(5) 4-6 2-6の1回戦負けのあと、メルボルンパークの小さなインタビュールームに座って10分間ほど質問に答えていた。
そして、そうするうちに彼女は涙をこらえられなくなった。
自分が勝ち、世界1位だったときにも苦闘はあったとアザレンカは言った。しかしそれは、違ったタイプの苦しみだったという。彼女は、“苦闘”という言葉を何度となく使った。
大会オフィシャルは、29歳のアザレンカに会見をそこでやめる選択肢を与え、彼女のマネージメントチームのひとりは、会見をただちに打ち切ろうとした。しかしアザレンカは、まず詫びを言ってから深く息を吸い込み、質問に答えると言い張った。
「私は自分の人生で、多くのことを潜り抜けてきた」とふたたび泣き出しながら彼女は言った。
「ときどき、なぜ私はこういうことを潜り抜けるのだろうと不思議に思うこともあるけれど、それらの困難は私をより強くするのだと思う」
「私はそう信じたいし、そのためにハードワークを積むわ。ときどき私には少しの時間と辛抱、そしてちょっぴりのサポートが必要なの」
彼女の息子レオは、2016年12月に生まれた。それは、2016年フレンチ・オープンから昨年までの2年間に、彼女が出場したグランドスラム大会が2017年ウインブルドンだけだった期間に起きたことだ。
彼女は、息子の父親との養育権を巡る紛争に取り組んでいる間、いくつかの大会をスキップしなければならなかった。彼女は旅をし、働く母であることの難しさと挑戦についても話した。
アザレンカはそれらの問題に取り組みながら、練習では取り戻したと信じているよい調子を、試合でのプレーに転換させるための方法を見つけようと努力している。
昨年のフレンチ・オープンでの1回戦負けのあと、ウインブルドンでは2回戦で敗退し、USオープンでの3回戦進出でランキングは50位台に戻った。しかし、その軌道は上昇曲線を描き続けていない。
「今日、私のテニスがあるべきレベルではなかったことは、すごく明白だわ」とアザレンカは言った。
「試合に先立つ練習では、素晴らしいプレーができていたの。試合では、ほぼ3年の間、ハイレベルでプレーしていなかったという事実を過小評価していたのだと思う。常に、突然やってきていいプレーをし始めるというのは容易なことじゃない」
それから、2016年の彼女のレベルと現在の彼女のレベルを比べることについて、別の問いがあった。
「過去を振り返ってみるたびに、人はいつもよいことと結果を見る。そこに実はある苦闘、悪い試合をしたけれど、それでも何とか勝った日々は見えないのよ」
「それを、現在起きていることと比べるのは難しいわ。なぜって、明白な尺度は結果や成績であり、その結果が出ていないのだから。だから推定は、適切なレベルに至っていないということになるけど、必ずしもそうとは限らないのよ」
それが、あまりに昔のことに感じられるため、彼女はトップ選手としての生活がどんなものだったか、はっきり覚えてすらいないのだという。それでも彼女は、常にすべてが素晴らしかったわけではなかったとも認めた。
彼女の試合中のうなり声や、彼女の音楽の趣味が好きではない人々がいた。また彼女は、スローン・スティーブンス(アメリカ)に対する2013年オーストラリアン・オープン準決勝の最中に起きたある一件について、ひどく批判された。
その試合のアザレンカは、自分のサービスゲームで5つのマッチポイントを浪費し、最終的にそのゲームを落としたあと、スティーブンスが勝つチャンスをつなげるためにサービスゲームに入ろうとしたときに長いメディカル・タイムアウトをとった。
「今年最大のびびり負けをやるところだった」と自ら認めたあと、彼女は戦略的な休止時間をとったと世論に責められた。この論争は、彼女が決勝でリー・ナ(中国)を倒したときでさえ、まだメディアの主なトピックだった
「2013年、(批判の中で)コートに出て行って、あの決勝をプレーするということが、私にとっていかに難しいものだったかを知る人は、そう多くない」とアザレンカは自分が最後に獲ったグランドスラム・タイトルについて言及した。
「無害な小事件が、ヘッドラインに次ぐヘッドラインになった悪夢だった。あれは厳しかったわ。でも試合の結果がよかったから、皆が素晴らしいと思っているのよ」
「あの2つのタイトルを獲ることができたのは素晴らしかった。でも常に苦闘してきたし、今はただ、私にとってより厳しい苦闘となっているの」
アザレンカは、最終的にキャリア前半の成功のいくつかをふたたび経験できるようになることを願いつつオーストラリアをあとにし、自分のテニスを向上させるためにハードワークを積むと言った。
「今、ここに座ってポジティブに考えるというのは容易なことじゃない。でも私には、ほかの選択肢はないのよ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)
MELBOURNE, VIC - JANUARY 15: VICTORIA AZARENKA (BLR) during day two match of the 2019 Australian Open on January 15, 2019 at Melbourne Park Tennis Centre Melbourne, Australia (Photo by Chaz Niell/Icon Sportswire via Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ