フェレール最後のグランドスラム大会は、対ナダル戦の故障で悲しい閉幕-----「家に帰るべきときがきた」 [USオープン]

 アメリカ・ニューヨークで開催されている「USオープン」(8月27日~9月9日/ハードコート)の男子シングルス1回戦。

 ダビド・フェレール(スペイン)の最後のグランドスラム大会には、甘く苦い何かがあった。

 彼はUSオープン、アーサー・アッシュ・スタジアムの大きなステージの上で、スポットライトの下、友人でありデビスカップ・チームメイトのラファエル・ナダル(スペイン)とコートを分かち合いつつ、檜舞台から去ることになった。

 しかし同時に彼は、グランドスラム大会での208試合で初めて、試合を途中で棄権することを強いられたのである。テニス界でもっとも疲れ知らずな男のひとりとして知られていたタフガイにとって、皮肉な別れだった。

 第1セットの途中から痛み始め、第2セットに入って悪化の一途をたどった左ふくらはぎの故障のためにフェレールがプレーを止めたとき、ナダルは1時間半のプレーののちに、6-3 3-4でリードしていた。

「悲しいよ。これは僕の最後のグランドスラム大会だったからね。僕はラファに対する試合を楽しんでいた。僕はいいプレーをしていた。でもいずれにせよ……僕は自分を、自分のキャリアを誇りに思う」とフェレールはコメントした。

 彼のグランドスラム大会での最良の成績は、2013年フレンチ・オープンでの準優勝だった。そして、そのタイトルマッチで彼を倒した男も、またナダルだった。

「僕は36歳だ」とフェレールは言った。「家に帰るべきときがきた」。

ダビド・フェレール(撮影◎毛受亮介)

 しかしながら、彼はテニス自体と別れを告げるわけではない。かつて世界3位に上ったこともあるが、現在148位のフェレールは、2019年には大会を綿密に選んでプレーするというプランを持つのだと明かしていた。

 それでもこれは、彼にとってもナダルにとっても、別れであると感じられる出来事だった。

「彼はよりよいフィナーレに値する選手だ」とナダルは言った。「彼のために、悲しく思う」。

 彼らは、グランドスラム大会決勝で戦ったあとに、1回戦で対戦した男子テニス史上5組目のペアだった。総じて言えば、これはツアーレベルでの彼らの31度目の対戦であり、そのうち25試合でナダルが勝っていた。

 フェレールは6回ナダルに勝ったことがあるが、ナダルに対してこれ以上に勝ったことのある選手は3人だけだ。トップはノバク・ジョコビッチ(セルビア)の27回、次はロジャー・フェデラー(スイス)で15回、そしてアンディ・マレー(イギリス)の7回である。

「あのとき僕らは、ふたりにとって非常に重要な決勝を戦った。大事な試合をプレーしたんだ。ああ、僕らは、僕らの人生の重要な瞬間をともに分かち合ったんだ」とナダルは言った。

「彼は、ツアーが失うことを悔やむであろう選手のひとりだ。なぜって彼は、人間的にすごくいい男でもあるからね。ツアーは彼を愛しているんだ」

 フェレールは、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーがテニスを支配している時代にプレーすることになった巡り合わせを残念に思うか、と尋ねられた。

 彼は、自分はそんなふうに考えたことはなく、「彼らとともに――おそらく最高の世代と言える選手たちとともにプレーすることは、喜びだった」、なぜならそれは、「より向上できるよう努力しようというモティベーションを与えてくれることだったからだ」と言った。

 月曜日の夜の試合のあと、フェデラーはツイッターに『究極の敬意』を伝える書き込みをし、フェレールにメッセージを送った。2009年USオープン優勝者のフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)をはじめとする、ほかの選手たちも、彼に言葉を手向けた。デル ポトロは月曜日の1回戦に勝ったあと、フェレールは「誰も当たりたいと願わないタイプの、不屈の精神を持った選手だった」と旧友を表現した。

(APライター◎ハワード・フェンドリック)

※トップ写真は試合後のダビド・フェレール(スペイン/左)とラファエル・ナダル(スペイン)(撮影◎毛受亮介)

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