浪速がセンバツのリベンジを果たし、3年連続3度目の出場で初の全国制覇 [全国中学生]
「第45回全国中学生テニス選手権大会」(8月19、20日団体戦、21~24日個人戦/広島広域公園テニスコート)、通称「全中」の競技2日目は、男女団体準々決勝、準決勝、決勝が行われた。
男子の準々決勝は屋外コート、屋内コートに分かれて2面展開で一斉に行われた。最初に決着がついたのはサレジオ学院対横浜市立富岡の神奈川対決。県大会決勝ではサレジオが3-2で制したが、今回は2勝2敗からS1の關口恒が武田叙維を6-3で下し、富岡がリベンジした。
もうひとつ屋外コートで行われた日本大学第三(東京)対徳島市国府(徳島)は、日大三がダブルスで2連勝。さらに岡部悠希、勝田匠の“ダブルエース”が、ともにシングルスで勝利を収め、国府を退けた。
屋内の聖徳学園(東京)対甲南(兵庫)は、ダブルス1勝1敗のあと、聖徳がシングルス2連勝で勝ち抜け。浪速(大阪)対成蹊(東京)は2勝2敗ともつれ、最後はS1を小嶋修史が制し、浪速が準決勝に進んだ。
準決勝は屋外での3面展開。浪速は聖徳を相手にダブルス2本を獲る必勝パターンで、シングルスはS2の永山寛基が田中岳太を6-1で倒す。日大三はダブルス1勝1敗からシングルス勝負で勝田匠が賀河嵩介を6-3、松岡玲央が金子隼也を6-1で下して富岡を振りきり、決勝に駒を進めた。
浪速対日大三の決勝は、奇しくも3月の全国選抜決勝と同じカード。そのときは日大三が2-1で優勝しており、この全中では1996年以来の優勝かつ史上初の“春夏連覇”を狙っていた。一方、浪速は昨年末の全国私学、3月の全国選抜はどちらも準優勝。このチームで最後となる全中は「何としても優勝をつかみたい」という思いが強かった。
屋外4面展開で14時半にスタートしたが、すぐに降雨により中断。屋外へ移動し、予定より1時間遅れの2面展開に変更された。
D2は浪速の羽田俊也/向井晃太の3年生ペアが2-1から3連続ブレークを含む6ゲーム連取で日大三の山田大起/伊藤大志を倒し、まず1勝。同時に行われたD1でも浪速の遊川大和/松田稔生の1、2年生コンビが3ゲーム目でブレークし、その後も差を広げて8-4で制し、優勝に王手をかけた。
追い込まれた日大三は、キャプテンの勝田匠が強打で浪速の永山が得意とするラリー勝負に持ち込ませず、8-5で制して1勝2敗に持ち込む。そのころS1では、浪速の小嶋が5-4からブレーク、キープで7-4と優勝まであと1ゲームに迫っていた。しかし、ここから日大三の岡部が猛反撃を見せる。
ミスが増えて冷静さを失いかけていたが、「攻めるしかない」と意を決する。スーパーショットが次々と決まり、6-7と1ゲーム差まで迫った。続く岡部のサービスゲームで30-40となるが、1つ目のマッチポイントはフォアハンドのウィナーでしのいだ。
2つ目のマッチポイントも、岡部が強気に打ってラリー戦を制した。だが、3つ目のマッチポイントで岡部の甘くなったセカンドサービスを小嶋がたたき、その浅い返球を打ち込むと岡部が返せず、3勝1敗となり浪速が優勝を決めた。
「うしろでみんなが応援してくれたので負けられなかった」とキャプテンの小嶋。岡部の反撃で追い上げられた中でも「相手が強く打ったショットがどんどん決まったけど、それでもミスもあった。自分は無理して攻めるのではなく、深いボールを相手のバックに集めることを意識した」と最後まで冷静に戦い勝利につなげた。
気迫のこもったプレーであと一歩まで迫った岡部は「優勝できなかったけど、精一杯自分の力を出して最後までできたのはよかった。みんなの応援で気持ちが上がり、自分の攻めるテニスができた」と涙を拭ったあとは、清々しい表情を浮かべた。
(編集部◎池田晋)
※トップ写真は3つ目のマッチポイントで優勝を決めた浪速の小嶋修史 写真◎井出秀人
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