42本のエースと勝利のあと、キリオスがありのままを語る [ウインブルドン]
イギリス・ロンドンで開催されている「ウインブルドン」(7月2~15日/グラスコート)の男子シングルス1回戦。
ニック・キリオス(オーストラリア)は、常に注意を払う価値のある選手だ。
火曜日の1回戦で、第15シードのキリオスがデニス・イストミン(ウズベキスタン)を7-6(3) 7-6(4) 6-7(5) 6-3で倒した際にやってのけたようにーー彼が42本のサービスエースを叩き込むのかどうかーーボールを時速219kmで打ち、直面した5つのブレークポイントのすべてをセーブするのか否かーーあるいは、この日オールイングランド・クラブで起きたように偶然、ボールガールにサービスをぶつけてしまい、彼女を泣かせ、コートから去らせてしまうようなことがあるのかどうかーーまたは、重要であれ何であれ、主審と言い争ったり、自分のゲストボックスに向かって吠え、ある時点で彼らにそこにいるべきではない、と言うようなことさえが起きるのかどうかーー。
「彼はいつもこれをやっているんだよ」と、2017年オーストラリアン・オープン2回戦でディフェンディング・チャンピオンだったノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒したことで知られるイストミンは言った。
「僕は別にそれでわずらわされることはない。だから彼がしゃべりたがったとしても、問題ないよ」
あるいは、試合後の記者会見で自己を顧み、ちょっとした冗談を言うこともある。例えばあるジャーナリストが遠回しな表現で、キリオスのキャリアにはいくつかの厳しい瞬間があったと指摘したとき、彼は横目で自分の代理人をちらっと見て、ゆがんだ笑みを浮かべ、「僕が? そうだったっけ?」と言った。
結局のところ、23歳のキリオスは、試合中に猥褻行為を模倣するしぐさをしたために、1万5000ドルの罰金を科せられた選手なのだ。彼は過去に、対戦相手のガールフレンドについての粗暴なコメントや、試合中にこれといった理由もなくプレーをやめて去るなどの違反行為で、賞金から罰金を差し引かれてきた。また、コート上で全力を出していないと責められたこともある。
一方で2014年、144位のティーンエイジャーだったときにウインブルドンでラファエル・ナダル(スペイン)を破ったり、ロジャー・フェデラー(スイス)のような選手に対して勝利をおさめた試合(2015年マドリッド/クレー)の中で、無限の才能を見せてきた選手でもあった。
火曜日の勝利のあと、ウインブルドンで自分のチャンスにどれほどいい手応えを感じているかについて、気持ちを表現することをはばからなかった彼は、間違いなく“正直さ”でポイントを稼いだ。
「僕は、ある種の幸せな場所にいると思う。いいプレーをしていると感じている。僕は違ったアプローチをとっている。僕は自分が、この大会でちょっとした騒ぎを巻き起こせる男の一角であると感じている」とキリオスは言った。「どんなふうになるか、様子を見てみよう」。
試合を通しての唯一のブレークが最後から2ゲーム目に起きた、イストミンとの非常に競った戦いに関われたことで、わくわくしたかと尋ねられたとき、キリオスはそのような仮定を受け入れる準備はないようだった。
「そうでもないよ」とキリオスは答えた。「僕は、それ以前に一度も芝でプレーしたことがなかったような、南米の選手なんかとプレーするほうがいいね」。
彼はただ、ありのままを言っているのだ。
ある記者が、ときにポイントごとに、無頓着な様子から極度に集中した様子へと移行する、キリオスの試合中の不安定さについて尋ねたときにも彼は同じようにした。
「わからないよ。コート上にいるとき、僕の頭の中では本当に多くの考えが行き来している。僕はときにすごく腹を立てる。ひとつのゲーム中に、本当に多くの違った期間を通り抜けている。僕にとって、バランスを見つけるのが本当に難しいのだと思うよ」とキリオスは言った。
「あなたが言っている意味はわかる。僕は、ある瞬間にはどうでもいいと思ってるように見え、それから次の瞬間には、非常にいいプレーをしている。正直、あまり多くのことが続かない。それはずっと、綱引きみたいな感じなんだ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はニック・キリオス(オーストラリア/左)とデニス・イストミン(ウズベキスタン/右)
LONDON, ENGLAND - JULY 03: Nick Kyrgios of Australia (L) shakes hands with Denis Istomin of Uzbekistan after their Men's Singles first round match on day two of the Wimbledon Lawn Tennis Championships at All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 3, 2018 in London, England. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)
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