「サーフェス云々より、テニスに気持ちを集中させている」と大坂 [フレンチ・オープン]


 フランス・パリで開催されている「フレンチ・オープン」(5月27日~6月10日/クレーコート)の女子シングルスで、1、2回戦を1セットも落とさず素早く勝ち抜いた大坂なおみ(日清食品)は、それによって“プレイステーション”を楽しむための時間もつくった。

 もし、この未来の大器が次の試合に遅れて来たら、それは彼女がゲームをやっていて時間が過ぎるのを忘れたからかもしれない。気晴らしをするためのゲーム『エルダースクロールV:スカイリム』(「知らなくても気にしなくていいわ」と、彼女は中年の記者に優しく言った)があるときに、パリ観光などする必要がどこにあるだろう。

「(ゲームは)ちょっぴり私の時間を消費しているわね」と20歳の大坂はロラン・ギャロスでの3回戦進出を決めたあとに言った。

「もし30分あったら、ちょっと座ってゲームをやって、時間の経過に気づかず遅れてしまうこともあるかも。35分を費やしたら、『あっ、もう30分過ぎちゃった』という感じになって、大急ぎで出て行かなきゃならない。もし私が何かで遅れたら、理由はそれよ」

 これは、彼女が初めてシード選手(第21シード)として臨んだフレンチ・オープンだ。この階級と、彼女がインディアンウェルズで優勝し、ハイレベルでブレークを果たしてツアー初タイトルを獲った事実ゆえ、この日本のトップ選手は1週目の注目の選手となっている。

 ロラン・ギャロスの1週目には、多くの選手たちがパリのレッドクレーに馴染むのに苦労していたが、素早くリズムをつかんだ選手たちもいた。

 2016年に初めて出場したフレンチ・オープンでも3回戦に進出していた大坂は、昨年は1回戦で予選上がりの選手にストレート負けしていた。

 彼女は今、サーフェス云々よりも、グランドスラム大会に勝とうと努めることのほうに、気持ちを集中させているのだと言った。

「私の頭の中では、それはクレー云々じゃないの」と大阪は言った。

「サーフェスが何か、私のプレースタイルがそれにどんなふうに適していないか、と言い訳する代わりに、私はテニス自体に気持ちを集中させている」

 大坂の3回戦の相手は、第13シードのマディソン・キーズ(アメリカ)だ。キーズは過去2回の対戦の双方で大坂を破っている。もし大坂が今回こそ自分の思い通りにするのなら、次の対戦では違う結果を生み出すだけでなく、それを迅速にやってのけるだろう。なぜなら彼女は、大会会場で費やす時間をできるだけ短くしたいと願っているからだ。

「そうしなければいけないときにだけ、そこにいるようにしている」と彼女は言った。

「もっと若かったときには会場を歩き回って、ただ雰囲気を体感したりするのが好きだった。でも今は、これを自分の仕事と思っているから、出勤して、仕事が終わったら帰る、という感じね」

 3月のインディアンウェルズ優勝への過程で彼女が倒した選手たちの中には、グランドスラム大会で5度優勝しているマリア・シャラポワ(ロシア)、世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)もいた。また、その次の大会だったマイアミの1回戦で、彼女が子供時代からのアイドルと慕うセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を6-3 6-2で圧倒していた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は大坂なおみ(日本/日清食品)(撮影◎毛受亮介)

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