フランス・パリで開催されている「フレンチ・オープン」(5月27日~6月10日/クレーコート)の男子シングルス準々決勝。

 ラファエル・ナダル(スペイン)が11度目の準決勝に進出し、11度目の優勝にまた一歩近づいたことは「驚き」とは言い難かった。

 しかし、戦略を変え、そこに至るために挽回することを可能にした、雨による休止の前----ナダルが第1セットを落とし、さらに第2セットでもブレークされていたということは、間違いなく常軌を逸したことだった。

 準決勝で対戦するのは、ナダルとフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)になった。デル ポトロは3度の手首の故障に対処し、ロラン・ギャロスでベスト4に戻って来る日を10年近く待った。それだけに、それを成し得た彼は、感動のあまり胸を詰まらせていた。

 両者が、前日に雨天順延となった準々決勝に勝ってベスト4に駒を進めた。

 世界1位のナダルは、木曜日に第11シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)に対し、試合序盤がそうだったような受け身でいるつもりはない、ということを迅速に証明して見せた。彼は青空の下、フィリップ・シャトリエ・コートに出て行くと、最初の13ポイントのうち12ポイントを取り、4-6 6-3 6-2 6-2で勝利をもぎ取ったのだ。

「昨日の彼とは、まったくの別人だった」とシュワルツマンは言った。「たぶん、ラファを破ることができる日は、昨日だったのかもしれない」。

 少し離れたスザンヌ・ランラン・コートの上では、第5シードのデル ポトロがカギとなるダブルフォールトの前に、観客に気を散らされて、邪魔したのが誰だったか見つけようと、観客席のほうに向かって歩いて行た。その場面を除けば、彼は、この元USオープン・チャンピオン同士の対決で安定したプレーを続け、第3シードのマリン・チリッチ(クロアチア)を7-6(5) 5-7 6-3 7-5で退けた。

 もうひとつの準決勝の顔合わせは、第7シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と世界ランク79位のマルコ・チェッキナート(イタリア)の対戦だ。チェッキナートは、今大会以前にはグランドスラム大会で一度も勝ったことがなく、2016年の八百長の嫌疑が晴れて無実となったばかりのところだった。

 デル ポトロは、ラブゲームでサービスをキープして、2009年以来のフレンチ・オープン準決勝進出を決めると、コートサイドの自分の椅子に座って、むせび泣いた。

 198cmのアルゼンチン人は、オンコート・インタビューの際に涙を拭い、彼のあだ名『デルポ』を謡ったファンたちに、「自分の体にいい感じを覚えなくなって、もうずいぶんになる。僕はもう少しでテニスをやめるところだった。そして今、僕には、この瞬間を表現できる言葉が見つからない。僕にとって、僕のチーム、家族にとって、本当に素晴らしいことだ」と語った。

 今、デル ポトロが「すべての選手がほしいと願っているチャレンジ」と呼ぶものがやってくる。それは、ロラン・ギャロスにおけるナダルとの対戦だ。32歳のナダルは、2005年から2008年の4連覇、2010年から2014年の5連覇のあと、1年前に10度目の優勝を遂げて、フレンチ・オープンで通算84勝2敗の成績を誇っている。

 それでもナダルは「すべての試合というのは難しい、勝つものもあれば負けるものもある。それを知りつつ、僕はコートに出て行くんだ」と言い張っている。

 水曜日には、シュワルツマンが、ロビン・ソダーリング(スウェーデン/2009年4回戦)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/2015年準々決勝)に合流し、フレンチ・オープンでナダルを倒した3人目の男となるかに見えた時間帯もあった。

 ナダルは、ジョコビッチに対するその試合以来、フレンチ・オープンで1セットも落としていなかったが、37セット連取の進撃は、グランドスラム大会で初となる準決勝進出を目指していたシュワルツマンに対する試合の第1セットを失って、終わりを遂げた。

 第1セットでのシュワルツマンは、ウィナー数で20対4と大きくリードし、それから第8ゲームで5度目のブレークを果たして3-2とリードしたが、そこで雨により1時間弱試合が中断された。

「僕は少しラッキーだった」と、フレンチ・オープン準決勝でも、決勝でも10戦全勝のナダルは言った。

「あの中断が、考える時間、神経を鎮めるための時間、ことをどのように変える必要があるかを見定めるための時間を与えてくれたんだ」

 ふたりがコートに戻ったとき、ナダルは第2セットを取って追い上げるため、15ポイント中13ポイントを奪い、3ゲーム連取をして試合を再開させた。しかし、またも驟雨に見舞われ、雨天順延となる。そのとき、ナダルは第2セット5-3から自分のサービスゲームに入り、30-15とリードしたところだった。

 ナダルは木曜日、プレーを再開させると最初の2ポイントを取ってセットを終わらせ、それから我が道を突き進んでいき、もはや決して軟化しなかった。

「彼は素晴らしいプレーをしていた。そして僕は守備的になりすぎていた。通常よりも多くのストレス下でプレーしていると感じていたんだ。僕は彼に、あまりに頻繁にポイントの主導権を握ることを許してしまっていた」と、ナダルは試合の出だしを振り返って言った。

 そして雨のあとは?

「僕はよりアグレッシブにプレーした」と、ナダルは言い添えた。「試合は変わった。そうだろ?」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は準々決勝を戦ったラファエル・ナダル(スペイン/右)とディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン/左)(撮影◎毛受亮介)

This article is a sponsored article by
''.