17歳の坂詰姫野(Team YUKA)とは、先週に引き続き、この浜松オープンでも2回戦で対戦。失う物のない強みで攻める17歳に、序盤はやや押されているようにも見えた。

 ただそれは、“36歳対17歳”という外形的な要因から、周囲が勝手にはめ込むステレオタイプに過ぎないかもしれない。

「向かってこられているとか、そういう感じは特に無いです。私も守るものはないから。そんなに気にならないです」

 実年齢より遥かに若く見える波形純理(伊予銀行)は、そう言い屈託なく笑った。

 年齢差などは気にならないという波形だが、経験が彼女の武器であることも、また事実だ。前回の対戦では、相手の攻撃的なプレーに気持ちの面でもやや受け身に周り、第1セットを奪われた。その反省と分析を活かし、今回は「気持ちで引かず、自分もなるべく高い打点で打っていこう」と、ベースラインから下がらず打つ。とはいえ決して、遮二無二攻める訳ではない。

「相手に気持ちよく打たせないように、深いボールでコーナーをついて、ミスを誘う感じで」

 その波形のショットの精度の高さに、若い坂詰は対応しきれなかった。6-4 6-4のスコアは、経験や判断力をも加味した上での、相手との実力差を映していると言えるだろう。

 今季の波形はオーストラリアン・オープンからUSオープンまで、すべてのグランドスラムの予選に出場した。だが勝利は手にできず、悔しさや失意を覚えたという。

 周囲は、未だグランドスラム予選に出られる波形の地力と、モチベーションを称賛する。だが当人にとり、それら賛辞の前に隠れる「その年齢なのに」という枕詞は、むしろ不要なものだろう。

「ここからは危機感を持って、ダメだったらやめるくらいの気持ちでいる。グランドスラム予選は勝てなかったので厳しさは感じるけれど、勝ちたいし、このまま諦めちゃいけない、もっと実力をつけなくちゃと思いました」

 モチベーションやテニスへの情熱という意味では、今もまったく、落ちることはない。どんなに調子が悪くても……仮にケガや体調不良で身体が十分に動かなくても、ボールを打ちたいと思うのだと言った。黄色いボールを、ラケットのスイートスポットで捕らえたときの手のひらの感触から沸き起こる喜びは、決して色褪せることはない。

「テニスは、ずっとやっていきたい」

 でもだからこそ、危機感を持って今は、自分を追い込んでいる。

 グランドスラムの本戦に最後に出場したのは、2011年のフレンチ・オープン。

 あの大舞台にふたたび帰るためにも、今大会で波形が目指すは、優勝のみである。

レポート◎内田暁(大会オフィシャルライター)

※写真は波形純理(伊予銀行)
写真提供◎浜松ウイメンズオープン実行委員会
撮影◎てらおよしのぶ

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