「三菱 全日本テニス選手権 93rd」(賞金総額2850万円/本戦10月27日~11月4日/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/ハードコート)の本戦3日目、女子はシングルスのベスト16が出揃った。

 今大会を最後に引退することを決意している第12シードの江口実沙(橋本総業ホールディングス)が、初戦となる2回戦に快勝した。約1ヵ月半ぶりの実戦でもあり、この約4ヵ月半の間、5大会に出場して1勝もしていなかった。

「今回はとにかく楽しんでプレーしようと思っている。どれくらいできるのか自分でもわからなくて、多少緊張もしましたけど、思ったよりはるかにうまくできたと思います」

 5年前の全日本チャンピオンでもある江口が引退を決めた背景には、2016年9月に負傷した膝の影響、気力の低下があった。しかし、19歳の本藤咲良(フリー)を6-0 6-3で退けた試合では、痛みも辛さも感じなかったという。

 そんな26歳が半年かけて下した決断に対して、「まだ早い」という周囲の声もあるのは当然だろう。それでも決心は揺るがない。たとえ初戦で負けていたとしても、あるいはこのまま勝ち進んで優勝したとしても。

「どこかで区切りをつけたいという思いがあった。全日本はそれにふさわしい大会だと思いました。結果がどうであっても、精一杯がんばって、納得して終われたらそれでいい」

 3回戦の相手は第7シードの秋田史帆(橋本総業ホールディングス)。今年4月、同じITC靱テニスセンターを舞台とした国際大会「富士薬品セイムス ウィメンズカップ」(賞金総額2.5万ドル)で完敗している。江口のラストマッチとなるのか、最後の挑戦はまだ続くのか----。

 第1シードの清水綾乃(Club MASA)は予選突破の永田杏里(南山高等学校女子部)を相手に苦戦するも、6-3 3-6 6-2で勝利。そのほかのシード勢も勝ち進む女子シングルスで唯一のシードダウンとなったのが、第3シードの加治遥(島津製作所)だった。

 昨年のベスト4で今年の全日本室内準優勝の加治を破ったのは、大学2年生の松田美咲(亜細亜大学)。2年前の全日本選手権の予選決勝で対戦したときに敗れたこともあり、挑戦者の立場であったことは間違いないが、せっかくもらった本戦ワイルドカード(主催者推薦枠)を生かすのだという強い思いもあった。

「一つでも多く勝ち上がることが目標だったので、ゼロからの挑戦者というよりはしっかり勝ちにいった試合でした」

 立ち上がりのゲームをブレークされたが、すぐブレークバックして傷を広げず、シーソーゲームを制して6-4でセットを奪った。互いにキープで進んだ第2セットも、終盤に勝負強さを見せて第8ゲームでブレークに成功。最後まで冷静かつ攻撃的にゲームを展開した。

 昨年春に病を患い、半年間はまったくテニスができなかったという。完全に復帰したのは今年3月だが、5月の関東オープンで優勝し、今大会のワイルドカードにつなげた。

「病気をしていたときに運動ができない辛さを味わったので、今はテニスができることが楽しい」

 それが好調の一因でもある。3回戦進出16人の中でただひとりのノーシードであり、ただひとりの大学生。〈意外〉への期待をひとりで背負いながらの大会中盤となる。

(ライター◎山口奈緒美)

※写真は江口実沙(橋本総業ホールディングス)(撮影◎宮原和也)

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