日本テニス協会(JTA)などが主催する「DUNLOP SRIXON 全日本ジュニアテニス選手権 '19 supported by NISSHINBO」(大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター、江坂テニスセンター/8月8~17日/ハードコート)は最終日となる8月18日はU18の男女シングルス決勝が行われ、男子は第3シードの藤原智也(東山高)が第2シードの三井駿介(アクトスポーツクラブ)を6-3 6-4で破り、インターハイとの2冠を達成した。

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 歓喜というより安堵の優勝だった。

 スコアからはさほど苦しんだ印象は受けないが、要した時間は2時間3分。デュースの多さ、ラリーの長さがこのゲーム数で1セットに1時間以上もかかった原因だ。

 最後になると藤原の右手の指はケイレンし、もう限界だった。顔を歪めて何度も手首を振ったり手のひらを揉んだりしている。これ以上試合が長引けばどうなるかわからない状態で迎えた40-0でのマッチポイント。三井のフォアハンドはベースラインに乗ったかにも見えたが、主審のオーバールールでゲームセットとなった。

 特に苦しんだのは第2セットだ。三井の守備力は驚異的で決まるはずのショットが決まらず、終わるはずのラリーが終わらない。ワンブレークを生かして第1セットをものにした藤原が第2セットも第3ゲームをブレークしたが、第6ゲームをブレークバックされて流れが変わる。三井は続けてキープし、第8ゲームの藤原のサービスゲームは0-30。疲労で足も動かなくなっていた。

「このセットは捨てて、(ヒートルールによる)10分間の休憩で立て直してマッチタイブレークにかけようと思った」と藤原。そんな矢先、三井の凡ミスがにわかに目立ち始めた。

 これで息を吹き返すと、4ポイント連取でこのゲームをキープしてピンチをしのぐ。続く第9ゲームは三井の40-0からデュースに追いつき、4度のデュースの末に値千金のブレークに成功。最後はラブゲームで締めくくった。

2019年全日本ジュニア地区大会|PHOTOアルバム

 U18の準優勝者は翌年優勝する------。それは、過去3年続いていた不思議なドラマだった。偶然といってしまえばそれまでのことを、昨年準優勝の藤原は自分に課された責任のように感じ続けてプレッシャーの中で本当に優勝を遂げた。

 終盤の苦しい局面を乗り越えることができたのは、自負する「気持ちの成長」だろう。あんなに“ジンクス”を気にしていたはずなのに、最後の夏を迎えたときには、「楽しんで試合ができたらいい」と自然と思えるようになっていた。

 下の年齢で決勝に勝ち上がってきた三井は三井で、過去3年間の敗者の連鎖を意識していた。

「自分が破ってやろうと思ってたんですけど、力が足りませんでした」

 その三井もまた、藤原と同じ重圧を抱えながら来年のこの大会を迎えるのだろうか。そうである必要はないし、極端な話、出なくたっていい。しかし、「これで来年出なかったら『逃げるな』ってコーチからも言われるでしょうね」と苦笑いした。

 心くすぐるストーリーを紡いでくれた両者を称えたい。そして、さらにエキサイティングな未来の物語に期待する。

(ライター◎山口奈緒美)

※写真はインターハイとのジュニア2冠を達成した藤原智也(関西/東山高)
撮影◎牛島寿人 / HISATO USHIJIMA


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