日本テニス協会(JTA)が主催する「三菱全日本テニス選手権 94th」(賞金総額2874万円/本戦10月26日~11月3日/東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の大会最終日、男子シングルス決勝は第3シードの清水悠太(三菱電機)と第6シードの野口莉央(明治安田生命)で争われ、野口が6-3 6-4で優勝を飾った。

 清水の最新の世界ランクは367位。一方の野口は398位。これは日本選手では上から12番目と14番目にあたる。同じ20歳ながら、学年は野口がひとつ上でプロ3年目、清水はプロ2年目。ともに20歳のふたりが決勝で顔を合わせた。

 第1セットは清水が先にブレークして3-1とリードしたが、野口は慌てることなく、落ち着いたプレーで着々とポイントを積み重ね、5ゲーム連取で逆転に成功。「(清水)悠太は3種目で決勝に進んでいる。動きで負けたら恥ずかしい。足を動かすことを意識した」と言う。

画像: 躍動感あふれるプレーを見せた野口

躍動感あふれるプレーを見せた野口

 実際、清水の動きは鈍かった。左膝下からはテーピングが施され、野口も今年6月に中国で対戦したときは(6-3 6-1で清水の勝利)、もっと動きがよかったという。ただ、それで野口のプレーが変わることはなく、清水の低くて角度のあるバックのクロスを警戒しながら、ていねいにボールを配球し、ゲームを優位に進めた。

 第2セットはブレーク合戦となり、3-3から野口が第7ゲームをラブゲームでキープして4-3とすると、続く第8ゲームは清水が痛恨のダブルフォールトで落とし、これで野口が5-3と優勝に近づいた。

 それでも清水が最後の力を振り絞るように第9ゲームを奪って4-5と追い上げ、第10ゲームでも手に汗握るストローク戦を繰り広げれば、勝負の行方はまだわからなかった。5-5となれば清水にも勢いがつく。だが、最後は3度目のマッチポイントを野口が決めて決着がついた。

「攻めるところは攻め、守るところは守れた。優勝できたのは素直にうれしいです」と野口が笑顔で言う。第1セット1-3からの第5ゲームでブレークバックできたことが大きかったと口にし、終盤の清水の猛攻には「耐える時間だと思った」と振り返った。

 3年前の島根インターハイで優勝し、プロに転向して3年目。クレーの欧州遠征にも積極的に挑戦し、腕を磨いてきた。今回の優勝にも「それが活きている実感がある」と言う。中学2年生から指導する小島弘之コーチも「今日はよく走りきったし、本当にタフになったと思います」と目を細めた。

 勝負が決まった瞬間、清水はコートに仰向けになって倒れ込んだ。表彰式では涙が止まらない。これほど涙を流す清水を見るのは初めてのことだった。「せっかくここまできたのに、今までのプレーができなくて…これまでの対戦相手のことや、応援してくれた人たちのことを考えると…」と静かに答えた。

画像: 準優勝に終わった清水

準優勝に終わった清水

 朝、起きたときから痛みはあったが、「できるところまでやろうと思った。最後までできてよかった」と清水。それでも「相手はミスがなく、いいプレーをしたので(負けたのは)仕方がない」と口にした。最後のダブルスも準優勝。3種目すべてで決勝に進出した清水の全日本が終わった。

画像: 野口(右)と清水の決勝は20歳対決だった

野口(右)と清水の決勝は20歳対決だった

トップ写真は、第6シードから優勝を飾った野口莉央(明治安田生命)

取材◎牧野 正 写真◎菅原 淳

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