三菱電機が“全員テニス”で2度目の頂点へ [第32回テニス日本リーグ]

「第32回テニス日本リーグ」の決勝トーナメント(2月9~11日/東京都渋谷区・東京体育館/室内カーペットコート)は最終日、男女の決勝と3位決定戦が行われ、男子決勝は三菱電機がイカイを2勝1敗で破り、3年ぶり2度目の優勝を果たした。

 イカイと三菱電機の決勝カードは、3年前の第29回大会に実現。当時の三菱電機は杉田祐一と仁木拓人のシングルス2本を軸に勝ち上がり、決勝はイカイを破ってリーグ初制覇を果たした。エースの杉田は大会のMVPを獲得。同年に加入したばかりの仁木は出場した9試合すべてに勝ち、優勝の立役者となった。

 今季の三菱電機は、社員選手のダブルスとS2の仁木に加え、S1に今年から日本リーグ初挑戦の高橋悠介を置く布陣で挑んだ。

 S2の仁木はイム・ヨンギュ(韓国)と対戦。第1セットを仁木、続く第2セットはイムが奪って最終セットに突入し、第2セットの勢いのままイムが序盤でブレークに成功、ゲームカウントを5-3とする。

イカイのS2で三菱電機の仁木拓人と対戦した韓国のイム・ヨンギュ

 苦しい展開となった仁木だが「自分のプレーが戻れば、まだチャンスはある」と奮起。チーム、スタッフ、そしてスタンドにいる多くの三菱電機のサポーターが大きな声援を送り、仁木の背中を押す。ここから逆襲が始まった。

 イムのサービスゲームとなった第9ゲームを土壇場でブレークしたのを皮切りに、そこから怒濤の4ゲーム連取。最後は自身のサービスをセンターに決めてポイントを終わらせると、喜びを爆発させ、その場にうずくまった。

三菱電機の1勝目を挙げたS2の仁木拓人

「個人戦だったら心が折れているくらいの場面もあったが、チームからの応援、皆の力を借りて、最後まで走りきれた」と仁木。三菱電機がドラマティックな勝利で優勝に王手をかけた。

 続くS1対決は三菱電機が高橋、対するイカイは福田創楽を起用する。第1セットは「仁木さんの勝利で最高のテンションで試合に入れた」と高橋。あっさりと6-1で先取するも「そのテンションが続かなかった」と反省。第1セットよりも少し後方に下がって粘り強くプレーする福田にリズムを掴まれ、3-4の第8ゲームでサービスを破られると、第2セットは3-6でセットを落としてしまう。

エース対決で三菱電機の高橋悠介と対戦したイカイの福田創楽

 追いつかれた高橋だが、強い気持ちで立ち向かった。「仁木選手があれだけのガッツを見せてくれたし、今回は杉田(祐一)さんがいない分、自分がエースとして戦っている。ここで勝たないとエースじゃないと思った」。

 最終セットに入ると、高橋のプレーはふたたびキレを取り戻し、最後は自身も最高の出来だったと振り返るプレーで福田を圧倒。6-1 3-6 6-1で勝利し、三菱電機の日本一が決まった。

三菱電機のエースとしてシングルス全勝で優勝に貢献した高橋悠介

「今回は全員で勝ちきった優勝」と豆谷智治監督は大会を振り返る。エースの高橋は1stステージから全勝、仁木も最後に殊勲の勝利を収めた。さらに準決勝では三菱電機社員の福田健司と廣田耕作が1勝1敗の場面で試合を決める働きを見せた。彼ら以外にも主将の駒田和也、黄賢人、池川浩史の社員選手たちが常にチームを支えた。

 プロとアマの選手同士が助け合い、励まし合い、信頼し合う強さが、今回の優勝に繋がった。

編集部◎中野恵太

トップ写真は、優勝後、応援に駆け付けたサポーターの声援に応える三菱電機メンバー
撮影◎菅原淳/テニスマガジン

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