敗れてもなお、「自分の新たなメンタリティを誇りに思う」とハレプ [オーストラリアン・オープン]
「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)の女子シングルスは、カロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)のグランドスラム初優勝で幕を閉じた。
シモナ・ハレプ(ルーマニア)は、ローレン・デービス(アメリカ)に対する4時間近くかかった体力を消耗させられる試合で、3つのマッチポイントを握られながらそれを凌いだ。それから、ガッツ溢れるプレーで劣勢を巻き返して勝ったアンジェリック・ケルバー(ドイツ)に対する準決勝でも、やはりふたつのマッチポイントをセーブした。
決勝で第2シードのウォズニアッキに対しても同じようにすべきときがきたときに、ハレプの幸運はついに尽きてしまった。第1シードのハレプは、土曜日の夜に直面した最初のマッチポイントでバックハンドのミスを犯し、6-7(2) 6-3 4-6で敗れて、またも決勝で、あと一歩届かなかった。
ハレプは当然ながら、試合後に心をかき乱されていたが、それから、ここ数週間の厳しい道のりを思い、「それでもまだ微笑むことはできる」と言った。
「大丈夫よ。泣いたけれど、今は微笑んでいる」
この大会後、世界ナンバーワンの座までをウォズニアッキに譲り渡すことになる26歳のハレプは、今、グランドスラム大会決勝での戦績を0勝3敗とした。これらの各試合で、彼女は勝利の有力候補であり、そのすべてで勝つチャンスを手にしていた。
最初の敗戦は、2014年フレンチ・オープンでのマリア・シャラポワ(ロシア)に対する3セットマッチだった。それから昨年の全仏での、ノーシードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア)に対する敗北がきた。この試合では、ハレプは第2、第3セットの双方で、先にブレークに成功していた。
土曜日のウォズニアッキに対する敗戦でも、第3セットでのハレプは、やはり相手よりも1ゲーム多くブレークを果たし、4-3から自分のサービスゲームを迎えたが、今回の彼女は、気持ち的にたじろいだと言って自分を責めることはなかった。6試合を通して11時間半をコート上で過ごしたあと――これは男子シングルスのロジャー・フェデラー(スイス)より長い時間だ――ただ肉体的に壁にぶち当たったのだ、とハレプは言った。
「あまりに長い試合を戦ったので、体が準備万端ではなかった。筋肉は疲労し、足も十分なだけよくなかった。でも、精神的に、私には準備はできていた。どんなチャレンジにも立ち向かえると感じていた。私は、誰に対しても戦える、誰に対しても勝つことができると」
ハレプはこの大会の間、何度にも渡り、今年、コーチのダレン・ケーヒル(オーストラリア)の助けを得てつかんだ新しいアプローチについて話していた。それは、彼女が試合ごとに見せていたアグレッシブで、自らブレークを狙っていくプレースタイルから、もっともフラストレーションを感じている瞬間にさえキープしようと努めている落ち着いた外面まで、様々なものだった。
彼女自身がそう呼んでいる『新しいシモナ』のための変化は、実りをもたらした。これまではパワーで知られたタイプの選手ではなかったが、彼女は準決勝、決勝を合わせ、12本のサービスエースを含め、目覚ましい90本ものウィナーを叩き出しており、この数字は彼女自身さえを驚かせた。
そして、過去にそうだったように、冷静さや集中力を失って自分自身に小言を言う代わりに、ハレプは大会を通し、著しく落ち着いて見えた。これは、そのネガティブな考え方ゆえに、昨年ケーヒルと一時的に袂を分かっていた感情的なハレプにとって、おそらく進歩した最大の点だろう。
「すべてにおいて違うと思うわ」とハレプは、この敗戦と、自分の全仏決勝での敗戦を比べながら言った。
「私はよりよいプレーをした。私が望むほど動けなかったのは、(肉体的疲労から)そうできなかったからよ。でも、テニスそのものは問題なかった。メンタル的部分も問題なかった。この大会で、私は大きく成長したと思うわ」
彼女はまた、「私は多くのよい考えと、多くのポジティブなものとともに、オーストラリアをあとにする。何故って、私は過去に決してできなかったことを、ここ2週間でやってのけたのだから」と付け加えた。
過去に彼女と同じ状況に立たされていたほかのプレーヤーもいる。最終的に最初のグランドスラム・タイトルを獲る前に、キム・クライシュテルス(ベルギー)は4度、クリス・エバート(アメリカ)は3度、決勝で敗れていた。
しかしながらこのことは、非常に高い闘争心を持つハレプを慰めはしなかった。彼女はただ、ふたたび笑い、自分のためのときは、これからだと言う。
「私は勝ちたい。私はまだ負けていて、いまだに待っているけど…たぶん4度目には、幸運が訪れるはずよ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はビリー ジーン・キング(アメリカ/左)から準優勝プレートを受け取るシモナ・ハレプ(ルーマニア)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 27: Billie Jean King presents Simona Halep of Romania with the runners-up trophy after losing the women's singles final to Caroline Wozniacki of Denmark on day 13 of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 27, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ