初のグランドスラム・タイトルと世界1位の座をかけ、ハレプとウォズニアッキが決勝で激突 [オーストラリアン・オープン]
オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15~28日/ハードコート)の大会11日目。
シモナ・ハレプ(ルーマニア)がマッチポイントを握られたのは、これが今大会2回目だった。彼女はそこで、あと一つのミスが、オーストラリアン・オープンからの敗退と、おそらく世界1位の座の喪失を意味する、ということを知っていた。
そして彼女が、そこで安全策をとる代わりに攻撃に出たのも、ここ一週間あまりで2度目だったのだ。26歳のルーマニア人は、この準決勝で2つのマッチポイントをしのぎ、2016年チャンピオンのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)を6-3 4-6 9-7の大熱戦の末に倒すのに、自身4つのマッチポイントを必要とした。
ハレプは土曜日に行われる決勝で、世界2位のカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)と対戦する。つまり勝者が誰になろうと、どちらかが初のグランドスラム・タイトルを獲得することが確実となったのだ。勝者はまた、来週初めにランキングが更新されたとき、世界1位になっている。最初の準決勝で、エリース・メルテンス(ベルギー)を1時間半の戦いの末に6-3 7-6(2)で退けたウォズニアッキは、ここ6年というもの首位の座から遠ざかっていた。
ハレプにとって、これはフレンチ・オープン以外での初のグランドスラム大会決勝となる。彼女は昨年、フレンチ・オープン決勝でセットを先取し、第2セットでワンブレークしていたにも関わらず、エレナ・オスタペンコ(ラトビア)に巻き返されて敗れ、2014年にもマリア・シャラポワ(ロシア)に敗れていた。
ウォズニアッキにとって、これはアメリカの外での初のグランドスラム決勝となる。USオープンで2度準優勝しているウォズニアッキもまた、初のオーストラリアン・オープン決勝に至るためにマッチポイントをセーブしなければならなかった。彼女は2回戦で、第3セット1-5から挽回しなければならず、それ以降はーー失うものは何もない、の精神でプレーしてきた。
決勝への道のりでマッチポイントをセーブして優勝した選手には、2016年チャンピオンのケルバーのほかに数名いるが、それを2度やってのけた上で優勝した女子選手は、これまでいない。
ハレプは、それを変えたいと願っている。第3セットが15-13で終わったローレン・デービス(アメリカ)に対する3回戦で、3つのマッチポイントをセーブしたことが、準決勝のプレッシャーにも耐えうるよう、精神的に自分の準備を整えたのだと彼女は言った。
「間違いなくタフな経験だった。私は今、震えているわ。この試合に勝てたから、すごく感情的になっている」とハレプはもう一つの長い接戦でケルバーを倒した直後に言った。「踏ん張ることができてうれしい。こんな試合をするというのは容易なことではないけど、私はただ楽しまなければならない」。
ハレプは1回戦で足首をひねったが、メルボルンパークですべてのリスクをおかしてでも戦い抜き、あとで休みをとるという決断を下した。
「この試合で私は2度マッチポイントを手にしたけれど、ものにできなかった。だから私は、もし彼女が巻き返したというのなら、私にだってできると自分に言い聞かせたの。私はただ自分を信じていた」と彼女は言った。
「足首を痛めたあと、すべてのポイントで戦い、最後まで頑張り抜き、この大会で全力を尽くして、それから休もうと決心したの」
彼女はオーストラリアン・オープンで2年連続、1回戦敗退を喫したあと、新たな決意を胸にやってきた。彼女はケルバーに対し、多くの長く激烈なラリーに勝ち、50本のウィナーを奪い、50本のアンフォーストエラーをおかした。彼女は第1セットで5-0とリードを奪い、それから第2セットでも3-1とし、ケルバーがそこから巻き返してきたときにも、萎れることはなかった。
「私は落ち着きを保とうと努めていた。でも今日は、まるでローラーコースターのようにアップダウンが激しかった」とハレプは言った。「でも私は、たった一つのボールさえ諦めなかった。実際、私は自分を本当に誇りに思うわ」。
ケルバーにとっても、そう大きく違わなかった。彼女は3回戦でシャラポワを破ったあと、ドローに勝ち残っている唯一の元グランドスラム大会優勝者だった。
「私は2つのマッチポイントを手にした。でも、2度チャンスがありはしても、彼女がいいプレーをしたから何もできなかった」とケルバーは言った。「最後はただ、捨て身の戦いだった。試合を決めたのはほんの1、2ポイントだった。私はできるすべてを捧げたわ」。
ウォズニアッキは、彼女の準決勝の各セットの半ばでブレークを果たし、苦労なく進んでいるように見えていたのだが、5-4から自分のサービスをキープすれば勝利、というゲームに入ったとき、急に硬くなった。彼女は30-15から2度ダブルフォールトをおかし、メルテンスはフォアハンドのウィナーで彼女を抜き去って5-5と追いついた。
初めてのオーストラリアン・オープンで準決勝に進出した37位のメルテンスは、そこから激しさのレベルを上げた。彼女は、ウォズニアッキが最終的に8分半かかったサービスゲームをなんとかキープして勝負をタイブレークに持ち込む前に、2度セットポイントを握っていた。
「5-4から本当に硬くなってしまった。ナーバスになっていたの。ひとたび彼女がセットポイントを握ったら、逆に『いい? ただ強気でいくのよ。今、彼女もまたナーバスなんだから』と思ったのだけれど」とウォズニアッキは言った。
「何とか自分を立て直し、ありがたいことに、最後には試合を終わらせることができた」
27歳のウォズニアッキは、7年前にもリー・ナ(中国)に対する準決勝の試合でマッチポイントを浪費してしまったことがあったが、今回の彼女は落ち着きを保ち、タイブレークでは手にした最初のマッチポイントをものにした。
ウォズニアッキは2009年のUSオープン決勝でキム・クライシュテルス(ベルギー)に、2014年USオープンではセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に敗れたが、もう一歩というところで逃した試合の中でもっとも彼女を苛んだのは、リー・ナに対する準決勝での敗戦だったと告白した。
「多くの悪い敗戦を、そして多くの素晴らしい勝利を経験したけれど、あれは特別に辛かった敗戦のひとつだわ。グランドスラム大会の決勝に至るための試合だったから。それにあの日、私は(相手より)いいプレーをしていると感じていた。そこに至るべきときが来たのだと感じていた」と、ウォズニアッキは回顧した。
「だからこそ、あの日敗れたときに、普通以上に辛かったのだと思う。特に、勝利まであと1ポイントと迫っただけに…。どんな選手に尋ねても、思い返したときに特別に心が痛む試合というのが、常にひとつか、ふたつあるはずよ」
ハレプは、世界1位にはすでに就いたので、グランドスラム大会のタイトルを獲ることのほうがより重要だと言った。「それは私の夢なの。グランドスラム大会のタイトルを勝ち獲るということが。でも、近くまで迫ってからが常に難しい。私は過去に2度チャンスを手にした。最後のものは、本当にあともう少しだったわ」。(C)AP(テニスマガジン)
※トップ写真はシモナ・ハレプ(ルーマニア)
Photo: MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 25: Simona Halep of Romania celebrates winning match point in her semi-final match against Angelique Kerber of Germany on day 11 of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 25, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Quinn Rooney/Getty Images)
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