「余計なことを考えてしまった」準々決勝でサングレンに勝利のチョン・ヒョン [オーストラリアン・オープン]
オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15〜28日/ハードコート)の大会10日目。
準決勝進出に向けて、40-0で迎えたマッチポイントからサービスを打つチョン・ヒョン(韓国)は、韓国人として初めてグランドスラムのベスト4進出を目前に、どんな風に祝おうかと考え始めていた。
余計な邪念は当然プレーに悪影響を及ぼす。第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)や全豪6度の優勝回数を誇るノバク・ジョコビッチ(セルビア)との対戦では最後まで油断せずに全力で戦ったが、世界ランク97位のテニス・サングラン(アメリカ)に対しては、自らガードを下げて数ポイント失ってしまった。
サングレン戦では、最後のゲームで4つのマッチポイントを生かせず、2つのブレークポイントをしのがなければならなかった。その中には31本のショットを打ち合う長いラリーもあった。最後はバックハンドのスライスでうまくポイントをものにし、ロッド・レーバー・アリーナでサングレンを6-4 7-6(5) 6-3で退けた。
「最後のゲームの40-0で“あと1ポイントで韓国のテニス史を塗り替えられる”と考えてしまった。“どんな風にお祝いしようか?”などと余計なことも頭をよぎった。でも、デュースになり、ブレークポイントを握られたところで、今はお祝いのことは忘れて次のポイントにフォーカスしなければならないと集中し直した」とチョンは、先のことを考え過ぎたと反省した。
その後、ジム・クーリエ(アメリカ)とのオンコートインタビューで両親とコーチを観衆に紹介するなどチョンがおどけてみせると、すぐに会場はリラックスした雰囲気に変わった。その後はミニマイクをつけて、新たに韓国で生まれた何百万人ものテニスファンに向けてメッセージを送った。
「韓国のテニス史を塗り替えたのだから、国民すべてがテレビの前で見ていると思う」と韓国でのフィーバーぶりを冷静に話した。
ランキング58位での準決勝進出は、2004年のマラト・サフィン(ロシア)以来、もっともランキングの低い選手によるオーストラリアン・オープンでのベスト4進出になる。21歳でのグランドスラム4強は、2010年にマリン・チリッチ(クロアチア)がメルボルンで達成して以来の最年少記録だ。
先に勝ち上がっていたカイル・エドマンド(イギリス)と合わせ、チョンが準決勝進出を決めたことで、ノーシードの選手が2人以上準決勝に残ったことになる。これは、1999年以来のこととなる。
チョンのここまでの勝ち上がりは決して平坦なものではない。ズベレフ、ジョコビッチを倒したあとは、前回王者のロジャー・フェデラー(スイス)と決勝進出をかけて戦う可能性もある。フェデラーは同日のナイトセッションで行われる準決勝でトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)と戦うことになっている。
先週までグランドスラムで未勝利、トップ10選手に勝ったこともなかったサングレンに対し、チョンは最後の1ゲームを除くと、抜群の安定感で圧倒した。
一方、サングレンが2014年王者のスタン・ワウリンカ(スイス)、第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を倒して勝ち上がった驚きのベスト8進出は、残念なニュースでかき消されてしまった。サングレンが超極右活動家のアカウントをフォローし、その発言をリツイートした過去が発覚し、試合での活躍よりも大きく取り上げられてしまった。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はテニス・サングレン(アメリカ)にストレート勝ちを収めたチョン・ヒョン(韓国)が、ジム・クーリエとのオンコートインタビューで両親、コーチのいる方向を指すシーン
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 24: Hyeon Chung of South Korea is interviewed by commentator Jim Courier after winning his quarter-final match against Tennys Sandgren of the United States on day 10 of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 24, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)
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