チョン・ヒョンのジョコビッチに対する勝利で、韓国でのテニスの注目度がアップ [オーストラリアン・オープン]
オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15〜28日/ハードコート)。
平昌冬季オリンピック開始まであと2週間と迫った韓国で、〈テニス〉をスポーツの注目の的とするには、比類ない何かが必要だった。
オーストラリアン・オープン優勝歴6回のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対するチョン・ヒョン(韓国)の勝利は、その類まれな芸当をやってのけた。チョンがグランドスラム大会で準々決勝に進出した初の韓国人となったあと、母国の新聞は『センセーション』とヘッドラインを打った。
世界ランキング58位のチョンは、ロッド・レーバー・アリーナで子供時代のヒーローを倒し、世界97位のテニス・サングレン(アメリカ)に対する準々決勝への切符を確保した。サングレンは、先週まで一度もグランドスラム大会で試合に勝ったことがなかった選手だ。それもあって今、期待は大きく膨らみつつある。
「今、韓国で、僕の試合をライブで見てくれている母国のファンたちに、心から、こうも遅い時間に僕を応援し、見守ってくれたお礼を言いたい」
ライブ放映でのオンコート・インタビューの際に、チョンは韓国語でこう言った。そう言いながら、彼は観客席にいる両親と兄のほうに視線を投げた。
「僕はまだ大会を終えていない。そして水曜日には、よりよいパフォーマンスを見せるつもりだ」
主要なメディアは賛辞に溢れ、ソーシャルメディアは大騒音を立てている。イ・ミョンバク元大統領は、「私は、素晴らしい若者チョン・ヒョンの進行中の挑戦を応援する」とメッセージを送った。
部分的に韓国のテニスは、費用の高さ、施設やコーチの不十分さのため、これまでなかなか人気を得ることができず、苦労していた。
これまで、若い世代の選手たちにインスピレーションを与える、国際舞台で成功をおさめたお手本的存在はほとんどいなかった。この月曜日まで、韓国人男子プレーヤーの最高成績は、2000年、2007年のUSオープンで4回戦に進んだイ・ヒュンタクと、女子では、1981年USオープンで4回戦に進んだイ・ドクヒー(Duk-Hee LEE)がいただけだった。
チョンの成功は、風潮を変えかねないものだ。
「もし正しいサポートを得られれば、韓国は優れた選手たちを輩出するポテンシャルを擁している」と、チョンとともに働いているコーチのひとり、ソン・スンリはソウルのCBSラジオに言った。
「チョンが成功し、人々がよりオーストラリアン・オープンやテニス全般に興味を持ち始めたらよいのだが」
ソンはまた、「もちろん僕らの目標は、常に勝とうと努めることだ。まだまだやらねばならない多くのハードワークが待っているのだから、今は、その先の話をするべきではないね」とも言い添えた。
ジョコビッチは、チョンに多大な賛辞を送った。2014年にプロになったチョンは、2015年にランキングを122段上った。2017年には故障のため出場数が限られたが、この経験が、グリップやそのほかの技術的な調整・修正を行うことにつながった。
「彼は疑いなくトップ10となるためのテニスを擁している」とジョコビッチは言った。「どこまで行けるか? それは彼次第だ。いずれにせよ、彼は将来的に非常にいい成績を手に入れるだろう、と僕は確信しているよ」。
12度グランドスラム優勝を遂げたジョコビッチは、メガネをかけ、穏やかな口調で話すチョンの上達ぶりに感銘を受けていた。チョンは子供のとき、視力を改善しようという試みから、テニスを始めたのだという。
「(以前とは)大きな違いがある。言うまでなく、彼は今、肉体的により強い。そしてここ15ヵ月で、大きな舞台でいくつかのビッグマッチを経験したのだと思う」とジョコビッチは続けた。
チョンの過去のグランドスラム大会での最高成績は、2017年フレンチ・オープンでの3回戦進出だ。しかし明らかに伸び盛りの彼は、先の11月、21歳以下のトップ8が集う「Next Gen ATPファイナルズ」の第1回大会で優勝し、ヘッドラインを飾っていた。
今、ベスト4に進出する大きなチャンスをも手にしているチョンは、母国で反響を巻き起こしている。
「今日の勝利は、僕の母国のためのものだ。テニスは今、浮上しつつある」と彼は言った。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はチョン・ヒョン(韓国)
Photo: MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 22: Hyeon Chung of South Korea celebrates winning his fourth round match against Novak Djokovic of Serbia on day eight of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 22, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Cameron Spencer/Getty Images)
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