ナダルが故障でリタイア、チリッチが準決勝へ [オーストラリアン・オープン]

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15~28日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝。

 マリン・チリッチ(クロアチア)に対する試合で、故障のため、目に見えて苦しんでいたラファエル・ナダル(スペイン)は、第5セットの出だしに棄権を余儀なくされた。第3セットまでは激しく見ごたえある戦いが見られたが、ナダルの様子が目に見えておかしくなったのは、ナダルがタイブレークの末に第3セットを取ったあとだった。

 第4セットにとったメディカル・タイムアウトの1ポイント後、ナダルはコートの後方に行き、故障した右足をストレッチするため、膝を曲げたり、持ち上げたりした。

 その3ゲーム後、トレーナーによるさらなる治療を終えてから、ナダルは5セットの開始時に、痛みをこらえて歩こうとする中、チリッチのサービスを図らずも遅らせなければならなかった。

 さらに2ゲームの間、ナダルは脚を引きずり、痛みに顔をしかめながらプレーした。そして6度目のブレークポイントをしのぐことに失敗したあと、グランドスラムで16度優勝した男は、オーストラリアン・オープンから去った。

 第6シードのチリッチは3-6 6-3 6-7(5) 6-2 2-0で勝ち、彼にとって2010年以来となるオーストラリアン・オープン準決勝に駒を進めた。彼はそこで、49位のカイル・エドマンド(イギリス)と対戦する。エドマンドは、世界3位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)を6-4 3-6 6-3 6-4で倒し、自己初のグランドスラム大会準決勝に駒を進めた。

「辛い瞬間だ。ここでは初めてではないが」とナダルは言った。「僕は本来、前向きな人間だが、今日、グランドスラム大会の準決勝に進み、僕にとって重要なタイトルをかけて戦うチャンスを失ってしまった。本当に受け入れるのが辛い出来事だ」。

 大会前、スタープレーヤーたちの故障の話が新聞のヘッドラインを独占していた。全豪準優勝5回のアンディ・マレー(イギリス)は腰に手術を受けるため出場を取り消し、ナダル(右膝)、全豪優勝歴6回のノバク・ジョコビッチ(セルビア:右肘)、2014年全豪優勝者のスタン・ワウリンカ(スイス:左膝)も大会ぎりぎりまで、出場するか否かを決めるため体の状態を監視していた。そのため、ある意味では彼ら皆が敗退したのも、そう驚きではない。

 人間の耐久力にも限界がある。ナダルは火曜日にその事実を痛感した。

「ツアーを運営している誰かが、何が起こっているかについて少しは考えるべきだ。あまりに多くの選手たちがケガをしている」

 試合後の記者会見で変わらず足を引きずり、痛みに顔をしかめながら、ナダルは、「彼らは、選手の健康について少し考えなければならないんじゃないか?」と言った。

「我々が、このすごくすごく硬いサーフェスでプレーし続けたら、将来的に我々の身に何が起きるか、わかったものではない」

 ナダルは、年間スケジュールにおけるタイミングと大会数、ハードコートの激増は不安の種だと言った。ほかの選手たちも類似した見解を口にしている。

 ナダルは見るからに意気消沈していた。彼がオーストラリアン・オープンの準々決勝で途中棄権したのは、これが2度目となる。以前にそれが起きたのは2010年で、マレーに対する試合の最中だった。

 ナダルは、対チリッチ戦の第3セット途中で右脚上部の筋肉に痛みを感じたが、そのセットを戦い抜いた。第4セットでドロップショットを追ったときに痛みが強まったのを感じたが、「どれくらい悪いかはわからなかった」のだという。

 彼は第4セット1-4となったときにメディカル・タイムアウトをとり、セットの終わりにも、ふたたびトレーナーを呼んで治療を受けた。

 第5セットの出だしにチリッチが彼のサービスゲームをブレークした直後に、31歳のナダルは、主審とチリッチに握手を求めに行き、それから怒りをにじませながら、ヘッドバンドを外してバッグに投げつけた。

 ナダルは、右膝の故障のためシーズンの開始を遅らせたが、1回戦から4回戦までは良好な調子であるように見えていた。彼は2008年と2009年以来、2大会連続で全豪準々決勝に勝っていない。2009年はナダルが、彼にとって唯一の全豪タイトルを勝ち獲った年だった。

「僕らの双方が素晴らしいパフォーマンスをしていた。ラファにとって、本当に不運なことだ」とチリッチは言った。彼はこの試合に先立つ過去の6対戦で、一度しかナダルを破ったことがなかった。「彼は信じられないようなファイターだ。彼は常に全力を絞り出して戦う……こんな形で終わらねばならなかったのは、彼にとって本当に不幸なことだった」。

 チリッチ対エドマンドの準決勝は、トップハーフのドローでの予想外のカードだ。今大会以前のエドマンドは、グランドスラム大会で一度も準々決勝に進出したことがなく、ツアーレベルで一度も5試合連続で勝ったこともなく、トップ5に勝った経験もなく、ディミトロフに対する過去の対戦2度の双方で敗れていた。

 第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)は、20番目のグランドスラム・タイトルを目指して戦っており、水曜日の準々決勝でトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)と対戦する。フェデラーのいるドローのボトムハーフでは、58位のチョン・ヒョン(韓国)と、97位のテニス・サングレン(アメリカ)が準決勝進出をかけて対決する。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はラファエル・ナダル(スペイン)
Photo: MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 23: Rafael Nadal of Spain is attended to by a trainer as he has injury time out in his quarter-final match against Marin Cilic of Croatia on day nine of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 23, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Michael Dodge/Getty Images)

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