シェイ・スーウェイが披露した“異色”のスタイル [オーストラリアン・オープン]
オーストラリア・メルボルンで開催されている「オーストラリアン・オープン」(1月15~28日/ハードコート)の大会8日目。
パワーテニス全盛の時代に、シェイ・スーウェイ(台湾)は両手打ちのドロップショット、芸術的なロブ、見かけよりも鋭いスピンのかかったスライスなどで、まったく異なったスタイルのテニスで見る者を楽しませている。
彼女はそれを“スーウェイ・スタイル”と呼んでいる。そのスタイルを前面に出して戦った4回戦では、あと一歩でいら立ちを隠せないアンジェリック・ケルバー(ドイツ)を倒すところだった。もし勝っていれば、今大会2人目のグランドスラム優勝経験者への勝利になるところだった。2時間以上もかかった“異色”の試合で、結局、シェイは6-4 5-7 2-6で敗退した。
ダブルスのスペシャリストでもある32歳のシェイが、グランドスラムでベスト16に勝ち進んだのは、2008年の全豪以来のことだった。
ケルバーはシーズン開幕からの連勝記録を13に伸ばし、勝つには勝ったが、シェイのプレーはとてつもなくトリッキーで難しい試合だったと語った。
「“いったい、どうやってこんなボールを打ったの?”という思いが試合中ずっと続いていた。彼女はいつも私を困惑させる最高の“答え”を持っていた。ダウン・ザ・ラインに打ったかと思えば、その次は意表を突いてドロップショット。彼女がネットに出てくると、私は自分のポジションを完全に見失っていた。少しだけリラックスするように心がけて、“次のポイント!”と自分に言い聞かせながらプレーするしかなかった」
シェイが今大会で苦しめたのは、ケルバーだけではない。1回戦で予選勝者のジュ・リン(中国)との接戦を制したあと、シェイは昨年のウインブルドン女王のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)を倒し、3回戦ではウインブルドン準優勝の経験を持つアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)にも勝利した。ネット際の絶妙なタッチボレーなど、創造性豊かなショットをフルに活用して相手を惑わせた。
時折、シェイ自身も自分のショットがどこにいくのかわからないことがあるという。
「私はこのスタイルを“フリースタイル”と呼んでいる。プランがないときも、自分ができることをやろうとしている。ボールが手元へくるとき、最後の最後の瞬間にどこへ打つか決めているの。対戦相手に“彼女はどこに打つのかわからないわ”とよく言われるけど、私自身もわからないのよ」
彼女はしかし、シングルスでは目立った成績を残していない。ひときわ変わったプレースタイルのシェイは、これまでダブルスで好結果を残してきた。ペン・シューアイ(中国)とのペアでフレンチ・オープンとウインブルドンのダブルスで優勝。ダブルスのランキング1位に立った最初の台湾女子選手にもなった。
シェイは今大会もペンとダブルスを戦い、準決勝まで勝ち上がっている。
彼女は、今回の成功には過去にオーストラリアン・オープンの大会委員長を務め、元ダブルスナンバーワンでもあるコーチのポール・マクナミー(オーストラリア)の存在が欠かせないという。マクナミーはシェイがダブルスで1位になったあとも、シングルスにも挑戦するべきだとアドバイスしてきた。
「シングルスは最初、343位だった。そのとき、彼にシングルスにも出場するようにすすめられた。“なぜ彼は私にシングルスをプレーさせようとするんだろう?”と疑問に思ったわ」
単複両方に挑戦することは結果的に、大いにシェイのレベルアップにつながった。昨年の全仏では当時ランキング8位だったジョハナ・コンタ(イギリス)を倒して、70位近くまで上昇した。彼女のシングルス最高は、2013年2月にマークした23位だ。
「10年ぶりに(この大会のシングルスで)4回戦までいけたのだから、とても満足している。もう少し努力をすれば、もしかしたらもっと大きな成功を収められるかもしれない」とシェイは大きく自信を膨らませている。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はシェイ・スーウェイ(台湾)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 22: Su-Wei Hsieh of Taipei plays a backhand in her fourth round match against Angelique Kerber of Germany on day eight of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 22, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Darrian Traynor/Getty Images)
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