ウィル・スミスが見守る中、キリオスが憧れのツォンガを倒す [オーストラリアン・オープン]
「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、第17シードのニック・キリオス(オーストラリア)が第15シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)を7-6(5) 4-6 7-6(6) 7-6(5)で下し、ベスト16進出を決めた。
観客席に俳優のウィル・スミス、そしてネットの向こうのツォンガを見やり、キリオスは全豪の夜のメイン・アトラクションとして、本領を発揮した。
ショーを見せるときがきたのだ。
彼のお気に入りの俳優のひとり――スミスは初めて観客としてグランドスラム大会にやってきた――は、その金曜日、キリオスが冷静さを保ち、子供時代のヒーローだったツォンガを破るところを目撃した。キリオスは、最終セットのタイブレークで一時2-5とリードを奪われながら、最後の5ポイントを連取して、勝利をもぎ取った。
1976年以来の母国の男子チャンピオンを渇望しているオーストラリアの観客たちにとって、ふたたび活力を取り戻したキリオスは、大会の償いのストーリーの主人公となり得る存在だ。
「ジョーとの対戦で、僕は言うまでもなく非常にナーバスだった。彼は、子供だった僕が憧れ、尊敬していた選手であり、それは今も変わらない」
キリオスはコート上のインタビューで、ツォンガが2008年全豪で決勝に至ったとき、ツォンガにサインしてもらうため、毎日ボールを持ち歩いていた逸話を詳しく話りつつ、こう言った。
それから、彼はスミスに向かって頷いた。スミスは、もし映画が作られるなら、キリオスが自分の役を演じる男として選ぶというほど、お気に入りの俳優だ。
「彼がそこにいるのを見たとき、すごくナーバスになったよ」とキリオスはジョークを言った。「人々は僕がクールだと思っているようだが、僕は彼に、僕が存在する中でもっともクールな人間だと思ってほしかったんだ」。
クールは、大会5日目の夜にふさわしい言葉だった。健康を危険にさらす猛暑は収まり、2日連続でメルボルンパークの気温が40度に至った瞬間があったにも関わらず、中止された試合はなかった。
キリオスとツォンガの試合のせいで、世界1位のラファエル・ナダル(スペイン)と第28シードのダミアー・ジュムホール(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の試合は、ナンバー2コートに押しやられることになった。
しかし景色の変化は、ナダルにとっていい効果しかもたらさなかったようだ。ナダルは6-1 6-3 6-1で簡単に勝ち、11度目の全豪4回戦に進出した。彼は次のラウンドで、第24シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)と対戦する。シュワルツマンはアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ)を6-7(1) 6-2 6-3 6-3で下した。
アンドレアス・セッピ(イタリア)はイボ・カルロビッチ(クロアチア)の52本のサービスエースにも踏みこたえ、6-3 7-6(4) 6-7(3) 6-7(5) 9-7の勝利をもぎ取って、間もなく39番目の誕生日を迎える長身のクロアチア人を大会の外に追いやった。
金曜日の日中、選手たちは暑さに煩わされ、観客たちは日陰を求めて叫び、開催者たちは、午後2時にピークを迎えた温度がその後ぐっと落ちる前に、暑さ対策の特別処置(エクストリーム・ヒート・ポリシー)を適用するか否かの瀬戸際に立たされた。
カイル・エドマンド(イギリス)は、暑さがピークの時間帯に3時間半を要する5セットマッチの末にニコラス・バシラシビリ(ジョージア)を破り、セッピに対する4回戦へ駒を進めた。
また、第10シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)は第23シードのジル・ミュラー(ルクセンブルク)を倒し、次のラウンドで第6シードのマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦することになった。チリッチはライアン・ハリソン(アメリカ)に7-6(4) 6-3 7-6(4)で退けた。
温度が落ちたころ、世界3位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)は第30シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を6-3 4-6 6-4 6-4で倒し、キリオスに対する4回戦行きの切符を確保した。キリオスは先月のブリスベン国際優勝への道のりで、ディミトロフを倒している。
キリオスはここまで、母国オーストラリアでは争いの種となるキャラクターだった。スタン・ワウリンカ(スイス)に言ったガールフレンドについての場違いなコメントで大いに批判されたキリオスは、2016年には、『勝とうという努力の欠如』や、スポーツマンらしかぬ振る舞い、また上海マスターズの観客を罵倒したことで、罰金を科された。
この日に先立つロッド・レーバー・アリーナでの彼の2試合は、いずれも敗戦だった――ひとつは全豪で5度準優勝しているアンディ・マレー(イギリス)との2016年の試合、そして2015年のトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)に対するものだ。そのため、彼はここまで、外のコートの方を好んできた。
しかし今、観衆の認識と理解は変わりつつある。キリオスはほぼ間違いなく、ロッド・レーバー・アリーナで、またメインイベントを演じることになるだろう。
「そういったことは気にならないよ。朝目覚め、『いいか、今日僕は人々の認識を変えるよう努めるんだ』と思ったりするようなことはないからね」とキリオスは言った。キリオスは2014年、まだ10代だったときにウインブルドン準々決勝に至ったが、それ以降、グランドスラム大会ではまだ大きな成功を収めていない。
「僕はいつも同じやり方でプレーしてきた。何も変わっていない。僕は常に、感情的であり続けてきたんだよ」(C)AP(テニスマガジン)
※トップ写真は第17シードのニック・キリオス(オーストラリア)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 19: Nick Kyrgios of Australia reacts in his third round match against Jo-Wilfried Tsonga of France on day five of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 19, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by Cameron Spencer/Getty Images)
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