初コンビのガスケ/エルベールがダブルスに勝ち、フランスが2勝1敗でリード [デ杯決勝フランス対ベルギー]

 男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ・ワールドグループ決勝「フランス対ベルギー」(11月24~26日/フランス・リール/室内ハードコート)の2日目。

 フランスのヤニック・ノア監督はデビスカップ決勝で大きなギャンブルをし、その賭けは吉と出た。

 ノア監督がダブルスでは経験が厚くないペアを布陣したとき、多くの者たちが困惑したが、彼はフランスを10度目のデビスカップ・タイトルまであと1勝というところにいざなう勝利によって報われた。

 以前に1度も一緒に組んでプレーしたことがなかったリシャール・ガスケ/ピエール ユーグ・エルベール(フランス)が、ルベン・ビーママンズ/ヨリス・デ ルール(ベルギー)を6-1 3-6 7-6(2) 6-4で倒した試合のあと、ノア監督は「厳しい決断だった」と漏らした。

 この勝利でフランスは、ベルギーに対して2勝1敗とリードを奪った。

 最初、交代要員としてノア監督に招集されたガスケは、ダブルスで二コラ・マウ(フランス)の代わりに決勝に臨むメンバーに選ばれた。

 エルベールとマウは、一緒にグランドスラム大会のダブルスで2度優勝し、セルビアに対する準決勝でもペアを組んでいた。このふたりは皆が予想したダブルスのチョイスであり、「いわゆる大多数が公正とする決断だっただろう」とノア監督は言う。

「私個人の観点から言えば、彼らがあの試合に勝ったのは、すごくいいことだった」と彼は言い添えた。もし負けていたら、ノア監督は責任を問われ、苦しい立場に置かれていたことだろう。

 ノア監督は練習で、エルベールが背中の故障から回復し、ガスケが非常にいい調子であることを見て、このふたりを選ぶ決心をしたのだと言った。

「彼らのプレースタイルは相性がいい。リシャールはベースラインから非常に堅固で、ピエール ユーグはネットで大きな存在感を発揮する」とノア監督は言う。

 彼はまた、フランスの新聞に「ピエール ユーグは、ここ3日間すばらしい調子だった。私はまた金曜日にシングルスをプレーしたふたり(ツォンガとプイユ)に、何か起きたときのことを考えた。3人のダブルス・スペシャリスト(エルベール、マウ、ジュリアン・べネト―)のうちひとりが、最終日に5セットのシングルスに耐えうるとは思えなかったからだ。そして、ガスケが調子を上げていることは分かっていた」と説明している。

 エルベールとガスケが勝利をつかんだとき、ノア監督はコート上で踊り、観客席でフランス・スポーツ大臣のローラ・フィレセルを抱きしめた。

 相手を入れ替えて行われる日曜日の最初のシングルスにおいて、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)は、ベルギーのトッププレーヤー、ダビド・ゴファンに対する試合で勝利を決める可能性を手にしている。ツォンガが失敗した場合には、勝負はルカ・プイユ(フランス)とスティーブ・ダルシー(ベルギー)の間で決められることになる。

 ツォンガとゴファンは金曜日のシングルスで、それぞれの試合にストレート勝ちしている。

「私はまったく落ち込んではいない」とベルギー監督のヨハン・ヴァンヘルックは言った。彼は変わらず、母国に初のデ杯タイトルをもたらしたいと願っている。

「金曜日、ジョー(ツォンガ)はいい印象を与えたが、彼は日曜日に違う相手と対戦する。ダビド(ゴファン)は、ジョーを倒せるテニスを持つ選手だ。彼は今、自信に満ちている。これはデビスカップに値する大一番となるだろう」。

 前述のダブルスで、ともにプレーした経験が不足していたにも関わらず、エルベールとガスケは飛ぶようなスタートを切った。瞬く間に5-0とリードを奪う過程で、ガスケは両方のサイドから完璧なパッシングショットを放ち、エルベールはネットで圧倒的な存在感を見せた。ベルギー・ペアはふたつのセットポイントを凌いで、やっとサービスキープに成功したが、ガスケが次のゲームでサービスゲームをキープし、セットを先取した。

 第2セットではフランス・ペアのサービスの調子が落ち、常に劣勢に立つことになった。ビーママンズがサービスゲームをキープしてセットを奪い返し、ベルギー・ペアはジャンプして胸をぶつけ合う、流行りのやり方でこれを祝った。

「彼ら(ガスケとエルベール)は、もう少しで崩れるところだった」とノア監督は言った。「最後には、違いを生んだのはほんの1つか2つのポイントと、集中力だった」。

 フランス・ペアは、第3セットの序盤にもプレッシャー下に置かれ、最初の3つのサービスゲ―ムで4つのブレークポイントを凌がなければならなかった。彼らは、デ ルールがフォアのリターンをダイレクトでエルベールの頭にぶつけ、彼を地面になぎ倒した第7ゲームで、ついにブレークされる。

 エルベールは起き上がったが、このあたりからビーママンズがナーバスになり、重要なポイントでミスを犯し始めた。フランスのペアは彼のミスにつけ込んで5-5と追いつくことに成功。大喜びの地元ファンの声援の中、彼らはタイブレークで相手を圧倒した。

 デ ルールは第4セット開始前、左足に治療を受けた。エルベールは第6ゲームで連続してダブルフォールトを犯し、15-40と一時リードを奪われたが、そこから踏ん張って何とかキープに成功。続くゲームで、スマッシュをネット下段に打ちこんだビーママンズのミスにも助けられ、フランスは4-3とする勝負を分けるブレークを果たした。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は1回戦の日本戦でのリシャール・ガスケ
TOKYO, JAPAN - FEBRUARY 03: Richard Gasquet of France plays a backhand against Taro Daniel of Japan during the Davis Cup by BNP Paribas first round singles match between Japan and France at Ariake Colosseum on February 3, 2017 in Tokyo, Japan. (Photo by Matt Roberts/Getty Images)

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